浮気された聖女は幼馴染との切れない縁をなんとかしたい!

gacchi(がっち)

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神の力

1.聖女とは

美里がこの世界に来てから一週間が過ぎていた。
カインさんと話したジェシカさんから報告だけ聞いたけれど、
問題なく美里の身体は作り変えられ、今は魔力が安定するのを待っているらしい。
あと数日もすれば会えるようになる。

…もっとちゃんと説明してから送り出せと怒られそうな気はしている。
仕方ないので、最初に会う時は怒られることを覚悟しよう。


私の聖女の修行も順調に進み、次の段階へと移ることになっていた。

「ユウリの魔力の循環は完璧になった。
 次はこの魔力を神力に変えていくんだ。」

「神力?聖力じゃなくて?」

「…聖女の力は聖なる力じゃないんだよね。実は。」

「え?」

「もともと、聖女は清い女性と書いて清女だったわけ。
 でも、何代目かの聖女がこっちのほうがかっこいいと言って変更させた。
 まぁ、実際に扱うのは神力なので、名前はどっちでもいいかってなって。」

「はぁ?かっこいいから聖女にした?
 …そんなもんでいいの?扱い、軽くない?」

「いや、聖女自身がそう言うならって。」

たしかに清女よりは聖女のほうがイメージしやすいかもしれないけど…。
神力って言われると…なんか和風だな。
今までは異世界風な聖女のイメージだったけれど、違うのかも?

あ。神の住処、神社とかのイメージに近かった。あれが神力なのかな。

「なんとなく神力のイメージはわかったかも。
 神の住処で感じた力に似ている?」

「そう!すごいね。
 あの時のユウリはほとんど力を失ってたのに、神力を感じられたんだ。
 今日からの修行は俺とユウリの魔力を神力に変える訓練になるんだけど、
 イメージを固めないと無理だから、まずは神力について説明しよう。」

「うん、わかった。」

キリルに手を引かれてついていくと、
いつもの修行する石柱の奥にこじんまりとした東屋があった。
二人掛けのソファと小さなテーブルが一つだけ置いてある。
テーブルの上にお茶の用意があるのを見て、キリルが淹れてくれた。

「ミルクは置いてなかったから蜂蜜だけになっちゃったけど。」

「うん、大丈夫。ありがとう。」

カップを口に近づけると蜂蜜のいい匂いがふわっとした。
甘味がそれほど強くなくて、その分紅茶の苦みもちゃんと感じられる。

「ミルクが無くても美味しい。」

「それならよかった。
 じゃあ、飲みながら聞いていて。」

「うん。」

「神力というのは、男女の魔力を混ぜ合わせて作るのだけど、
 イメージは青と白。混ぜて水色にするんじゃなくて、絡み合わせる感じ?
 こう二つのひもをねじり合わせて一本にしていくような?」

「青と白か…どっちか青でどっちか白とかあるの?」

「男女でどちらと決まっているのではないらしい。
 ただ、対になっているのだから、どちらかが青で、どちらかは白。
 青は水、白は光、と言われている。」

「あぁ、わかった。
 じゃあ、キリルが白だ。」

「え?わかるの?」

いつもキリルの魔力からは温かさを感じる。
それは陽だまりの中にいるようなじんわりとした温かさ。

一方の私は、キリルの魔力を冷やすように感じていた。
おそらく水の中に光が差し込んでくるようなものなんだと思う。

「私が感じている魔力のイメージだとそうだと思う。
 それを引き延ばして一本のひものようにして、
 青と白をくるくると巻いていけばいいのかな…。」

「さすがにすぐには無理だろうけど…。
 ユウリのイメージが固まっているのなら、一度やってみる?」

「他にイメージで大事なことはある?」

「あぁ、神聖な動物?を思い浮かべた聖女もいたそうだけど。
 実際にはいない動物だったみたいで、どういうものだったのかはわからない。
 その時の記録には詳しく書かれていないんだ。」

「実際にはいない動物…なんだろう。竜とか麒麟とかかな…。
 でもなぁ…神社にいそうな神聖な動物。私なら違うものを考えるかな。」

「まぁ、一度やってみようか。」

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