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絡み合う運命
11.最後の領地
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「おそらく、次の領地が最後になると思う。
…ここが最後になるとは思っていなかったんだが…。」
最初の瘴気の発生から一年と二か月が過ぎ、ようやく最後の領地になると言われ、
ほっとしたけれど渋い顔をしているキリルが気になった。
言い淀んでいるキリルにカインさんがため息交じりに話すように促した。
「キリル、もしかしたら何かあるかもしれない。
というより、間違いなく何か起きると思っていたほうがいい。
領地につく前にちゃんと二人にも話しておけ。」
「…そうだな。
ユウリには前に話したことがあるんだが、
次に行く領地はゲルガ侯爵家の領地だ。
宰相のゲルガ侯爵の領地だが、
宰相は王宮に常時いるために領地は領主代理が見ているはずだ。
問題は、宰相の娘リリアナ嬢が俺の元婚約者だということだ。」
「ええ!キリルさんの元婚約者?…悠里は知っていたの?」
「うん。律と一花の話をした時に、キリルも似たような経験しているって…。」
「え。それって、そういうことだよね?」
問題があるということは、そのことも含めて言っているんだろうと思ったけれど、
私がはっきり言っていいものか迷い、律と一花のことで説明をした。
美里もどういうことがあったのかわかったらしく、はっきりとは口に出さなかった。
それを聞いていたキリルが苦笑いで説明をはじめた。
「別にはっきり言ってくれても良かったんだけどね。
元婚約者とは恋仲というわけじゃなかった。
神官隊長候補だったから聖女が来るのを待つと俺は言い続けていたし、
侯爵家もそれをわかった上で婚約していたものだった。
だけど、リリアナ嬢はそれが不満だったようで、
夜会で他の男といちゃついているところをわざと俺に見せてきた。」
「…わざと?」
「それで俺が嫉妬してリリアナ嬢に手を出すのを期待したらしい。
リリアナ嬢と仲のいい乳兄弟の侍女がそそのかしたんだ。
それを信じて他の男との逢瀬を俺が見て、結果婚約は解消された。
ちょうど俺が神官隊長に選ばれた時期だったこともあって、特に揉めなかったんだ。
だけど…リリアナ嬢は俺との結婚をあきらめなかった。」
「あきらめなかったって、今も?」
「そう。そして、これから行く領地にいると思われる。」
いくらキリルに嫉妬してほしかったとしても、
他の男とキスしているところを見られて婚約解消されてしまった。
それでも結婚をあきらめないでいるって…執着度がすごい。
自分が悪いのにあきらめないって、どういう考えなんだろう。
そう思ったけど、そういえば律も一花もそんな感じだったことを思い出した。
あぁいう発想の人がキリルの元婚約者なのだとしたら、関わりたくないなぁ。
「キリルには話してあるんだが、
どうやらそのリリアナ嬢が社交界に噂を流しているらしい。
今回の聖女は恋人と一緒に転移してきたと。
聖女は浄化が終われば、その恋人といっしょになると言っているようだ。」
「え?」
「浄化が終わればキリルは自分と結婚するんだと周りの令嬢に言っている。
宰相は忙しすぎて娘が何をしているのか把握していないようだ。
周りの令嬢にしてみたら、宰相の娘がそんな嘘をつくわけがないと思っている。
もし嘘だったとしたら大問題になるからな。
そこまで愚かだとは思わないだろう。」
「…嘘、なんだよね?その…キリルと結婚するっていうのは。」
…ここが最後になるとは思っていなかったんだが…。」
最初の瘴気の発生から一年と二か月が過ぎ、ようやく最後の領地になると言われ、
ほっとしたけれど渋い顔をしているキリルが気になった。
言い淀んでいるキリルにカインさんがため息交じりに話すように促した。
「キリル、もしかしたら何かあるかもしれない。
というより、間違いなく何か起きると思っていたほうがいい。
領地につく前にちゃんと二人にも話しておけ。」
「…そうだな。
ユウリには前に話したことがあるんだが、
次に行く領地はゲルガ侯爵家の領地だ。
宰相のゲルガ侯爵の領地だが、
宰相は王宮に常時いるために領地は領主代理が見ているはずだ。
問題は、宰相の娘リリアナ嬢が俺の元婚約者だということだ。」
「ええ!キリルさんの元婚約者?…悠里は知っていたの?」
「うん。律と一花の話をした時に、キリルも似たような経験しているって…。」
「え。それって、そういうことだよね?」
問題があるということは、そのことも含めて言っているんだろうと思ったけれど、
私がはっきり言っていいものか迷い、律と一花のことで説明をした。
美里もどういうことがあったのかわかったらしく、はっきりとは口に出さなかった。
それを聞いていたキリルが苦笑いで説明をはじめた。
「別にはっきり言ってくれても良かったんだけどね。
元婚約者とは恋仲というわけじゃなかった。
神官隊長候補だったから聖女が来るのを待つと俺は言い続けていたし、
侯爵家もそれをわかった上で婚約していたものだった。
だけど、リリアナ嬢はそれが不満だったようで、
夜会で他の男といちゃついているところをわざと俺に見せてきた。」
「…わざと?」
「それで俺が嫉妬してリリアナ嬢に手を出すのを期待したらしい。
リリアナ嬢と仲のいい乳兄弟の侍女がそそのかしたんだ。
それを信じて他の男との逢瀬を俺が見て、結果婚約は解消された。
ちょうど俺が神官隊長に選ばれた時期だったこともあって、特に揉めなかったんだ。
だけど…リリアナ嬢は俺との結婚をあきらめなかった。」
「あきらめなかったって、今も?」
「そう。そして、これから行く領地にいると思われる。」
いくらキリルに嫉妬してほしかったとしても、
他の男とキスしているところを見られて婚約解消されてしまった。
それでも結婚をあきらめないでいるって…執着度がすごい。
自分が悪いのにあきらめないって、どういう考えなんだろう。
そう思ったけど、そういえば律も一花もそんな感じだったことを思い出した。
あぁいう発想の人がキリルの元婚約者なのだとしたら、関わりたくないなぁ。
「キリルには話してあるんだが、
どうやらそのリリアナ嬢が社交界に噂を流しているらしい。
今回の聖女は恋人と一緒に転移してきたと。
聖女は浄化が終われば、その恋人といっしょになると言っているようだ。」
「え?」
「浄化が終わればキリルは自分と結婚するんだと周りの令嬢に言っている。
宰相は忙しすぎて娘が何をしているのか把握していないようだ。
周りの令嬢にしてみたら、宰相の娘がそんな嘘をつくわけがないと思っている。
もし嘘だったとしたら大問題になるからな。
そこまで愚かだとは思わないだろう。」
「…嘘、なんだよね?その…キリルと結婚するっていうのは。」
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