3 / 79
3.味方?
しおりを挟む
「とりあえず、座って話を聞かせてもらえるかしら?」
ソファに座るように言われ、おとなしく座ることにする。
精神的な疲れで、立っていたくなかった。
座って、あらためて女官長と向き合うと、今日起こったことをすべて話した。
できるだけ詳しく、私にはどうしてこうなったのか全く分かっていないことを。
話し終わった時に、女官長は考え込んでいるようだった。
そして、扉のところにいた衛兵に向かった声をかけた。
「一人はユキ様を呼んできて。
もう一人は宰相の所へ、何が何でも陛下をお止めするように、と伝えてきて。」
「「はっ!」」
衛兵たちがすぐさま部屋から出ていく。
それを見届けて、女官長はふんわり微笑んだ。
「怖かったわね。もう大丈夫だから、安心していいわ。
陛下はここに来させないから。」
「ありがとうございます。」
女官長からの優しい言葉を聞いて、張り詰めていた気持ちが緩んだ。
涙があふれてきて、止まらなかった。
殺されるかもしれなくても抵抗するつもりだったけど、やっぱり怖かった。
いったい自分をどうするつもりなんだろうと、気が気じゃなかった。
あらあらと女官たちがハンカチを貸してくれる。
その優しさを素直に受け取って、涙を拭くと、少し落ち着いてきた。
「ユキ様が来るまで、少しあなたのことを聞いてもいいかしら?
薬師なのよね?それはご両親から?」
「はい、そうです。もとは父が薬師だったそうです。
父に弟子入りした母も薬師になっていますので、私は母から受け継いでいます。」
「ご両親が亡くなったのはいつ頃?」
「父は私が小さい時に亡くなっています。母は4年前です。」
「あぁ、4年前。あの時たくさんの方が亡くなったものね。
それじゃあ、それからあなた一人で店を続けてきたの?」
「そうです。周りの店の協力もあって、今までやってこれました。」
「…年齢を聞いてもいいかしら?」
「先週、16歳になりました。」
その言葉に女官長だけでなく、周りの女官たちも驚いているのがわかる。
それはそうだろうと思って、特に気にはしない。もう言われ慣れている。
「成長が12歳で止まってしまっているんです。理由はわかりません。」
「そうなの…それで。でも、話していると16歳なのはわかるわ。
今まで一人でお店を続けてこられたのも納得だわ。
頑張ってきたのね。」
お店を続けてこられたことは自分にとっても誇りだ。
そのことを褒めてもらえて、嬉しくなった。
「遅くなってしまってすまないね。
陛下のほうを先になんとかしてきたよ。」
そう言って部屋に入ってきたのは、はきはきと話す高齢の女性だった。
もともとは赤髪だろうか、白髪が混ざって桃色のように見える。
女官たちとは服が違っていた。
ふわっと薬草の匂いがするのは、もしかして薬師なのだろうか。
「ユキ様。お待ちしていました。陛下はどうでしたか?」
「あれは、魔力酔いの一種だね。
薬を飲ませて寝かせてきた。一晩寝れば治るだろう。」
「それは良かったですけど、魔力酔いの一種ですか?」
魔力酔い?そんな症状知らない。
このユキ様に聞けば教えてもらえるのだろうか?
「名前は?」
ユキ様が私を見て、聞いてきた。
「ルーラです。」
「ルーラ、お前は魔女だね?」
「いいえ。母が魔女だとは聞いていますが、私は魔女じゃありません。」
その答えがおかしかったのか、ユキ様は首を傾げた。
「気が付いていないのか。陛下の魔力酔いはお前の魔女の魔力が原因だ。」
「えええ?」
ソファに座るように言われ、おとなしく座ることにする。
精神的な疲れで、立っていたくなかった。
座って、あらためて女官長と向き合うと、今日起こったことをすべて話した。
できるだけ詳しく、私にはどうしてこうなったのか全く分かっていないことを。
話し終わった時に、女官長は考え込んでいるようだった。
そして、扉のところにいた衛兵に向かった声をかけた。
「一人はユキ様を呼んできて。
もう一人は宰相の所へ、何が何でも陛下をお止めするように、と伝えてきて。」
「「はっ!」」
衛兵たちがすぐさま部屋から出ていく。
それを見届けて、女官長はふんわり微笑んだ。
「怖かったわね。もう大丈夫だから、安心していいわ。
陛下はここに来させないから。」
「ありがとうございます。」
女官長からの優しい言葉を聞いて、張り詰めていた気持ちが緩んだ。
涙があふれてきて、止まらなかった。
殺されるかもしれなくても抵抗するつもりだったけど、やっぱり怖かった。
いったい自分をどうするつもりなんだろうと、気が気じゃなかった。
あらあらと女官たちがハンカチを貸してくれる。
その優しさを素直に受け取って、涙を拭くと、少し落ち着いてきた。
「ユキ様が来るまで、少しあなたのことを聞いてもいいかしら?
薬師なのよね?それはご両親から?」
「はい、そうです。もとは父が薬師だったそうです。
父に弟子入りした母も薬師になっていますので、私は母から受け継いでいます。」
「ご両親が亡くなったのはいつ頃?」
「父は私が小さい時に亡くなっています。母は4年前です。」
「あぁ、4年前。あの時たくさんの方が亡くなったものね。
それじゃあ、それからあなた一人で店を続けてきたの?」
「そうです。周りの店の協力もあって、今までやってこれました。」
「…年齢を聞いてもいいかしら?」
「先週、16歳になりました。」
その言葉に女官長だけでなく、周りの女官たちも驚いているのがわかる。
それはそうだろうと思って、特に気にはしない。もう言われ慣れている。
「成長が12歳で止まってしまっているんです。理由はわかりません。」
「そうなの…それで。でも、話していると16歳なのはわかるわ。
今まで一人でお店を続けてこられたのも納得だわ。
頑張ってきたのね。」
お店を続けてこられたことは自分にとっても誇りだ。
そのことを褒めてもらえて、嬉しくなった。
「遅くなってしまってすまないね。
陛下のほうを先になんとかしてきたよ。」
そう言って部屋に入ってきたのは、はきはきと話す高齢の女性だった。
もともとは赤髪だろうか、白髪が混ざって桃色のように見える。
女官たちとは服が違っていた。
ふわっと薬草の匂いがするのは、もしかして薬師なのだろうか。
「ユキ様。お待ちしていました。陛下はどうでしたか?」
「あれは、魔力酔いの一種だね。
薬を飲ませて寝かせてきた。一晩寝れば治るだろう。」
「それは良かったですけど、魔力酔いの一種ですか?」
魔力酔い?そんな症状知らない。
このユキ様に聞けば教えてもらえるのだろうか?
「名前は?」
ユキ様が私を見て、聞いてきた。
「ルーラです。」
「ルーラ、お前は魔女だね?」
「いいえ。母が魔女だとは聞いていますが、私は魔女じゃありません。」
その答えがおかしかったのか、ユキ様は首を傾げた。
「気が付いていないのか。陛下の魔力酔いはお前の魔女の魔力が原因だ。」
「えええ?」
160
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~
八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。
しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。
それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。
幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。
それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。
そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。
婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。
彼女の計画、それは自らが代理母となること。
だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。
こうして始まったフローラの代理母としての生活。
しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。
さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。
ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。
※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります
※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです
大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。
「俺は子どもみたいな女は好きではない」
ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。
ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。
ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。
何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!?
貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。
今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました
四折 柊
恋愛
子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる