ニッポンイチの魔術高校に入学してリア充ライフを送ろうとしたのにも関わらず、何故か戦記に載ってしまった神話

目途恋利

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エオズ学園 1年R組 入学式編

飯の事後、小さな後日談

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 いや言い方が悪かったか。

 正確に言うと、このタレが不味い。
 肉は羊肉でさらにこの野菜はツッコミ少女の予言どおり、ホウレンソウだ。
 羊肉は多少の臭さはあるのの、しっかり火が通っており、特に味は問題ない。
 ホウレンソウ、そして米は不味いどころか、単独で食べれば、むしろ美味しいのだろう。

 だが問題はこのタレだ。予想していた醤油とは真反対の味でまるでこれは小さい時、溝に転んだ時に入る泥水のような味だ。そして、べっちゃりとしたその味感はその不味さに拍車をかける。

「……………………」

 俺は思わず黙り込んでします。

「……伊尾屋、どんな味なの……」
「和田、どんな味なのよ!」

 興味津々にこのどんぶりの味を聞く。

「……………………ああ、ごめん。意識飛んでた」
 俺はそんな見栄っ張りな嘘つき、笑みを浮かべる。
 二人が俺の顔を覗き、そしてもう二人は遠目で俺のことを見つめる。

「……ええと、美味しい、のかな」

 俺は疑問形で思わず答えた。
「……意外と、なのかもしれませんね」
「伊尾屋。……信じていいのかそれ」

 駄目だ、と心の中で答える。
 笑ってごまかした後、俺はスプーンで食うジェスチャーで食え、と合図をする。

「じ、じゃ、私から食べますね。和田くん、スプーン取ってくれますか」
 はいはい、と俺は言いながら、小さな箱からスプーンを出す。ついでなので、他三人の分まで出して、そのスプーンを配分する。

 植澤さんにスプーンを渡した瞬間、彼女はそのどんぶりを一口分にすくう。
 そして、宿、すみ、水栗という順番で同じようにどんぶりをすくう。

「せっかくだから、同時に食べよう」

 宿が提案し、皆賛成する。そしてせーの、という掛け声のあと、それを口にいれる。

「…………」
「…………」
「…………」
「…………」

 同じく、誰もが黙りこみ、そして同時に口を開く。


「「「「まずっっっっ!!!!」」」」


 口を揃えて、叫ぶ。
 ここのグループだけではない。食堂中でその叫び声が飛び散る。

「なんだこれ!?これ食い物か!?」
「和田!噓ついたわね!?」
「げっほげっほ!げっほェェェ!」
「ドブ水直接いれたやつですか!?これ!?」
 入れはその反応を見てけらけら笑いながら、指をさす。

「だまされたモンが悪いんですぅ」
 水栗はひたすらむせていて、喉をドンドンと叩く。実に滑稽な姿だ。



 さて、ここからどうしようか。

「こうなったら『全員の分を食べる人決め』ジャンケンをするしかないよなぁ!?」
 また俺が提案する。
 女子も一口しか食べていないので間接キスイベントなんてものは起きない。
 どうこう文句を言いながらも、全員賛成。皆右手を出し、グーの手を作る。
 違和感。というか、デジャヴが働いているような気もするが、気のせいだろう。

「いくぞ。最初はグー。じゃんけん――。」

パー
チョキ  チョキ
チョキ  チョキ


あ。



 この後、舌の感覚がなくなり、そして腹を下したのは言うまでもない。

 さて、このどんぶりの正体が気になるところ。食堂のおばちゃん曰く、羊肉、ホウレンソウ、米、そしてこの謎のタレは、『ベジュールノ』という薬草をすり潰した後の粉を水に溶かしたモノらしい。体調を整える薬草で、大陸の方では伝統的な食べ物に使われている国もある。
 不思議なことにその薬草が不味いと感じるのは、食べた日だけらしく、信じられない話だがその薬草を溶かしたモノを一滴でも飲みこむと、別の日に飲み込むと醤油のようなほんのり甘い味がするらしい。

 エオズ学園の食堂においてどうやらこれは今日、いや毎年四月一日の昼限定メニューらしく、通常は普通の一般的な料理が出る。
 毎日こんな料理が出るのか、と冷や汗をかいていたが、少しだけ安心した自分がいたのだった。




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