ニッポンイチの魔術高校に入学してリア充ライフを送ろうとしたのにも関わらず、何故か戦記に載ってしまった神話

目途恋利

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エオズ学園 1年R組 入学式編

時間割は眺めているだけで楽しい

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 時刻は十四時。
 食堂は荒れていた。

 食堂の人に文句を言う者、お椀を床に叩きつける者、(違法ではあるが)魔術を使い、どんぶりを消し炭にしている者。
 そりゃあ、あんな酷い料理を出されたら、こんなことになるのも無理はないか。

 俺たちはそれらを横目に見ながら、ワープマシンに乗る。

 
 原からは食べ終わり次第、ラウンジに集合、という指示が出ているので、ラウンジへ向かうとする。

 
 ――ラウンジに着くと、原とS組の担任、ミュー先生が腕を組みながら立っており、その背後には大量のダンボールがずらっとタワーを造っていた。

「…………今来てるやつはすまんが、全員来るまでここで待っといてくれ。少し長くなるかもしれんが」

 俺はそれを耳にした後、俺たち五人グループは輪になって談笑を始めた。




 ――三十分くらい経った頃だろうか。
 完食したのかは分からないが、各クラス全員揃った。

「……全員、揃ったな。改めて挨拶させてもらう。R組担任の原航だ。全クラスの体術を教えてる。よろしく頼む」
 なんだかんだでH.S組には自分から自己紹介をしたのは初めてだ。

「さて、食堂の飯は美味しかったか。ま、九割の人間は不味いと感じるだろう」
 先生公認の不味さ。やはり、俺らの舌はおかしくはなかった。
「しかし、お前らは我が校の入学式を終えた、立派なエオズ学園だ。問題行為を起こした者は厳重に処罰しなくてはならない」
 口調を強くし、眉間にシワを寄せる。
 寝川先生が大きいタブレットを片手に持って遅れて入室する。
 原が壁の端へ移動し、寝川先生に真ん中の位置を譲る。

「さて、一年H組担任兼魔術を教えている寝川森菜だ。我が校は何か問題行動を起こした者は単位の減点をさせてもらう。今回この食堂では私がカメラで監視させてもらった。減点対象者は十名」

 空気が重くなる。

「……R組、宇部野蛇三点、松添康子一点。H組、鳥飼坂一点ーー」

 寝川先生は粛々と減点される者の名を呼んでいく。
「ーーーー以上、十名。文句のあるヤツはいるか」
「……先生。それはおかしいです。撤回を申請します」
 するとR組の列後方に座っているネイルをテカテカにした茶髪ギャル女が手を挙げる。
 減点対象者、松添康子だ。
「……ほう、確かお前は食堂の人に文句を言ったんだったか。それは『営業妨害』として減点される、減点対象の種類だ」
「いや、だってあんな料理出されたら誰だって文句言うでーー」
「いいか、松添。この学校では経過は求められない。大事なのは結果だ。真摯に受け止めて次からはしないよう心掛ければいい。第一指導対象ではない上に減点も少ない。それだけでも有り難いと思え」
「……………」

 松添は黙り込む。寝川先生の氷柱のような鋭い言葉の暴力で圧倒されたのだろう。

「続いて指導対象は二名。R組、宇部野蛇。S組、海王原太。コイツらはこの学園において一番やってはいけない無断魔術使用をした。この二人は今から始めるオリエンテーション後に一号館二○四号室へ行け。私からは以上だ」

 宇部野、とは入学式前のあの【巨体】のことだ。
 海王という人物は知らないが、恐らく宇部野と同じような性格のヤツだろう。

 意外なことに文句を言ったのは松添だけで、後者の問題児らしき人物は特に何も言わず、黙ったままだ。

 原が寝川先生と位置をチェンジし、また前に立つ。

「……さて今からオリエンテーションを始めるが、我が校は授業の細かいところを一々解説などはしない。ただお前らには俺の後ろにある段ボール。いや、お前ら専用のタブレットを渡して、時間割とそれの使い方を説明するだけだ」

 後ろではミュー先生はじめ多くの先生が段ボールの開封にせっせと精を出している。原もそれに乗っかり、先生一同で段ボールを開けるという、シュールな光景が誕生した。




「配り終わったか?」

 俺らはタブレットとその充電器、説明書が一緒になった小さな箱を両手に持つ。
 開けていい指示が出ているので、それに従いビリビリと乱暴にその箱を開ける。
 電源をつけ、生徒カードに記入していることをタブレットに入力し、設定を完了させる。
 タブレットの大きさは想像より小さく、携帯とほとんど同じ大きさだ。

「よし、全員設定が完了したか。では説明を開始する。ロックを解除した後、画面にアプリが八つあるはずだ。まずは一番左上の紫色のヤツをタップしろ」

縦ニ×横四のアプリの列を眺めた後、俺らは一斉にそれをタップする。
 すると空白の何もないマス目が入ったノートのようなモノが画面に出た。

「今からお前らに一年間の時間割を一斉に転送する。クラスごとに違うからクラスが合っているか、しっかり確認をしろ」

 原がそういった瞬間、通知がラウンジ中に鳴り響く。空白のノートのようなモノには、カラフルな文字で埋まり、俺はざっ、とそれを確認する。

第三十期生 R組 エオズ学園高等部  時間割表


月曜:数学IA、外国語、魔術I、魔術I、現代文、化学A
火曜:体術、体術、現代史、音楽、地理、魔術I、保健
水曜:外国語、外国語、魔術A、魔術A、技術、物理A
木曜:家庭、数学IA、体術、体術、現代文、化学A
金曜:外国語、物理A、魔術I、数学IA、銃IA、魔術A
土曜:総合演習(二限まで)、古典、現代史

 始業は八時五十分で、終業は日によって違う。

「先程にも述べたが、授業は各担当の先生から説明を受けること。これについては以上だ。そして他のアプリについて、左上の二つ目の緑色のアイコンは連絡機能。クラス全員と俺ら教師との電話とメールが可能。学校からの知らせがここから来るから、絶対に毎時チェックしておくこと。それといたずら電話などをした場合、履歴が残るから、その辺は注意をしておくこと。三つ目の赤アイコンは緊急連絡、四つ目の黄アイコン、これは連動機能。お前らの体力やレベルをわざわざ専用の機械で確認しなくてもいい、最新型の機能だ」

ここで一呼吸おき、画面を操作する。

「下のアイコンは授業で使うアイコンだ。触っても良いが、真っ黒な画面が出てくるだけだ。
 あと、右にスクロールすると、ネットが使える。ニュースや調べ物をする時は使うと良い」


 操作確認が終わり、一旦電源を切る。

「…………他校とは全然違うオリエンテーションだが、これで終了とする。この後、いや一週間はこの校舎内で自由に過ごしてもらって構わない。指導の二人は二〇四号室へ行くこと。以上。解散」

 バラバラと立ち上がり、粛然としていた空気は元の明るい空気へと移り変わる。
 原が入り口を出た後、後に続くように宇部野と海王らしき人物がポケットに手を突っ込みながら、前屈みになって歩き出す。


「……じゃ俺たちも戻るか」


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