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五、クレオ侯爵令息
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「こんな馬鹿げたことを考えるのは、今日でおわりにするわ。
お母様やククス宰相に失礼だもの。
やっぱりお父様が冷たいのは、たんに私のできが悪いからよね」
ホウーと深い溜息をついて俯く。
その時、視線の中に一匹の猫が飛びこんできた。
「ニャーオー」
クリーム、薄ピンク、濃いピンク、グリーン、色々な色が混じったフワフワの毛並みをした猫は、甘えた声をだしてこちらを見あげる。
「おはよう。ブーニャン。
朝からなにごとかしら」
ブーニャンも私の使い魔だ。
金色に輝く丸い二つの瞳の中には、縦に一本黒い線がはしっている。
それがとてもブーニャンを意志強く見せているのだ。
ブーニャンはとても美しい。
けれど、少し太り過ぎている。
まるで子豚のようだ。
だから、ブーニャンと呼んでいる。
「ははん。もうお腹がすいたのね。
お昼にはまだまだ早いわよ。
ほんと、ブーニャンは食いしん坊なんだから」
からかってやるとブーニャンは、プルプルと頭を左右にふった。
その動きにあわせて、ブーニャンの首につけられた鈴がなる。
「お待ちかねの手紙を持ってきてあげたのに、その態度はなんなの」
「ひょっとしてクレオからの手紙なの?」
「ニャー」
ブーニャンはコクンと頷く。
「そうなのね。
クレオはなんて言ってきたのかしら?
ドキドキするわ」
胸の前で両手をあわせて、ソワソワしていると、ブーニャンが口から白い封筒を吐き出した。
「さっき執事が屋敷にきた手紙をふりわけていたから、こっそり盗んできたのよ」
ブーニャンはドヤ顔をする。
クレオ侯爵令息は、貴族学園の同級生だ。
つややかな青みがかった黒髪、同じ色の瞳をもつクレオは、文武ともにとても秀でていた。
けど、それを鼻にかける素振りもなく、どちらかというと控えめな性格なのだ。
王立貴族学園は、その名の通り貴族の子弟ばかりが通っている。
学園の中では高位貴族も低位貴族もない。
身分に関係なく、生徒自身の実力でなにごとも決められてゆく。
そんな学園のルールは、実は建前である。
なぜって、こんな落ちこぼれの私が生徒会長に指名されたのだから。
「しょせん私はお飾り生徒会長。
一人じゃ、なにもできなかったの」
「それは聞かなくてもわかるわ。
で、実質の仕事は副会長のクレオ様がやってくれたんでしょ。
クレオ様に感謝しなくちゃね」
ブーニャンが鼻をならす。
「そう。だからね。
1度きちんとお礼をしたかったの。
だけど、もたもたしている間に卒業してしまって」
後悔で、だんだんと声がしぼんでくる。
「しかたないわよ。
きっとクレオ様の顔を見ただけで、ドキドキして何も言えなくなってしまったんでしょ」
「そーなのよ。
よくわかるわね。ブーニャン」
「一応私も女ですからね」
「それを言うなら雌でしょ」
「そんなツッコミをいれる暇があれば、早く封筒をあければ。
勇気をだして誘ったお茶会でしょ」
「そうよね」
卒業後もクレオを想いながらも、何も行動をおこせなかった。
けど、最近ショックな話が王宮に流れている。
クレオが遠い異国に留学するというのだ。
もしかしたら、このまま何年も会えなくなってしまうかも。
そう思い、勇気をだして招待状をだしたのだ。
二人だけのお茶会への。
「ま。王女の誘いだもん。
いくらクレオが嫌でも、断れるはずないものね」
高まる胸の鼓動をおさえながら、余裕ぶって封筒の封をきる。
お母様やククス宰相に失礼だもの。
やっぱりお父様が冷たいのは、たんに私のできが悪いからよね」
ホウーと深い溜息をついて俯く。
その時、視線の中に一匹の猫が飛びこんできた。
「ニャーオー」
クリーム、薄ピンク、濃いピンク、グリーン、色々な色が混じったフワフワの毛並みをした猫は、甘えた声をだしてこちらを見あげる。
「おはよう。ブーニャン。
朝からなにごとかしら」
ブーニャンも私の使い魔だ。
金色に輝く丸い二つの瞳の中には、縦に一本黒い線がはしっている。
それがとてもブーニャンを意志強く見せているのだ。
ブーニャンはとても美しい。
けれど、少し太り過ぎている。
まるで子豚のようだ。
だから、ブーニャンと呼んでいる。
「ははん。もうお腹がすいたのね。
お昼にはまだまだ早いわよ。
ほんと、ブーニャンは食いしん坊なんだから」
からかってやるとブーニャンは、プルプルと頭を左右にふった。
その動きにあわせて、ブーニャンの首につけられた鈴がなる。
「お待ちかねの手紙を持ってきてあげたのに、その態度はなんなの」
「ひょっとしてクレオからの手紙なの?」
「ニャー」
ブーニャンはコクンと頷く。
「そうなのね。
クレオはなんて言ってきたのかしら?
ドキドキするわ」
胸の前で両手をあわせて、ソワソワしていると、ブーニャンが口から白い封筒を吐き出した。
「さっき執事が屋敷にきた手紙をふりわけていたから、こっそり盗んできたのよ」
ブーニャンはドヤ顔をする。
クレオ侯爵令息は、貴族学園の同級生だ。
つややかな青みがかった黒髪、同じ色の瞳をもつクレオは、文武ともにとても秀でていた。
けど、それを鼻にかける素振りもなく、どちらかというと控えめな性格なのだ。
王立貴族学園は、その名の通り貴族の子弟ばかりが通っている。
学園の中では高位貴族も低位貴族もない。
身分に関係なく、生徒自身の実力でなにごとも決められてゆく。
そんな学園のルールは、実は建前である。
なぜって、こんな落ちこぼれの私が生徒会長に指名されたのだから。
「しょせん私はお飾り生徒会長。
一人じゃ、なにもできなかったの」
「それは聞かなくてもわかるわ。
で、実質の仕事は副会長のクレオ様がやってくれたんでしょ。
クレオ様に感謝しなくちゃね」
ブーニャンが鼻をならす。
「そう。だからね。
1度きちんとお礼をしたかったの。
だけど、もたもたしている間に卒業してしまって」
後悔で、だんだんと声がしぼんでくる。
「しかたないわよ。
きっとクレオ様の顔を見ただけで、ドキドキして何も言えなくなってしまったんでしょ」
「そーなのよ。
よくわかるわね。ブーニャン」
「一応私も女ですからね」
「それを言うなら雌でしょ」
「そんなツッコミをいれる暇があれば、早く封筒をあければ。
勇気をだして誘ったお茶会でしょ」
「そうよね」
卒業後もクレオを想いながらも、何も行動をおこせなかった。
けど、最近ショックな話が王宮に流れている。
クレオが遠い異国に留学するというのだ。
もしかしたら、このまま何年も会えなくなってしまうかも。
そう思い、勇気をだして招待状をだしたのだ。
二人だけのお茶会への。
「ま。王女の誘いだもん。
いくらクレオが嫌でも、断れるはずないものね」
高まる胸の鼓動をおさえながら、余裕ぶって封筒の封をきる。
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