お飾り王妃のはずなのに、黒い魔法を使ったら溺愛されてます

りんりん

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十五、お喋りグラス

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「いやだわ、王女様だなんて。
いつものように、ローズと呼んでね。
それと敬語もやめて欲しいの。
ほら。
生徒会にいる時みたいに、気楽にしてね」

ニッコリと笑顔をつくる。

学園内でも、できるだけ王女扱いしないように自分から申し出ていた。

なかなか言われた方は難しいようだが、少なくとも生徒会のメンバーは、それを受け入れてくれていた。

「けど、ここは王宮内ですよ。
それでも王女様がそうおっしゃるなら、そうしましょうか」

クレオの瞳が戸惑っている。

この様子からみると、王女という身分をかなり意識しているようだ。

そう感じた瞬間、以前のグラスの言葉が脳内に蘇る。

『ローズ様。良かったですね。
きっとクレオ様も、ローズ様と同じ想いなのですよ。
ただローズ様は王女様。
ご自分から告白を、ためらっておられるのです』

ひょっとしたら、本当にそうなのかしら。

「まさか。違うに決まっているじゃない」

そう言って、まっ赤になった顔を両手で覆って照れてしまう。

「ローズ大丈夫か?」  

「ローズ様、どうかされましたか」

気がつくとクレオとグラスの二人が、心配そうに私の顔をのぞきこんでいた。

「いえ。ちょっとね。
なんでもないのよ。
そうそう。クレオ。
いつまで、そんな所につっ立っている気なの?」

コホンと一つ咳をしてから、目で真向かいに座るようにうながす。

「それとグラス。
そろそろお茶をお願いね」

「かしこまりました。
その前にクレオ様、一つだけ申しあげたいことがあります」

何かしら。

首を傾げていると、グラスが、大きな身体をクレオの方へむけた。

「今からお出しするペパーミント茶は、ローズ様が自らお育てになった葉を使ってます。 
あと一緒にお出しするレモンケーキも、ローズ様がおつくりになりました。
どちらも、クレオ様の為に愛をこめてです」

それだけ言うとグラスはニヤッと笑って、後ろにあるワゴンの方へサッサと歩いてゆく。

「もうグラスはお喋りね。
ほんと嫌になるわ」

照れくさくて、テーブルの上に視線を落とす。

グラスのおかげで、目の前にいるクレオの顔が、まともに見れなくなったじゃない。

「あーあ。皆に面白がられているのね。
こんなお茶会しなければよかったかも」

キュッと唇をすぼめた時だった。

「ローズ。そんなこと言わないで。
僕はとても喜しいんだから。
それに驚いたよ。
王女が草花を育てたり、お菓子を焼くなんて」

クレオはそう言うと、テーブルに置いていた私の両手を自分の手で包みこんだ。

大きな手はとても温かい。

「私が特別なだけよ。
ほら。こんな村で育ったから、普通じゃないのよ。
ちっとも王女らしくないの」

「でも、その素朴さがローズのいい所だよ。
いつも控えめで、本が大好きなローズ。
そんなローズだから、生徒会の仕事も助けてあげたくなったんだ。
僕が好きでやっただけだから、あまり気にしないて欲しい」

「ありがとう。クレオ」

そう言って顔をあげると、優しい眼差しのクレオと視線がぶつかる。

あわてて視線をはずしたクレオは、チョッキの中に手をいれると、一冊の本を取り出す。

水色のリボンがそえられた金表紙の本は、なんと「ハリス王とマーゴ姫」の続編だった。

「私がこの本に夢中なのを、よくわかったわね。
ありがとう。クレオ」

もしかしたら、クレオも私を。

気持ちが弾みかけた時だった。

クレオの口からダリアの名前がでてきたのは。

「実は、ダリアから教えてもらったんだよ」

「え? ダリアから」

クレオとダリアに接点はなかったはずなのに。

どうしてなの。

大きく首を傾げて押し黙った。
 



 






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