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二十九、封印された魔力
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「その話をもっと詳しく教えて欲しいの」
お母様の方へ寝返りをうつ。
「すごく驚いた顔をしているのね。
そりゃそうよね。
わたくしの話を聞くと、ローズはもっともっと驚くと思うけれど、覚悟はできているかしら」
「もちらんよ」
お母様の透き通るような綺麗な瞳を、じーと見つめてうなずいた。
「実はね。
他の王女と同じように、生まれてすぐのあなたの額にもちゃんとお印が現れていたの」
「嘘でしょ。
私は何も持たずに生まれてきた王女とずーと馬鹿にされているんだもん」
「それはね」
お母様の瞳にわすがな迷いがみえる。
「お願い。正直に話して欲しいの」
「わかってます。
その為にここへ呼んだのですから。
ある人が生後まもないローズの魔法を封印したので、お印も消えたのです」
「ひどいわ。
おかげでどんなに悩まされたことか。
いったい誰がそんなことをしたの!」
両手をギュッと握って声をあらげた。
「わたくしですよ」
お母様の唇から紡がれる言葉に凍りつく。
「信じられないわ。どうしてなの」
「あなたが持っていたのは、黒い魔法だったからです」
「そんなの嘘っぱちだわ。
もし、それが本当なら。
やっぱり皆が噂しているように、私はククス宰相との子供なのね。
お母様は罪を犯したのよ。
そのせいで私の魔力が黒いんだわ」
王族には高潔で輝かしい血が、みゃくみゃくと流れているはずだ。
そんな王族から、忌み嫌われる魔力を持つ王女が生まれたのだ。
そう考えないと辻褄があわない。
黒い魔法をせおった王女。
その事実に胸をえぐられ、肩をふるわせた。
「たしかにククス宰相はわたくしの初恋の人でした。
けれど女王となった時、とっくに思い出になっていたのよ。
ローズだけには誤解されたくありません」
「じゃあなぜ私だけがこんなことに」
「それはわかりません。
ただわたくしは、幼いあなたが黒い魔法に耐えかねて、つぶれてしまうことをおそれたの」
「だから魔力を奪ったのね」
「ええ。
黒い魔力の使い手には、邪悪な者達がすりよってくる。
ひょとしたらローズにまだ魔力が残っているたら大変だわ。
そんな心配から、私の使い魔だったブーニャンをローズにつけたの」
「ブーニャンが本当はお母様の使い魔だったなんて驚いたわ。
だからブーニャンはいつも上から目線なのね」
「念のため少しでも静かな所で、生活させたかったの」
「それで野薔薇の村になったのね。
なら、どうしてもっとはやくに理由を教えてくれなかったの?
一人だけ引き離された時は、すごく淋しかったんだから」
「今だってこんなにおびえているでしょ。
幼いあなたにはとても話せなかったの」
お母様は目頭をそっとぬぐう。
「それでも、こうして打ち分けたのには理由があります。
他国に嫁ぐあなたに、自信をもって生きて欲しいから。
あなたは何も持ってない王女なんかじゃない。
ただ他の王女と違うから、わたくしが心配しすぎただけです。
けど、最近こう思うの。
ローズの幸せには、この魔力が必要だから、天が授けてくれたのじゃないかしらって。
黒い魔法も、使い手によっては白い魔法になれるのよね。
けれど一度封印してしまった魔力は、人の手ではどうにもできないの。
いつか、黒い魔力がローズの為に甦る時がくるかもしれません。
だからね。
これをあなたに返します」
お母様は枕元に置いていたオルゴールに手を伸ばすと、私の目の前でオルゴールの蓋を開く。
ポロポロポロンと涼やかな音が耳をかすめる。
「お母様って過保護で勝手な人だったのね。
大嫌いよ」
お母様の手からオルゴールを奪い取ると、クルリと背中をむけて、ギュッと目を閉じた。
そしてそのまま朝を迎えると、朝食もとらずにそそくさと野薔薇の村へ戻る。
お母様の方へ寝返りをうつ。
「すごく驚いた顔をしているのね。
そりゃそうよね。
わたくしの話を聞くと、ローズはもっともっと驚くと思うけれど、覚悟はできているかしら」
「もちらんよ」
お母様の透き通るような綺麗な瞳を、じーと見つめてうなずいた。
「実はね。
他の王女と同じように、生まれてすぐのあなたの額にもちゃんとお印が現れていたの」
「嘘でしょ。
私は何も持たずに生まれてきた王女とずーと馬鹿にされているんだもん」
「それはね」
お母様の瞳にわすがな迷いがみえる。
「お願い。正直に話して欲しいの」
「わかってます。
その為にここへ呼んだのですから。
ある人が生後まもないローズの魔法を封印したので、お印も消えたのです」
「ひどいわ。
おかげでどんなに悩まされたことか。
いったい誰がそんなことをしたの!」
両手をギュッと握って声をあらげた。
「わたくしですよ」
お母様の唇から紡がれる言葉に凍りつく。
「信じられないわ。どうしてなの」
「あなたが持っていたのは、黒い魔法だったからです」
「そんなの嘘っぱちだわ。
もし、それが本当なら。
やっぱり皆が噂しているように、私はククス宰相との子供なのね。
お母様は罪を犯したのよ。
そのせいで私の魔力が黒いんだわ」
王族には高潔で輝かしい血が、みゃくみゃくと流れているはずだ。
そんな王族から、忌み嫌われる魔力を持つ王女が生まれたのだ。
そう考えないと辻褄があわない。
黒い魔法をせおった王女。
その事実に胸をえぐられ、肩をふるわせた。
「たしかにククス宰相はわたくしの初恋の人でした。
けれど女王となった時、とっくに思い出になっていたのよ。
ローズだけには誤解されたくありません」
「じゃあなぜ私だけがこんなことに」
「それはわかりません。
ただわたくしは、幼いあなたが黒い魔法に耐えかねて、つぶれてしまうことをおそれたの」
「だから魔力を奪ったのね」
「ええ。
黒い魔力の使い手には、邪悪な者達がすりよってくる。
ひょとしたらローズにまだ魔力が残っているたら大変だわ。
そんな心配から、私の使い魔だったブーニャンをローズにつけたの」
「ブーニャンが本当はお母様の使い魔だったなんて驚いたわ。
だからブーニャンはいつも上から目線なのね」
「念のため少しでも静かな所で、生活させたかったの」
「それで野薔薇の村になったのね。
なら、どうしてもっとはやくに理由を教えてくれなかったの?
一人だけ引き離された時は、すごく淋しかったんだから」
「今だってこんなにおびえているでしょ。
幼いあなたにはとても話せなかったの」
お母様は目頭をそっとぬぐう。
「それでも、こうして打ち分けたのには理由があります。
他国に嫁ぐあなたに、自信をもって生きて欲しいから。
あなたは何も持ってない王女なんかじゃない。
ただ他の王女と違うから、わたくしが心配しすぎただけです。
けど、最近こう思うの。
ローズの幸せには、この魔力が必要だから、天が授けてくれたのじゃないかしらって。
黒い魔法も、使い手によっては白い魔法になれるのよね。
けれど一度封印してしまった魔力は、人の手ではどうにもできないの。
いつか、黒い魔力がローズの為に甦る時がくるかもしれません。
だからね。
これをあなたに返します」
お母様は枕元に置いていたオルゴールに手を伸ばすと、私の目の前でオルゴールの蓋を開く。
ポロポロポロンと涼やかな音が耳をかすめる。
「お母様って過保護で勝手な人だったのね。
大嫌いよ」
お母様の手からオルゴールを奪い取ると、クルリと背中をむけて、ギュッと目を閉じた。
そしてそのまま朝を迎えると、朝食もとらずにそそくさと野薔薇の村へ戻る。
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