SMクラブで働いてみた。

匿名希望

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初めての事件

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SMクラブと言えども、風俗店なので色んな面倒な事件が起こったりもする。
先輩女王様たちは薬物使用者に当たってしまったりしていたが
如何せん、電話受付の店では未然に防ぐのは難しく
また、薬物を本当に使用していたとしても怖くて言い出す事が出来ず
泣き寝入りしてしまう女王様も多かった。
勿論、薬物を使用するのはお客様だけだが、そう言ったお客様は
7時間、8時間のロングコースが多く、そしてプレイにならない。
そんなお客様の話を聞きながら、私はどこか他人事のように思っていた。

事件の始まりは、そんな話を聞いてすぐに起こった。
丁度オーナーが休みで、私と前回一緒にプレイに行った先輩女王様と
スタッフの三人だけで、お客様も全然入らないので色んなお客様の話を聞き
だらだらしていた時だった。
お店の電話が鳴り、スタッフが取る。
指名の女王様を聞き、何時の予約なのかを聞き、また希望のプレイを
予め聞いたりする。
希望のプレイを聞くのは、持っていく道具が変わったりするからだ。

その時のお客様は新規で特に希望のプレイもなかったので
私はいつも通りの道具を揃えてホテルへ向かった。

インターホンを鳴らすが出てこない。
部屋を間違えたかと、もう一度鳴らすが出てこない。
どうしたものか、と悩んでいると扉が開いた。
「こんにちは」と声をかけたがどこか、挙動不審な彼。
まあ、初めてのお客様なのだろう。と特に気にはとめなかった。
そしていつものようにカウンセリングシートに記入をしてもらい
お風呂へ入らせる。
そして、いざプレイを始めようと「ご挨拶」から入り
なんだかんだと責めながらプレイを進める。
この時、私はベットへ上がるように彼に指示するが
彼はそれを拒んだ。「私は床で十分です。」と
なんて謙虚な子なのだろう。と思いそれなら、その場で仰向けになり
脚を自分で持って開けなさい。と指示をした。
恥ずかしそうにしながら脚を広げる彼。
私をそんな姿を笑いながらゴム手袋を取り、彼の広げたそこを見るように
しゃがむ。ひくひくと期待して動く穴がよく見え更におかしくなって
彼の顔を見ようと視線を上げると、ふとベットのそばに置かれていた鞄が
目に入った。不自然に口の開いた鞄。そして光るレンズ。

と、とと、盗撮やないかぁぁぁぁあ!!!

私は目を見開いた。
しかし、日頃から先輩女王様に「女王様は常に冷静であれ。」と言われていたので
驚きながらもゴム手袋をはめて、ローションを手に取る。という一連の流れを
とても自然にやっていた。これは後から没収した映像をみたスタッフが
「凄いな、目線は完全にカメラでびっくりしてるのに動きはちゃんとしている。」
と言われたから、分かったのだが。

この時、私はよくわからない言葉責めをしながらもしっかり彼のアナルを責め
そして射精まできっちりさせたのだ。
これは必死に考えた末、ここで中断してスタッフが来るまでの間に
何かされるのが怖く、また女王様としてちゃんと仕事はこなそう。と言う
謎の精神が働いたためである。

そして、プレイが終わりお客様をお風呂へ入るように促し
私は慌てて、着替えながらスタッフへ連絡した。

「どどど、どうしましょう!!!」

「そうしたの?落ち着いて。」

「とと、とう、盗撮!盗撮されてます!」

「え?!すぐに行く!待ってて!」

「私!私はどうしたら?!着替えてていいのかな?!」

後でスタッフさんは「相当、テンパっているな。」と思ったらしい。
そして私は兎にも角にも着替えていつでも逃げれるようにしよう。
でも、慌ててはいけない。私は女王様。落ち着くんだ。
恰好良く、そして冷静に。それが女王様。と自分に言い聞かせ
何を思ったのか、着替えてすべての道具を片付けた後、ソファーに座り
煙草に火をつけた。喫煙者の方なら分かってくれるかと思うが
気分を落ち着かせるためには何よりも煙草を吸って一息つかないといけない、と
勝手にそう思い込んでいるのだ。
そして、煙草も半分ほど減り気持ちも落ち着いてきたころ
彼はお風呂場から出てきて、私にプレイの礼を言うのだ。
しかし、私の頭の中はそれどころではない。
もう、ひたすら恰好良く、美しく、そして冷静に。舐められてはいけない。
ただ、それだけなのである。

「うん、いいよ。でもね、君」

「え?」

「盗撮してたでしょう?」

鞄を指さして、目を見開く彼にそう言うと、彼は口をぱくぱくとさせていた。
何か言おうとしているのだけど、声が出ないのだろう。
私は煙草の火を消して、ゆっくりと立ち上がる。

「スタッフが来るから。」

「あ、あ・・・」

「後はスタッフの人の指示に従って。」

そう言うと、ホテルのインターホンが鳴った。
扉に目をやったまま固まる彼。

「出なよ。」

「は、はい・・・」

この時私は彼が扉をあけるために部屋を出て行ったのを確認してから
スタッフさんの素晴らしいタイミングにガッツポーズをした。
そして、走ってきたのか息の乱れたスタッフさんが部屋に入ってきた。
私を見るなり、大丈夫?と優しく声をかけてくれ、私は何度も首を縦に振った。
スタッフさんは鞄を指さし、これか?と聞く。私はまた首を縦に振る。

「もう、帰ってていいよ。」

「へ?」

「ここからは俺がする。」

この時、スタッフさんがこの世の誰よりも恰好良くみえたのは言うまでもない。
私は荷物を持って足早にホテルを出て、事務所に戻った。
すると、先輩女王様が着くなり抱きしめてくれた。
「怖かったでしょう?大丈夫?何もされていない?」
私の体を何度もさすりながら、そう言った。
ああ、なんて良い人たちなんだろう。
ただ盗撮されて、それも未遂に終わったのに。
むしろ、こんな事になってしまって申し訳ない。私はそう思った。

しばらくすると、スタッフさんが戻ってきた。
手には色んな紙と、札束。
え?札束?え?なんで?え?札束?
私はとてもびっくりしたのだ。

「とりあえず、一筆書かせて罰金を取ったから。」

「ああ、はい。」

「このお金は君の。」

「え・・・」

「お店としては君はとても稼いでくれてるしね。」

出来れば辞めないで欲しい。
これで、衣装や道具を買ったりしたらいいよ。
そう言って札束を渡された。
しかし、怖くて受け取れない私。
先輩女王様の顔を見ると「受け取っておきなさい」と言った。
どうしたものか、と手を伸ばしたり引っ込めたりしていると

「賠償金みたいなもんだよ。」

スタッフさんが私の手を取って、札束を握らせた。
私はそれを受け取り、すぐに道具やら衣装を買った。
その後、オーナーから連絡が入り、ひたすら謝られ辞めないで欲しいと言われた。
勿論、私としては続けたいので、その旨を伝えると
何度もお礼を言われた。
こうして、私の盗撮事件は終わったのだが、後にまたこれに似た事件が
後輩女王様に起こる。この話はまた今度。

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