ＳＭクラブで働いてみた。

女王様VS女王様

世の中には色んな性癖の人がいる事を、この業界に入って知る。
人の数だけ性癖がある、と言っても過言ではない。
フェチと一言で言ってもフェチSと呼ばれる人とフェチMと呼ばれる人の
二種類にまずは分けられる。そして私たちのもとに来るのはフェチMと呼ばれる人。
しかし、今回の話はフェチSの人が同期の女王様と私を指名し
３Pコースに行った時の話をしたいと思う。

電話受付の時になにやら渋い顔をしていたスタッフさん。
そして、私と背恰好の似ている同期の女王様を指名していると言う。
これだけなら、なんらいつもとかわらない。
しかし、お客様は私と同期の女王様の殴り合いを見たいと言うのだ。
驚く私と同期の女王様。なんせ、二人がかりで殴ってくれ、なら分かるが
二人で殴り合ってくれ、と言うのには心底驚いた。
それに、この時はまだ同期の女王様(以下Y)とそんなに仲良くもなかった。

気まずい。正直言って、かなり気まずい。
同期と言えども年上のYさん。気まず過ぎる。
しかし、断る事は出来ない。なんせお金が良い。
予約の時間まで結構開いていたので、Yさんと作戦を練る。
不幸中の幸いか。Yさんはもともと劇団員。演技はお手のものだ。
髪の毛を掴んで引きずる時、ビンタの効果音の出し方などを
教えてもらい、いざホテルへ！

部屋にいたのは、どこにでもいるようなおじさまで
ビール片手に自分の性癖を語ってくれる。

女子プロレスに興奮する。
黒髪で細身の女性同士の取っ組み合いが何よりも興奮する。
脚フェチでもあるので、蹴りを多めに入れてほしい。
でも、ビンタも好き。必死になって取っ組み合いをしてくれ。

そんな事を丁寧に言われた。
彼はただ、ソファーに座ってビールを飲みながら
私とYさんの取っ組み合い、殴り合い、もしくはキャットファイトを
見ているのだと、言う。

仕方ないので、私とYさんはベットの上に上がり
彼の鳴らすゴングの音を合図に取っ組み合いを始める。
まずは先手で私がYさんの髪を掴む。
すると、Yさんは痛い！と言いながら髪を掴む私の手を掴む。
この時、私の手は添えられているだけで、Yさんは私の手を掴みながら
自分で頭を振っているのだ。
そうする事によって、彼からみれば私がYさんの髪を掴み振り回している
そんな風にみえるのだ。
ある程度、Yさんの髪を掴んで振り回した後は馬乗りになりビンタをする。
音はYさんがタイミングを合わせて、見えないところで自分を叩くのだ。
これを何度か繰り返してから、今度はYさんが私を押しのけ髪を掴む。
そしてビンタを何度もする。
こんな事をひたすら繰り返し、たまに胸倉を掴んだり罵声を浴びせたり。

正直、M男さん相手に殴る蹴るを繰り返している方が楽だった。
手加減をしつつ、生かさず殺さずの加減をしながら弄ぶ。
それが、どんなに楽しい事か。
それなのに、私は今、女王様と殴り合っているのだ。
どれほど気を使うか！

１２０分。ただただ、殴り合っていた。
ふとYさんが私の胸倉を掴み、耳元で言った。

「お客様、勃起してる。」

私はYさんを突き飛ばし、馬乗りになりながら目線をそれとなく
お客様に向けると、Yさんの言う通り勃起していた。
これを確認した私はYさんと目を合わせて笑った。
してやった。そう思ったのだ。
この時は、とても嬉しく思い、達成感があった。

プレイが終わった後。
お客様が私とYさんをとても褒めてくれた。
このプレイを家で思い出して楽しもうと思う。
彼はそう言って、私とYさんにチップを渡して帰った。

これを機会に、私とYさんはとても仲が良くなったのは言うまでもない。