【R18】略奪王女と堅物夫の秘密 〜我々は鍵と鍵穴である〜

小判鮫

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16 ❇︎R18?❇︎ 初夜 〜『常識』〜

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 ヘルムーズはとてつもない幸福感に満たされていた。
 じんわりと生暖かく濡れている下着のこの不快感さえ、最愛の妻から与えられた褒美と感じるほどに。


 あの愚かな元婚約者と共に地に伏せた日、彼女からの「赦す」という言葉は、ヘルムーズに名状し難い悦びを与え、その胸を焦がした。

 長年求め続けた存在が、実は目の前に君臨しているということに気付けた、あの歓喜。

 今、アーナルヤから下された命令で、昂ぶり過ぎた挙げ句、堪え切れずに果てたことを「役立たず」と蔑みの眼差しと共に言われたい、などと考えているヘルムーズだ。


 だが、アーナルヤは閨事を何も知らない無垢な乙女。
 無知だからこそ、ヘルムーズの言葉を素直に信じて、命令を口にしただけに過ぎない。
 頭では理解していても、己があるじからの初めての命令だと思い込みたい気持ちが勝っている。


 起き上がってアーナルヤからの命令通りに閨着を脱がし、その背に手を回して体を反転させて、寝具に横たえた。

 荒い呼吸を繰り返すアーナルヤの下着に手を掛けて、傷一つつかないよう繊細な動きで下ろしていく。

「ああ、女神がここに……」

 アーナルヤの全てを目にしたヘルムーズの口から、思わず声が漏れた。

 真白き肌、仰向けでも張りのある椀型の乳房に色付いた蕾は、可愛らしく天に向かって存在を主張している。

 胸からなだらかにくびれ、小さな臍の辺りからまたふっくらと丸みを帯びた腰回り。

 下着を脱ぐ時に立てた膝の間から黒い茂みが見え、秘められた場所をあばく栄誉は自分だけに与えられたもので。

 この事実だけで、ヘルムーズの果てたばかりで力を失ったモノに血が巡っていく。

 しげしげと見つめているうちに、アーナルヤが理性を取り戻し、上体を起こした。

「ヘル、次はどうすれば良いのかしら?」

「アーニャ、私の気高き女王、どうか、触れることをお許しください」

 アーナルヤからの声掛けに、感極まったヘルムーズが、彼女の足の甲に額を押し当てる。

「既に触っているのに?遠慮など要らなくってよ?」

「では。これより私の行いに対する如何なるいなやも、お聞きすることは出来ません。初夜を完遂するお覚悟はおありですか?」

 許しを得て胸の内で歓喜に震えるヘルムーズだが、その内心を押し隠して至極真面目な顔でアーナルヤにその覚悟を問う。

 真顔のヘルムーズに不敵な笑みを浮かべて力強く頷くアーナルヤが口を開いた。

「勿論よ。貴方の妻として正式に認められる為ですもの。この初夜は、なんとしてもやり遂げなくてはならないわ」
 
ずは色々・・と解きほぐしませんとなりません。お体に口付ける許可を頂きたいのですが」

「許可が必要なの?夫ならば好きにするのものと思っていたのだけれど」

「何を仰いますか!アーニャは尊い御身。初夜では痛みや衝撃で気を失ったり、酷いと多量の出血も伴う女性がいると聞き及んでおります。私はそのような苦痛を与えたくないのです」

 ヘルムーズの気色けしきばんだ勢いと恐ろしげな発言に、アーナルヤはほんの少し眉を顰めた。

「そ……そうなの?先程みたいに、我を忘れたり、あとは、あ、奇声を発したりするのとは違うのかしら?」

「我を失うほど、私との行為に没頭して頂けたのですか?それは身に余る栄誉、嬉しく思います。それと奇声ではなく、歓喜の声で御座いますね。大変可愛らしかったので、もっとお聞かせ頂きたいのですが」

 真面目な顔で自身の願望を語るヘルムーズだが、夫婦の営みについてをまるで知らないアーナルヤは、嬉しげな笑みを浮かべ、その嫋やかな手を彼の顔に伸ばす。

「ならば、ヘル。わたくしの全てに触れることも口付けることも、貴方だけに許します。わたくしを、名実ともに妻にしなさい」

「我が妻の求めに全力で応えましょう」

 そう言いながら微笑み、アーナルヤに覆い被さるヘルムーズの首には細く白い腕が巻き付いた。


 こうして、誰の目に触れることなく、少しおかしな性癖を持つ夫と、無知で無垢な新妻の初夜は成し遂げられたのである。







 *・゜゚・*:.。..。.:*・'後書'・*:.。. .。.:*・゜゚・*


 この後書は読まなくても大丈夫ですが、流石に女性上位の初夜はないかな……と思いまして( ̄▽ ̄;)

 この後のR18描写を出すのを諦めました。書き始めたら長くなり、初夜だけで何話になるんだと……(T^T)

 お待たせした挙句この体たらく、申し訳ございませんm(_ _)m

 次回からはスムーズに更新出来るかと……
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