次の派遣先は"知らない世界"でした

turugi

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量は質を凌駕する

責任の所在はどこにある?

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 「……何かあったのか?」

 
 執務室に向かっている途中。二人の無言に痺れを切らしたかのようにテンが切り出す。


 「はい。良くないことであるとだけ回答しておきます。 詳細は旦那様から」


 テンは無意識に大きく息を吸い込み、鼻から息を出す。カンドから伝えられないことであるならば、かなり面倒が起こっているはずである。可能な限り“何とかできること”であってほしいと願いながら、オウトのいる執務室に到着した。


「旦那。 参りました」

「かなり面倒なことになった。 二人の意見を聞かせてほしい。 先ほど中央の税務官がエコノリハの納税調査に来て、2年後からの取り立てを増加すると告知してきた」


 オウトは言い難そうに口を開く。オウトの性格を良く知るテンとしては身構えてしまう。オウトは相談を自分にはあまりしない。基本的には自分で考え、決定事項を伝える方が得意だ。もともと軍部上がりの騎士であったため、トップダウンの指揮命令が身についている。そんな彼が”相談をする”ということは、考えがまとまらなかったのであろうが、税務官からの告知内容を聞く限り、そこまでの面倒ごとには聞こえなかった。


 「それがかなり面倒ってどういうことですかい? 確かに前回からあまり期間が経っていないにしても、あり得ねえ話ではないでしょうに」


 そう。税の取り立て量の増加は、定期的に依頼をされることである。そして各領主との調整の後に、双方の合意が行われた納税額や年貢量を納めることになる。


 「それが新領主のバタール勲爵が、既に納税額を領内の各地で決めてしまったらしい。 エコノリハでは昨年と比べ約1.5倍になるそうだ」

 「なんだって! 相談もなしですかい?!」

 「付け加えさせて頂くと、昨年までのように芋での納税を認められておらず、麦もしくは硬貨にての納付に指定されていました。もし、芋を売り金貨の工面をするとしても、領の内外で需要が無く、麦に関してはそもそもの農地がありません。仮に開墾は出来るにしても水が撒けません。雨が2~3日に1度降ることを祈りながらの栽培はリスクが高すぎます」

 「そういうことらしい。 バタール勲爵が農務の役人として実績を認められ、一代爵位を授与されたと聞いてきたから、農地改良ができるかと期待していたのだが、領の面積で単純な割り当てをしたんだろう」

 「糞野郎が! 中央の好きそうな数字遊びだけで決めやがって」

 「中央との合意の後であるとバタール勲爵から嘆願してもらうしかないが、新任領主として即座に自分の誤りを伝えて貰えるだろうか」

 「難しいでしょうね。 国内でも珍しい統治貴族の居ない領です。そこの領主は役人からしたら最上級の役職と言っても良いでしょう。最初から選択を間違えたとすれば、中央から足を引っ張りたい勢力が大波のように押し寄せます。領主という椅子に座り続けたいと保守に回れば、今回の合意は領で赤字になろうともやり切ります」

 「だろうな。早急に解決策を考えねば……」


 いつの間にか日が落ち始め、ランプに灯を入れる。エコノリハ地を治める男たちの会話はそこからランプの灯が落ちるまで続いた。
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