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第3章 迷宮道中膝栗毛!!
第149話 MURASAMA BLADE!
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「これでお主と心置きなく戦えるな。」
侍は元いた場所に律儀に戻ってから、俺と再び対峙した。
「俺の実力がご期待に添えるとでも?」
コイツの実力は現時点でもそこが見えていない。コイツ自身が“披露した”とはいえ、素手で戦うところしか見ていない。侍と言えば刀だ。それを俺はまだ見ていない。
「期待も何も、勇者というだけで十分ではないか。拙者は勇者とは因縁があるのでな。」
「勇者と因縁?」
俺はコイツとは初対面なので関係ない。先代?先々代?いや違うか。コイツは百年もこのダンジョンにいた。だとすると何代前かは知らないが、百年前の勇者と知り合いなのか?
「拙者はかつて、勇者に戦いを挑んだことがある。当時の勇者は“剣豪勇者”と名高い男であった。」
「で、どうなったんだ?結果は?」
「敗れた。敗れた後、勇者との再戦を誓って別れた。あの男とはそれっきりだ。理由は言わずともわかるな?誓いは果たされることはなかった。」
剣豪勇者?何代前の勇者かわからないし、100年も前の話だ。二代前のシャルル・アバンテの名前は自然と出てきたが、剣豪勇者に関してはさっぱりだ。何も浮かんでこない。やっぱり昔過ぎるから、わからないのかもしれない。
「お主が勇者であることを知ったとき、拙者は運命的な物を感じた。代替わりはしたが、かつての誓いを果たせる機会が訪れたことを確信した。」
「ちょっと待ってくれよ!俺は剣豪勇者とは別人だぜ。関係ないだろ。」
「否、関係ある。知っているぞ。その額冠には歴代の勇者の戦いの記憶が刻み込まれているのであろう?その記憶に聞いてみるが良かろう。」
聞いてみるって、それができないから困っているんだが?せめて、サヨちゃんがいれば昔のことを聞くこともできるんだけどな。
「お主が記憶を引き出せなくとも関係はない。この場で雌雄を決せなくば、先へは進めぬ。戦うことこそが宿命よ。」
侍は部屋の奥の祭壇?みたいになっている所へ歩いて行った。その場所から棒状の物を持ってきた。コレは……刀だ!
「それがアンタの剣か?」
「左様。これは妖刀、“無羅瑳魔”と呼ばれている。」
「え?何?ムラマサ?」
「ムラマサではないムラサマだ。」
「……?」
妖刀ムラマサとかなんとかいう刀があるとか聞いたことはあったような……?聞き間違いかもしれないし、うろ覚えだから、定かではない。知らんけど。
「俺相手にとうとう刀を解禁する気になったのか。」
「至極当然。かつての拙者は全力で挑んだ上で剣豪勇者に敗れたのだ。相手が後継者たる、お主だからこそ、全力で挑まねばならぬのだ。」
侍は刀を鞘からゆっくり引き抜き、構えを取った。
「では、早速始めようではないか。長年に渡り、切磋琢磨した成果を今ここで発揮することを約束しよう!」
エエェー!そんな約束しなくていいから!……しょうがない、戦おう。ここから出るにはコイツを倒すしかない。この戦いに全てがかかっているんだ。
侍は元いた場所に律儀に戻ってから、俺と再び対峙した。
「俺の実力がご期待に添えるとでも?」
コイツの実力は現時点でもそこが見えていない。コイツ自身が“披露した”とはいえ、素手で戦うところしか見ていない。侍と言えば刀だ。それを俺はまだ見ていない。
「期待も何も、勇者というだけで十分ではないか。拙者は勇者とは因縁があるのでな。」
「勇者と因縁?」
俺はコイツとは初対面なので関係ない。先代?先々代?いや違うか。コイツは百年もこのダンジョンにいた。だとすると何代前かは知らないが、百年前の勇者と知り合いなのか?
「拙者はかつて、勇者に戦いを挑んだことがある。当時の勇者は“剣豪勇者”と名高い男であった。」
「で、どうなったんだ?結果は?」
「敗れた。敗れた後、勇者との再戦を誓って別れた。あの男とはそれっきりだ。理由は言わずともわかるな?誓いは果たされることはなかった。」
剣豪勇者?何代前の勇者かわからないし、100年も前の話だ。二代前のシャルル・アバンテの名前は自然と出てきたが、剣豪勇者に関してはさっぱりだ。何も浮かんでこない。やっぱり昔過ぎるから、わからないのかもしれない。
「お主が勇者であることを知ったとき、拙者は運命的な物を感じた。代替わりはしたが、かつての誓いを果たせる機会が訪れたことを確信した。」
「ちょっと待ってくれよ!俺は剣豪勇者とは別人だぜ。関係ないだろ。」
「否、関係ある。知っているぞ。その額冠には歴代の勇者の戦いの記憶が刻み込まれているのであろう?その記憶に聞いてみるが良かろう。」
聞いてみるって、それができないから困っているんだが?せめて、サヨちゃんがいれば昔のことを聞くこともできるんだけどな。
「お主が記憶を引き出せなくとも関係はない。この場で雌雄を決せなくば、先へは進めぬ。戦うことこそが宿命よ。」
侍は部屋の奥の祭壇?みたいになっている所へ歩いて行った。その場所から棒状の物を持ってきた。コレは……刀だ!
「それがアンタの剣か?」
「左様。これは妖刀、“無羅瑳魔”と呼ばれている。」
「え?何?ムラマサ?」
「ムラマサではないムラサマだ。」
「……?」
妖刀ムラマサとかなんとかいう刀があるとか聞いたことはあったような……?聞き間違いかもしれないし、うろ覚えだから、定かではない。知らんけど。
「俺相手にとうとう刀を解禁する気になったのか。」
「至極当然。かつての拙者は全力で挑んだ上で剣豪勇者に敗れたのだ。相手が後継者たる、お主だからこそ、全力で挑まねばならぬのだ。」
侍は刀を鞘からゆっくり引き抜き、構えを取った。
「では、早速始めようではないか。長年に渡り、切磋琢磨した成果を今ここで発揮することを約束しよう!」
エエェー!そんな約束しなくていいから!……しょうがない、戦おう。ここから出るにはコイツを倒すしかない。この戦いに全てがかかっているんだ。
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