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第4章 勇者の剣と剣の巫女
第178話 臨時招集!!
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某日――。
我々、魔王軍は緊急会議を開くこととなった。通称“牛頭の魔王”ゴズ・バアル様が“消滅”する事態が発生してしまったのである。死亡ではなく消滅なのである。
「オウ!久し振りだな!サンダース!元気にしてたか?」
「ああ、どうもご無沙汰しおります。元気ではなく、陰気にはしておりました。」
「相変わらず、暗い奴だな。もっと気合い入れた方がはかどるぜ!」
私はとても陰気で最下位。十二人いる魔王の中でも最弱。私の名前は龍のジューホ・サンダースです。一応“負の探求者”と呼ばれております。以後お見知りおきを。
「緊急で集合なんて、どんなことが起きたんだ?俺ぁ、びっくらこいたぜ!」
この方は“狂乱の武闘者”こと猿のサナ・ウォーリア殿である。武の探求者とも言える存在で単純な戦闘力は魔王の中でも随一と言われている。
「私からこの会議のご連絡をした際に、お伝えしたはずなのですが……。」
「そうだったか?いやあ、悪い悪い!忘れちまったわ!」
このような緊急事態でもあっけらかんとしている……。この方らしいといえばこの方らしいのだが……。
「忘れたとはどういうことだ!コラ!ふざけんじゃねえぞ、このエテ公!!」
物凄い怒声をあげて虎殿がやってきた。思わず、身が竦んでしまう。この方は“暴虐の破壊者”ティーグ・ザカリオン。とても血の気が多いお方で、他の方と喧嘩沙汰になることもしばしば……。
「堅えこと言うなよ、ティーグ!」
「ゴズがやられたんだぞ!大事だ!アイツが俺のダチってことはお前も知ってるだろうが!」
「そうだったっけ?」
「てめえ、ブッ殺すぞ!」
いけない、いけない!一触即発の事態だ。このままでは、血の雨が降る程度では済まされない。
「君たち、やめておきなさい。キングがいらっしゃるというのに、見苦しいマネはおよしなさい。キングの御前で粗相は許されませんよ?」
物腰柔らかいこの方は、四天王の一人、“疾走の先駆者”、馬のギャロ・ペレキュデイス。八傑の我々より格上の四天王である。この方が止めに入ったのであれば、虎殿も従わざるを得ないだろう。
「あぁ!?なんだ、コラ!この馬面野郎!」
虎殿は馬殿に殴りかかった。なんということを!四天王に手を上げるなんて!本当に大変なことになってしまった。
(ゴギン!!)
殴りかかった虎殿の腕がねじ曲がっていた。
「ぐがあぁ!?」
「何とも騒がしい。君はもっと冷静になることを覚えた方が良い。」
馬殿はいつの間にか、会議場の扉の前に移動していた。さすがは疾走の異名を持つだけのことはある。目にも止まらぬ動きだ。
「チクショウ!覚えてやがれ!ぜってえ、俺が四天王に成り上がってやるからな!」
悔しがりつつも、負傷した腕を瞬時に再生している。さすがだ。
「すっげえな!さすが四天王!ワクワクしてきたぞ!」
反応も人それぞれだ。成り上がることを望む虎殿、強さに感銘を受ける猿殿。タイプは違うがお二人とも向上心を持っておいでだ。私は向上心など持たない。何故なら、私は最下位だから、そこまでの実力はない……。
「さあ参りましょう。四天王のギャロ殿がいらっしゃたのですから、何時までもこんなところで油を売っているわけにもいけませんし……。」
「ケッ!」
「そうだな、そろそろ行くか。」
我々三人は馬殿に続いて会議室へと向かった。
我々、魔王軍は緊急会議を開くこととなった。通称“牛頭の魔王”ゴズ・バアル様が“消滅”する事態が発生してしまったのである。死亡ではなく消滅なのである。
「オウ!久し振りだな!サンダース!元気にしてたか?」
「ああ、どうもご無沙汰しおります。元気ではなく、陰気にはしておりました。」
「相変わらず、暗い奴だな。もっと気合い入れた方がはかどるぜ!」
私はとても陰気で最下位。十二人いる魔王の中でも最弱。私の名前は龍のジューホ・サンダースです。一応“負の探求者”と呼ばれております。以後お見知りおきを。
「緊急で集合なんて、どんなことが起きたんだ?俺ぁ、びっくらこいたぜ!」
この方は“狂乱の武闘者”こと猿のサナ・ウォーリア殿である。武の探求者とも言える存在で単純な戦闘力は魔王の中でも随一と言われている。
「私からこの会議のご連絡をした際に、お伝えしたはずなのですが……。」
「そうだったか?いやあ、悪い悪い!忘れちまったわ!」
このような緊急事態でもあっけらかんとしている……。この方らしいといえばこの方らしいのだが……。
「忘れたとはどういうことだ!コラ!ふざけんじゃねえぞ、このエテ公!!」
物凄い怒声をあげて虎殿がやってきた。思わず、身が竦んでしまう。この方は“暴虐の破壊者”ティーグ・ザカリオン。とても血の気が多いお方で、他の方と喧嘩沙汰になることもしばしば……。
「堅えこと言うなよ、ティーグ!」
「ゴズがやられたんだぞ!大事だ!アイツが俺のダチってことはお前も知ってるだろうが!」
「そうだったっけ?」
「てめえ、ブッ殺すぞ!」
いけない、いけない!一触即発の事態だ。このままでは、血の雨が降る程度では済まされない。
「君たち、やめておきなさい。キングがいらっしゃるというのに、見苦しいマネはおよしなさい。キングの御前で粗相は許されませんよ?」
物腰柔らかいこの方は、四天王の一人、“疾走の先駆者”、馬のギャロ・ペレキュデイス。八傑の我々より格上の四天王である。この方が止めに入ったのであれば、虎殿も従わざるを得ないだろう。
「あぁ!?なんだ、コラ!この馬面野郎!」
虎殿は馬殿に殴りかかった。なんということを!四天王に手を上げるなんて!本当に大変なことになってしまった。
(ゴギン!!)
殴りかかった虎殿の腕がねじ曲がっていた。
「ぐがあぁ!?」
「何とも騒がしい。君はもっと冷静になることを覚えた方が良い。」
馬殿はいつの間にか、会議場の扉の前に移動していた。さすがは疾走の異名を持つだけのことはある。目にも止まらぬ動きだ。
「チクショウ!覚えてやがれ!ぜってえ、俺が四天王に成り上がってやるからな!」
悔しがりつつも、負傷した腕を瞬時に再生している。さすがだ。
「すっげえな!さすが四天王!ワクワクしてきたぞ!」
反応も人それぞれだ。成り上がることを望む虎殿、強さに感銘を受ける猿殿。タイプは違うがお二人とも向上心を持っておいでだ。私は向上心など持たない。何故なら、私は最下位だから、そこまでの実力はない……。
「さあ参りましょう。四天王のギャロ殿がいらっしゃたのですから、何時までもこんなところで油を売っているわけにもいけませんし……。」
「ケッ!」
「そうだな、そろそろ行くか。」
我々三人は馬殿に続いて会議室へと向かった。
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