【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第4章 勇者の剣と剣の巫女

第179話 集合は時間厳守でお願いします。

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「遅いぞ、貴様ら!四天王より遅れてくるとは何事だ!」


 会議室へと入った我々を出迎えたのは犬殿の叱責だった。彼の名はタンブル・ウィルダネス。全魔王の中で最も序列と規律を重んじる。“魔軍の統率者”の異名を持ち、魔王軍の中でも最大の軍団を率いている。


「うるせえぞ、犬っころ!キャンキャンうるせえんだよ!」

「タンブル、堅えこと言うなよ。もっと楽しく行こうぜ。久し振りの集まりなんだからよ!」

「だまれ!身の程を弁えろ!」


 やれやれ、また始まってしまった。みんな血の気が多すぎる。この中にずっといたら、ストレスで死んでしまうかもしれない。


「いつまでも、調子こいてんじゃねえぞ、雑魚共!」


 突然、響き渡る怒声。先程まで沸き立っていた会議室は一瞬で静まりかえった。静まりかえったと言うより、恐怖が伝播したのだ。“恐慌の伝道者”四天王の一人、鳥のポジョス・ザ・パルピテイション殿だからこそ為せる技だ。


「ポジョス様、大変失礼致しました。」


 タンブル殿はかしこまりポジョス殿に非礼をわびている。ポジョス様相手に冷静に対応するとは大したお方だ。私なら絶対出来ない。恐い恐い。


「オイ、ハリス!テメエが八傑のアタマだろうが!ちゃんと下々ぐらい絞めとけよ。」


 ハリス殿?まだいらしていないはずでは?……席の方に目を向けるといつの間にか、そこに鎮座しておられた。如何なる時でも一切声を発さない“沈黙の支配者”、羊のハンニ・B・ハリス殿。我々八傑のリーダーである。終始無言でもそのカリスマ性は圧倒的だ。


(ドゴォォォォン!!!)


 会議室の壁が突然崩壊した。でもこのような事態を引き起こすのはあの方以外に考えられない。


「オイコラ、豚野郎!テメエはいつになったら、ドアから入って来れるんだ?ド低脳か!」


「ガハハ!いっやあ!つい勢い余っちまうもんで!すいやせん、ポジョス様。」


 一度勢いがついたら誰にも止めることが出来ない“猪突の猛進者”、猪のガノス・グルンブル殿だ。


「ヨシ、みんな揃ったね。じゃあそろそろ始めようか?」


 先程のポジョス様やハリス殿同様、全く気配を悟らせずに四天王、兎のラゴース・ザ・ヴォーパル様が現れた。通称“血煙の殺戮者”、魔王軍の№2でキングの片腕ともいえるお方だ。


「オイ、何言ってんだ?まだ、蛇がまだ来てねえぞ!」


 ポジョス様が指摘するが、ラゴース様は笑みを浮かべている。八傑の中で唯一、まだ蛇のシャロット・アラン殿が姿を見せていない。だというのに何故だろうか?


「何言ってるんだい?彼女なら最初からそこにいるじゃないか。一番乗りでここに来ていたよ。」

「ゲエッ!いつの間に!」

「あら、ごめんなさい。ついつい、気配を消すのが癖になっているのですわ。ホホホ。」


 四天王ポジョス様にさえ気配を悟らせないとは!“影の執行者”は最初からそこに
いたのだ。


「では、後はキングがおいでになるのを待つばかり……。」


 会議室にはこれまで以上の緊張感が漂う。この緊張感だけで何十回も死んでしまいそうだ。それほどの強烈なストレスだ。


「やあ、諸君!元気そうで何よりだよ。」


 我らがキング、ついにラット・キング様がおいでになった!
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