【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第4章 勇者の剣と剣の巫女

第211話 猛虎、進撃!

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「じゃあ、そろそろ本格的に遊びを開始するとしようか!」


 指の鋭い爪を見せつけ、これ見よがしに威嚇している。今度は直接、自分の体で攻撃をするぞ、という意思表示にも見える。


「行くぜ!」


 と聞こえた瞬間に、もう既に魔王は眼前に迫っていた。でかい図体からは想像できない恐ろしい速さだ!


(ガギッ!!)

「チクショウ、折れねえか!勇者の剣じゃないとはいっても、割といい剣使ってんじゃねえか!」

「そう簡単に折れるかよ!これでも結構有名な妖刀なんだぜ?」


 速攻で武器を折りに来るとは、初っぱなから心を折る狙いもあるのだろう。戦意を失わせた上で相手を嬲るような戦い方なのかもしれない。さすが魔王、やることがえげつない!


「まあ、いいや。一回で折れなかっただけだ。折れるまでやってやるよ!」

(ブオッッッ!)


 手の爪の次は足が来た。すごい速さの上段回し蹴りだ!俺はとっさにしゃがんで躱す。頭の上で突発的な暴風が通り過ぎたかのような気配がした。その攻撃のすさまじさに冷や汗が出る。


「まだ終わりじゃないぜ、オラアッ!!」

(ブンッッ!!)


 回し蹴りで振り上げたままの足を今度は振り下ろしてきた。かかと落としだ!しゃがんだ体勢から、膝のバネを使って、後ろへ飛んで躱した。


(バゴォォッッ!!)


 魔王のかかとが石床を粉砕し、周囲に破片が飛び散った。まるで大岩を叩きつけたような痕跡が残った。こんなのを喰らったらひとたまりもない!


「どうした?反撃はしねえのか?しねえと、この床みたいになってしまうぜ?」


 瞬く間に、かかと落としから逃れた俺に間合いを詰めてきた。鋭い爪が襲い来る!右から左から!反撃をする隙がない。


「そらそら!死ぬなよ?死ぬなよ?」


 魔王は半分ふざけ気味で攻撃してきた。そんなことが出来るって事は、まだ本気を出していない可能性がある。そう考えただけでも、ゾッとした。


「……絶対、死ぬなよ!!」


 左右から挟み込むような攻撃を仕掛けてきた。これはヤバイ!ここは一か八か……。


「峨龍滅睛!!」


 魔王の頭上へと飛び、刀を振り下ろす!これならいけるはずだ!


(ガギン!!)

「おひい!」


 「惜しい」とでも言いたいのだろうか?それはともかく、魔王はその大きな口で峨龍滅睛を受け止めた。人外の、魔物だからこそ出来る芸当だ。膂力もすごいが、反射神経も半端じゃない。こんな相手をどうやって倒せばいいのだろう?
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