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第4章 勇者の剣と剣の巫女
第223話 犬もおだてりゃ……?
しおりを挟む「あんまり褒めないでほしいでヤンス。照れて手元に狂いが出るかもしれんでヤンス。ワッハッハッ!」
ちょっとエルちゃんにお願いされただけでいい気になりやがって!手元に狂い、って誰もお前にそんなのもの求めてないぞ!
「私が魔法でサポートします。ウィザーズ・アイでタニシさんと視界を共有しながら、思念波で指示を出します。」
ウィザーズ・アイとは遠くを見るための魔法だ。直接視力を高くするものや、使い魔とか水晶玉を使って対象の様子を見たり出来るらしい。最近では応用で映像を記録して、自分や他者に見せたり出来る技術があるらしい。身近な例だと、ミヤコはそれを使って、冒険実況とかしてたらしい。ナニソレ?ここまでくると意味がワカンナイ。
「エルしゃんと視界を共有?マジでヤンスか!何か興奮してきたでヤンス!」
何を勘違いしてるんだコイツは!何かイカガワシイことを考えているな。気を付けろ、エルちゃん!
「フム。ワン公がやる気になっているのであれば、妾も何か特別に支援してやろう。」
サヨちゃんは突然、手元に一本の瓶を出現させた。なんかゴッツン・ゴーの瓶に似ているが……中身の液体の色がおかしい。あり得ない光りかたをしている。灯りを当てている訳でもないのに、虹色に輝いている。ミヤコの髪の色みたいだ。
「そ、それはー!も、もしかして、で、伝説の……、」
「そなたなら知っておろう。そなたほどのゴッツン・ジャンキーなら知らぬはずがあるまい。」
「ゴッツン・ゴー・ジェネシスでヤンスね!あの期間限定且つ数量限定で販売され、後日中毒騒動で回収騒ぎにも発展した幻の一品でヤンス!」
タニシが興奮している。フンス、フンス、と鼻息が荒くなっている。それはともかく、飲んでも大丈夫なのか?回収騒ぎがあったんだろ?死んじゃわない、コレ?いや、死ぬどころか何か得体の知れない生物が誕生するかもしれん。元タニシであった何者かになりそう。
「ホントにもらえるんでヤンスか?」
「うむ。その場で飲むのであれば構わんぞ。保存用もしくは転売するのであれば、これはやれぬ。」
「転売なんて滅相もない!この場で頂くでヤンスぅ!」
まるで餌を欲しがる犬みたいになっている。尻尾を高速でグルグル回して、ホントに犬みたいだ。いや、まあ、ほぼ犬なんだけど。
「ほれ、受け取れ。」
「やったぁ、でヤンスぅ!」
(クッ……シポンっ!!)
タニシは瓶を受け取り、いつの間にか手にしていた栓抜きで瓶の口を開けた。これでもかというくらい、耳障りのいい音を出してキャップが吹き飛んだ。……お前、マイ栓抜きなんか持ってたんか。
「いただきまーす!」
(ごきゅ……ごきゅ……ごきゅ……ごきゅ……、)
うまそうに飲んでいる。こっちも飲みたくなってきたじゃないか。ゴッツンは別にいいけど。
「……ぷはあっ!……ん、んま~~い!!やってやるぅ!!!」
飲み干したタニシはなんか様子がおかしくなった。ノーマルのゴッツンを飲んだときもそうだが、もっとやばいヤツを飲んだから、今度はどんな風になるんだ?
「……お……お……、」
「……お?」
「……オサム兄さんっ!!!」
タニシはキメ顔で叫んだ。誰だよ!オサムって!またおかしなことになってきた。こんなことで魔王に勝てるんだろうか?
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