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第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第280話 腐れ縁
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――――十年前。
「また、あたしの勝ち!」
「クソッ!」
クルセイダーズに入団したてのあの頃、俺達は鍛錬に明け暮れていた。俺とジュリアは同期だったので、鍛錬や任務で一緒になる事が多かった。いわゆる腐れ縁というヤツだ。
「あのさ、もう諦めた方がいいんじゃない?」
この頃のジュリアはまだ可愛らしさの残る、一見普通の神官戦士だった。そのため、同期の男どもにはかなり人気があった。しかし、見た目に騙されてはいけない。コイツは先祖代々受け継がれている怪力の持ち主なのだ。同期で敵うヤツなど誰もいない。しかも、父親はクルセイダーズの総長“十字剣のユーリー”、だ。その事実がより一層、男を遠ざける理由になっていた。
「諦めねえよ、俺は。一度やるといったら、やり遂げるんだ、絶対にな!」
同期の中でジュリアに唯一対抗出来る者は俺だけだった。もちろん、得手不得手があるので状況によってはヤツの方が有利なことが多いが、遠い間合いでは魔術の使える俺が有利だ。だが敢えて、俺はヤツに対して近距離戦を挑んでいた。
「無理なんじゃない?エルフはあたしらに比べて体も弱い上に、アンタ自身は魔術師だし。近近距離戦まで極めるってこと自体、無理な話なのよ。」
「うるせえ……。」
それなりの実績のあるシオン一族、A(アルファ)家の出身、それが俺の素性だ。特にアルファ家の人間は一族の頂点を担うことも多く、俺も当主候補の一人だ。
「俺は魔術も剣術も極めてみせる。お前ぐらい簡単に追い越してみせるさ。」
だが、俺はそんな運命を受け入れるつもりはない。魔術至上主義な一族の考え自体が嫌いなのだ。そんな考えはもう古い。俺は俺自身の道を行く。最強の魔法剣士を目指している。
「それにお前も立場的に似たようなモンだろ。女が前線に立つってだけで目を付けられる。お前の強さに嫉妬してるヤツなんてごまんといるんだぜ。剣術も極めようとしてるエルフ魔術師の俺とどこが違うんだ?」
それぞれ理由が違うとはいえ、人から奇異の目で見られている事は共通している。そういう意味では同じだ。
「違うじゃん。あたしは少なくとも、ご先祖様から受け継いだ腕力があるから才能はある。並みの男よりはね。アンタは剣士の家系じゃないのに無理矢理やろうとしてる。才能が無いとこの先躓くよ?クルセイダーズに所属してるなら尚更。熱意だけでどうにかなるもんじゃないよ。頭のいいアンタならそれぐらいわかってるでしょ。」
「ケッ……。」
どいつもこいつも才能だの血筋だの、どうでもいいことに囚われてやがる。
「ちげえよ。才能があるかどうかなんて自分で決めるんだよ。ないからって縮こまってる雑魚と俺は違うんだよ。俺がやるっていったら、やり遂げんだよ。」
「うわー、なんかむかつくわ。」
「勝手にムカついてろ。……それよりも続きだ、続き。まだ、時間はあるんだ。」
鍛錬を続ける。俺が一本でも勝てれば即終了。それが基本のルールで日が暮れるまで続ける。とはいえ、今まで一本も取れたことはない。もちろん、勝てるまで続けるつもりだ。いつまでも。
「また、あたしの勝ち!」
「クソッ!」
クルセイダーズに入団したてのあの頃、俺達は鍛錬に明け暮れていた。俺とジュリアは同期だったので、鍛錬や任務で一緒になる事が多かった。いわゆる腐れ縁というヤツだ。
「あのさ、もう諦めた方がいいんじゃない?」
この頃のジュリアはまだ可愛らしさの残る、一見普通の神官戦士だった。そのため、同期の男どもにはかなり人気があった。しかし、見た目に騙されてはいけない。コイツは先祖代々受け継がれている怪力の持ち主なのだ。同期で敵うヤツなど誰もいない。しかも、父親はクルセイダーズの総長“十字剣のユーリー”、だ。その事実がより一層、男を遠ざける理由になっていた。
「諦めねえよ、俺は。一度やるといったら、やり遂げるんだ、絶対にな!」
同期の中でジュリアに唯一対抗出来る者は俺だけだった。もちろん、得手不得手があるので状況によってはヤツの方が有利なことが多いが、遠い間合いでは魔術の使える俺が有利だ。だが敢えて、俺はヤツに対して近距離戦を挑んでいた。
「無理なんじゃない?エルフはあたしらに比べて体も弱い上に、アンタ自身は魔術師だし。近近距離戦まで極めるってこと自体、無理な話なのよ。」
「うるせえ……。」
それなりの実績のあるシオン一族、A(アルファ)家の出身、それが俺の素性だ。特にアルファ家の人間は一族の頂点を担うことも多く、俺も当主候補の一人だ。
「俺は魔術も剣術も極めてみせる。お前ぐらい簡単に追い越してみせるさ。」
だが、俺はそんな運命を受け入れるつもりはない。魔術至上主義な一族の考え自体が嫌いなのだ。そんな考えはもう古い。俺は俺自身の道を行く。最強の魔法剣士を目指している。
「それにお前も立場的に似たようなモンだろ。女が前線に立つってだけで目を付けられる。お前の強さに嫉妬してるヤツなんてごまんといるんだぜ。剣術も極めようとしてるエルフ魔術師の俺とどこが違うんだ?」
それぞれ理由が違うとはいえ、人から奇異の目で見られている事は共通している。そういう意味では同じだ。
「違うじゃん。あたしは少なくとも、ご先祖様から受け継いだ腕力があるから才能はある。並みの男よりはね。アンタは剣士の家系じゃないのに無理矢理やろうとしてる。才能が無いとこの先躓くよ?クルセイダーズに所属してるなら尚更。熱意だけでどうにかなるもんじゃないよ。頭のいいアンタならそれぐらいわかってるでしょ。」
「ケッ……。」
どいつもこいつも才能だの血筋だの、どうでもいいことに囚われてやがる。
「ちげえよ。才能があるかどうかなんて自分で決めるんだよ。ないからって縮こまってる雑魚と俺は違うんだよ。俺がやるっていったら、やり遂げんだよ。」
「うわー、なんかむかつくわ。」
「勝手にムカついてろ。……それよりも続きだ、続き。まだ、時間はあるんだ。」
鍛錬を続ける。俺が一本でも勝てれば即終了。それが基本のルールで日が暮れるまで続ける。とはいえ、今まで一本も取れたことはない。もちろん、勝てるまで続けるつもりだ。いつまでも。
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