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第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第336話 一方その頃、ヴァル様は……、
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「ようこそ、我が居城へ! 私の招聘に応じてくれたことを光栄に思う。」
拙者はとある人物から仕官の招待を持ちかけられていた。最初は警戒をしていた。得体の知れぬ連中であると判断したからだ。竜の力を取り込んだ男を首領として、悪名高き邪竜、禁断の秘術を研究する妖術師を配下に据え、暗躍していると聞き及んだ。情報源は勇者と行動を共にする賢者からだ。この情報から拙者は一旦、判断を保留することにしていた。
「この城もまだ完成したばかりだ。その完成祝いとしても、君が来たことは申し分ない良い出来事だ。」
その情報とは裏腹に、この男に興味を持っていたこともまた事実だった。迷宮で一目見たときから、この男は只ならぬ気配を纏っていた。今生の勇者、剣豪勇者だけではない。今まで拙者が相対してきた武人達以上の威圧感を持っていた。後に噂で聞いたところによると、自他共に“千年に一人の英雄”であるとされている。確かに大仰な二つ名ではあるが、実際にそれに負けぬ風格を備えている。
「拙者の実力を評価していると聞き、馳せ参じた。拙者を戦術指南役として迎えたいということだが?」
「ウム。君の戦術眼は私の目を引く物があった。勇者との戦いを遠目の魔術で拝見していた。君の巧みな戦術は勇者をも圧倒していた。あの勇者を負かした実績があるのは数は少ない。私もその一人だが、君自身もその一人に入る。」
「先日、拙者は勇者に敗北したところなのだが? よろしいのか?」
大武会にて、激戦を繰り広げた後、敗北した。秘技を用い全力を注いだが、その結果だ。しかし敗北したとはいえ、悔恨の思いはない。むしろ清々しささえある。今まで体験したことのない感情だったのは間違いない。
「私とて二戦目では敗北を喫している。君と同じだ。同じ物同士、わかり合える物があると、私は踏んだのだ。同じ宿敵を持つ者として。互いに競い合えるとも思ったのだよ。」
「ふははは。気に入った。拙者も同じ事を考えていたところだ。なるほど、お主とは馬が合いそうだ。」
「フフ。今まで私に並ぶ高邁な精神を持った者はいないと思っていたが、私は良き友を得た。今宵は祝杯並びに特上の料理も用意させている。後で酒でも飲み交わそうではないか。」
「かたじけない。」
拙者も珍しく機嫌は良かった。同じ志を持つ者に出会えたのだ。拙者にとって善悪は詮無きこと。強さを追求するには雑音にすぎぬからだ。この男、ヴァル・ムング殿導かれるならば、拙者も理想に近付けるものと判断した。他の配下の御仁達もそれ故、集っておるのだろう。
「祝宴の前に君には余興に参加して貰いたい。構わぬか?」
「余興とは?」
「君には我が軍の戦士、新たなる力を手に入れた者と戦って貰いたいのだ。私の部下が手塩にかけて研究してきた物だ。祝宴を前に披露する機会を用意したのだ。」
悪魔の力を研究している学者が配下にいると聞いていたが、戦士の肉体を強化する技術を持っているとは。悪霊や物の怪を支配する術だけではないのだな。奥が深い物よ。
「ほほう、それは面白い。拙者も手土産が何も無かったので苦心しておったのだが、丁度良い機会だ。やらせて貰おう。」
「それは良かった。私も君の戦いぶりを目の前で拝見したかったのだ。君の芸術的な東洋の剣術を目の当たりにしたかったのだよ。」
ヴァル殿が指を鳴らす。その合図と共に一人の戦士と初老の痩せこけた妖術師風の男が現れた。痩せた男が学者殿なのであろう。戦士の方は……随分と若い。まだ元服したばかりの頃合いであろうか? 顔は見えない。頭全てを覆う兜を身に付けている。のぞき穴が見当たらない。どのようにして視界を確保しているのであろうか? 色々と疑問は尽きない。
「彼の名は“エピオン”。二人とも存分に戦ってくれ給え!」
拙者は刀を抜き、青眼に構えた。得体の知れぬ戦士だが、殺気は鋭い。多少は拙者を楽しませてくれそうだ!
拙者はとある人物から仕官の招待を持ちかけられていた。最初は警戒をしていた。得体の知れぬ連中であると判断したからだ。竜の力を取り込んだ男を首領として、悪名高き邪竜、禁断の秘術を研究する妖術師を配下に据え、暗躍していると聞き及んだ。情報源は勇者と行動を共にする賢者からだ。この情報から拙者は一旦、判断を保留することにしていた。
「この城もまだ完成したばかりだ。その完成祝いとしても、君が来たことは申し分ない良い出来事だ。」
その情報とは裏腹に、この男に興味を持っていたこともまた事実だった。迷宮で一目見たときから、この男は只ならぬ気配を纏っていた。今生の勇者、剣豪勇者だけではない。今まで拙者が相対してきた武人達以上の威圧感を持っていた。後に噂で聞いたところによると、自他共に“千年に一人の英雄”であるとされている。確かに大仰な二つ名ではあるが、実際にそれに負けぬ風格を備えている。
「拙者の実力を評価していると聞き、馳せ参じた。拙者を戦術指南役として迎えたいということだが?」
「ウム。君の戦術眼は私の目を引く物があった。勇者との戦いを遠目の魔術で拝見していた。君の巧みな戦術は勇者をも圧倒していた。あの勇者を負かした実績があるのは数は少ない。私もその一人だが、君自身もその一人に入る。」
「先日、拙者は勇者に敗北したところなのだが? よろしいのか?」
大武会にて、激戦を繰り広げた後、敗北した。秘技を用い全力を注いだが、その結果だ。しかし敗北したとはいえ、悔恨の思いはない。むしろ清々しささえある。今まで体験したことのない感情だったのは間違いない。
「私とて二戦目では敗北を喫している。君と同じだ。同じ物同士、わかり合える物があると、私は踏んだのだ。同じ宿敵を持つ者として。互いに競い合えるとも思ったのだよ。」
「ふははは。気に入った。拙者も同じ事を考えていたところだ。なるほど、お主とは馬が合いそうだ。」
「フフ。今まで私に並ぶ高邁な精神を持った者はいないと思っていたが、私は良き友を得た。今宵は祝杯並びに特上の料理も用意させている。後で酒でも飲み交わそうではないか。」
「かたじけない。」
拙者も珍しく機嫌は良かった。同じ志を持つ者に出会えたのだ。拙者にとって善悪は詮無きこと。強さを追求するには雑音にすぎぬからだ。この男、ヴァル・ムング殿導かれるならば、拙者も理想に近付けるものと判断した。他の配下の御仁達もそれ故、集っておるのだろう。
「祝宴の前に君には余興に参加して貰いたい。構わぬか?」
「余興とは?」
「君には我が軍の戦士、新たなる力を手に入れた者と戦って貰いたいのだ。私の部下が手塩にかけて研究してきた物だ。祝宴を前に披露する機会を用意したのだ。」
悪魔の力を研究している学者が配下にいると聞いていたが、戦士の肉体を強化する技術を持っているとは。悪霊や物の怪を支配する術だけではないのだな。奥が深い物よ。
「ほほう、それは面白い。拙者も手土産が何も無かったので苦心しておったのだが、丁度良い機会だ。やらせて貰おう。」
「それは良かった。私も君の戦いぶりを目の前で拝見したかったのだ。君の芸術的な東洋の剣術を目の当たりにしたかったのだよ。」
ヴァル殿が指を鳴らす。その合図と共に一人の戦士と初老の痩せこけた妖術師風の男が現れた。痩せた男が学者殿なのであろう。戦士の方は……随分と若い。まだ元服したばかりの頃合いであろうか? 顔は見えない。頭全てを覆う兜を身に付けている。のぞき穴が見当たらない。どのようにして視界を確保しているのであろうか? 色々と疑問は尽きない。
「彼の名は“エピオン”。二人とも存分に戦ってくれ給え!」
拙者は刀を抜き、青眼に構えた。得体の知れぬ戦士だが、殺気は鋭い。多少は拙者を楽しませてくれそうだ!
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