45 / 331
第1章 はぐれ梁山泊極端派【私の思い出に決着を……。】
第45話 魔術師とは決して目を合わせるな!
しおりを挟む
(ズドォォォォォン!!!!)
俺の真上を破滅の閃光が通り過ぎていく。やり過ごしはしたものの、ちょっと熱い。凄い熱量だ。喰らったら、即蒸発とかそんなレベルなんだろう。ソレをどうかわしたというと、その場に仰向けに倒れ込んだ。ただそれだけ。以前、侍の攻撃をかわした時と同じ。あの時はただのハプニングだったのだが、今回はあの経験を生かした。
「馬鹿な! あのタイミングでかわしただと! ありえない!」
さすがに魔法だ。二種類も魔法を立て続けに使ったから、追撃が来ない。いや、出来ないのだろう。そういう意味では邪魔されることなく起き上がれた。起き上がったついでにもう一度剣を抜こうとした。でも、やっぱり抜けない。
「握手の時、何したの? 正直に言うてみ?」
ラヴァンは動揺から気を取り直し、俺と相対する。避けられたのは誤算だったようだが、まだまだ余裕が見られる。まだ策はあるのだろう。
「フッ、学ばない男だな君は。私は君に剣を抜けないようにするギアスをかけた。」
「あれだけのことで!?」
「知らないのか? 魔術師と相対する時は決して目線を合わせてはいけないし、むやみに体に触れてもいけない。単純なギアス程度ならそれだけで成立させることが出来るからだ。ナドラ様が君にギアスをかけたときも同様だ。目を合わせてしまったことが、君の過ちだ。」
目を合わせたり、握手するのがアウトかよ。だって人と話すときは目を合わせるのは基本でしょうが! 握手もだ。求められたからには応じるべきだろ? 魔術師ってマナー悪すぎなんじゃない?
「言っておくが、これは基本だ。常識を知らなかった君が悪い。魔術師をなめた報いだ。思い知るがいい!」
(ウヴンッ!!)
この瞬間、俺の体は重くなった。疲れているのだろうか? いや違う。疲労から来る倦怠感とかそういうのではない。体中に金属の塊を付けられた様な感触がある。身動きを取ろうとしても、異様な重さでほとんど動かせない。
「な……なにをし……た?」
「重力制御の魔術を使った。それでは身動きが取れまい? だが、容赦なく私は攻撃を加える。これは決闘だからな。」
今度は体の左右から圧迫感を感じる。これは以前、エルが戦った双子の魔術師が使っていた魔法かもしれない。あの双子は二人がかりで行使していたが、コイツは一人だけで実現している。そういう意味ではあの二人よりも強いのかもしれない。
「逃げることは出来ないはず。放っておけば君の体は圧搾され、跡形もなく崩壊してしまうだろう。そうなる前に降参する事を勧める。」
やり口も同じか。相手をギブアップさせることが目的のようだ。エルはあの時、アクセレイションで強引に脱出していた。でも、俺はそんな物は使えないので、脱出不能だ。
(メキ……メキ……。)
ちょっとずつ、締め付けがキツくなっていっている。そのたびに体が軋む音が聞こえてくるようだ。俺はこのままペシャンコになってしまうのか?
「強情な奴だな。大武会でのエレオノーラの様な力を君は持っていないはず。即ち脱出は不可能。耐えるだけ無駄ということだ。このままでは確実に、馬車に轢かれたカエルのように無様に潰れて死んでしまうことになるぞ!」
そうか、カエルみたいになっちまうか。泥まみれになったり、全身ボロボロになったり。今度はカエルか。カエル……ん? ちょっと待てよ。カエルって捕まえようとしてもヌルッとすり抜けることが多いよな?
俺の真上を破滅の閃光が通り過ぎていく。やり過ごしはしたものの、ちょっと熱い。凄い熱量だ。喰らったら、即蒸発とかそんなレベルなんだろう。ソレをどうかわしたというと、その場に仰向けに倒れ込んだ。ただそれだけ。以前、侍の攻撃をかわした時と同じ。あの時はただのハプニングだったのだが、今回はあの経験を生かした。
「馬鹿な! あのタイミングでかわしただと! ありえない!」
さすがに魔法だ。二種類も魔法を立て続けに使ったから、追撃が来ない。いや、出来ないのだろう。そういう意味では邪魔されることなく起き上がれた。起き上がったついでにもう一度剣を抜こうとした。でも、やっぱり抜けない。
「握手の時、何したの? 正直に言うてみ?」
ラヴァンは動揺から気を取り直し、俺と相対する。避けられたのは誤算だったようだが、まだまだ余裕が見られる。まだ策はあるのだろう。
「フッ、学ばない男だな君は。私は君に剣を抜けないようにするギアスをかけた。」
「あれだけのことで!?」
「知らないのか? 魔術師と相対する時は決して目線を合わせてはいけないし、むやみに体に触れてもいけない。単純なギアス程度ならそれだけで成立させることが出来るからだ。ナドラ様が君にギアスをかけたときも同様だ。目を合わせてしまったことが、君の過ちだ。」
目を合わせたり、握手するのがアウトかよ。だって人と話すときは目を合わせるのは基本でしょうが! 握手もだ。求められたからには応じるべきだろ? 魔術師ってマナー悪すぎなんじゃない?
「言っておくが、これは基本だ。常識を知らなかった君が悪い。魔術師をなめた報いだ。思い知るがいい!」
(ウヴンッ!!)
この瞬間、俺の体は重くなった。疲れているのだろうか? いや違う。疲労から来る倦怠感とかそういうのではない。体中に金属の塊を付けられた様な感触がある。身動きを取ろうとしても、異様な重さでほとんど動かせない。
「な……なにをし……た?」
「重力制御の魔術を使った。それでは身動きが取れまい? だが、容赦なく私は攻撃を加える。これは決闘だからな。」
今度は体の左右から圧迫感を感じる。これは以前、エルが戦った双子の魔術師が使っていた魔法かもしれない。あの双子は二人がかりで行使していたが、コイツは一人だけで実現している。そういう意味ではあの二人よりも強いのかもしれない。
「逃げることは出来ないはず。放っておけば君の体は圧搾され、跡形もなく崩壊してしまうだろう。そうなる前に降参する事を勧める。」
やり口も同じか。相手をギブアップさせることが目的のようだ。エルはあの時、アクセレイションで強引に脱出していた。でも、俺はそんな物は使えないので、脱出不能だ。
(メキ……メキ……。)
ちょっとずつ、締め付けがキツくなっていっている。そのたびに体が軋む音が聞こえてくるようだ。俺はこのままペシャンコになってしまうのか?
「強情な奴だな。大武会でのエレオノーラの様な力を君は持っていないはず。即ち脱出は不可能。耐えるだけ無駄ということだ。このままでは確実に、馬車に轢かれたカエルのように無様に潰れて死んでしまうことになるぞ!」
そうか、カエルみたいになっちまうか。泥まみれになったり、全身ボロボロになったり。今度はカエルか。カエル……ん? ちょっと待てよ。カエルって捕まえようとしてもヌルッとすり抜けることが多いよな?
0
あなたにおすすめの小説
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる