【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

Bonzaebon

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第1章 はぐれ梁山泊極端派【私の思い出に決着を……。】

第46話 カエルなりの戦い方

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「エレオノーラ、今一度問う。君はこんな無様で隙だらけの男に身を委ねていてもいいのか? このような男では君を守り切れるわけがない。」

「何を言うんですか今さら! 私の気は変わりません。」


 エルは毅然とした態度でラヴァンの言葉を撥ね除ける。俺がこんな目にあったところで、彼女が考えを変えるはずがない。


「彼が死んだとしてもか? このままでは私は彼を殺してしまうことになるだろう。それでも構わないというのか? もし私に付いてきてくれるなら、彼への攻撃を取りやめても良い。悪いことは言わない。考え直してくれ。」

「彼が負ける前提で言ってるんですか? それはあなたの思い違いですよ。私は彼が負けるとは思っていません。必ず勝ちます。」


 エルは俺を信じてくれている。なら、俺もその期待に応えないといけない。あとちょっとで攻略の糸口が見つかりそうなんだ。


「何故、そこまで彼を信頼出来るんだ! こんな状況で形勢を逆転できるはずがない! ハッキリ言って狂っているとしか思えない!」

「狂っていても構いません。彼は狂っていた私を信じて、二度も救ってくれました。それは奇跡とかではなくて、彼の持っていた可能性が引き起こした必然だったんです。だからあなたには負けません!」

「そんな馬鹿なことがあり得るものか! まあいい。いずれにせよ、過去の君の記憶を取り戻せば、彼の事など必ず忘れる。過去の辛い記憶を払拭した私の行いが、そんな愚かな考えを塗りつぶすだろう!」

「ラヴァン様。」


 過去の記憶の断片、もう一人のエルはラヴァンの所へ近付いていく。俺に会うまでの彼女だから、俺のことは全く目に入っていない。完全にラヴァンを信用している。この記憶で上書きされれば、俺の事を忘れてしまうのだろうか?


「な……なあ、もう……ひとおもいに……やってくれよ。」

「フッ、耐えていたと思ったら、案外あっさり諦めるのだな。信じたとしても現実はこうだ。追い詰められれば、ボロが出る。貴族としての風格、魔術師の理念、彼はどちらも持ち合わせていない。所詮、その程度の男だったということだ。本当にただのカエルでしかないのだ。」


 カエルか。本当に言いたい放題だな。だが、追い詰められたカエルが何をしでかすか、思い知らせてやる!


「さあ! 潰れろ! 無様なカエルのように死んでゆけ!」


 更に一層、締め付けの圧力が強まる! 俺はそれに逆らおうとはせずに、逆に力を抜いた。全てを無に委ねる。天破奥義、有形無形。これを使うための条件は揃った。


「な、何!?」


 徐々に強まる圧力は逆に俺を魔法の範囲外へと押し出していった。体を極限まで柔らかくして、水とかみたいな液体になるようなイメージで魔法から逃れた。


「よし! 脱出成功!」

「あり得ない! 空間圧縮と重力制御から逃れられるはずがない! 物理現象としては起こり得るはずがない! この世の摂理さえ否定するというのか!」

「実際出来たから、別におかしくはないだろ。」


 ラヴァンはうろたえている。だが、急に俺に向けて杖を構えた。これはもしかしたら、あの魔法かもしれない。


「スター・バースト!」

「絶空八刃!!」

(ズドォォォォォン!!!!)


 眼前に迫る破滅の閃光を切り裂く! 剣は抜けないが、俺は思わず剣技を繰り出していた。体が自然に動いた。考えている時間もなかったから、何故か出来てしまった。


「何故だ! スター・バーストが効かないだと!」

「いやいや、普通に喰らったら死ぬから! 剣技で切り抜けただけだ。」

「何を馬鹿なことを言っている! 剣は使えないはず! 剣を持たずに剣技など使えるものか!」


 ラヴァンは目の前で起こった現象に納得がいかない様子。それとは裏腹に、彼の杖が真っ二つに割れ、砕け散った。


「俺も無意識だったんだけどよ、手刀でも技自体使えるみたいね。本人の思い込み一つで何でも剣になるのかもしれないな。木の棒とか、それこそ素手でも。杖無しでも魔法使える魔術師もいるんだしそれと似たようなもんなんじゃないの?」

「そんな馬鹿なことがありえるか!」

「でも実際出来たじゃん? アンタ、俺に勝つつもりなら、剣を抜けなくするより、剣技を封じるべきだったんだろうね。」


 ラヴァンは茫然自失としている。彼からしたらありえない現象が多発したため、現実と向き合えないのかもしれない。でもそっちが悪いよ? 反則じみた戦法多用するからだ。


「とりあえず、この決闘は俺の勝ちって事でOK?」

「そうだな。勝手にしろ。……君は勝負にかったかもしれないが、エレオノーラを巡る戦いは私の勝ちだ!」

「ラ、ラヴァン様!?」


 ラヴァンは何らかの魔法をあろうことか、過去のエルへと向けた。瞬時に彼女の姿は消え失せた。何をしたんだ?


「うああああっ!?」


 その時、エルの悲鳴が聞こえた。彼女のいる方向を見たとき、ラヴァンの狙いがわかった。二人のエルが今、正に融合しようとしていた。過去のエルを現在のエルのいる場所へ転移させたのだ! 迂闊だった。まさか、そんな手段をつかうなんて……。


「これで私の目的の一つは達成される! 貴族は常に勝者であらねばならないのだ!」
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