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第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】
第70話 料理もある意味、錬金術?
しおりを挟む「貴様、抽出調味料を使ったな?」
とある出場者が至高帝から物言いを付けられようとしていた。俺からしたら特に知り合いでもないし、目を引くような変わったハンバーグを作っているわけでもなかったので気にも留めていなかった。ただ、出場者としては珍しく魔術師だった。気になったところはせいぜいこれくらいだった。
「それが何か問題でも?」
「フン、程度の低い男め! あんな物を私は食材とは認めていない! 魔術で調理するならともかく、料理に魔術だの錬金術だので作った食材を使うな! 料理と錬金術を一緒くたにするような行為は絶対に認めん!」
どんな物を使ったんだろう? 俺にはさっぱりわからない。ひとまず彼の調理台を見てみると、謎の小ビンが複数置かれているのが目に入った。一見、塩とか砂糖が入っているのではとも思うが、それらとは違う質感の粉末が入っているビンがある。
「最近、商品として出回り始めた“悪魔の味”、“味覚の友”、“美味覇”、“ハッピー・丹”、と呼ばれるものであるな。私としては肯定も否定もしない。判断するにはまだ歴史が浅すぎるのだ。」
確かに調理台には、“悪魔の味”のラベルが貼られたビンがある。よく見ると大皇が名を上げてない物がある。“アホまぶし!”に“アホたれ♪”? 一体どんな味がするのか気になる。アホになりそうなくらいうまいんだろうか? そういう意味では“ハッピー・丹”も気になる。やばい薬とか配合されてないよね?
「フン、相変わらず甘い奴よ。こんな物は味覚を鈍らせる事になりかねん。舌は痺れ、気分も害する。正に悪魔の所業だ!」
「うまいっちゃあ、うまいけど、俺は使わないかな? 酒の方が調味料として優れてるしね!」
おやおや、反対する至高帝と慎重派の大皇で意見が分かれてしまったぞ。その一方、仙人は結局、結論を酒につなぎやがった。確かに酒は優れた調味料でもあるけど、それとこれでは話が違ってくるだろうが! いい加減にしろ!
「アンタら、何、アホなこと言うてまんねん! 革命やでコレは! 味の産業革命や! アホまぶしは最高やでぇ!」
さすが安定のゲス王! 悪魔の所業呼ばわりされる調味料をこれでもかとはやし立ててやがる! さりげなくテーブルに“アホまぶし!”のビンを出してきている。なにか露骨に商売の匂いがしてきたぞ……。さてはゲス王のヤツ、この商品に関わってやがるな? そうとしか思えん!
「あの~、調味料に関しては特に規定はありませんので、ひとまずリュウシさんの採点をお願い致します。」
「下らん! 私は採点を拒否する!」
おおっと! 至高帝、採点を拒否したぁ!
「6点。ただし、一般の方でも再現できるレシピであったことは評価する。今後も精進せいよ。」
理解のある大皇でも評価は厳しい。確かに買える調味料でプロの味に近付けるんなら、悪くないよな。
「俺は6点かな? でもソースには“アホたれ♪”よりも“ミリン”使うといいよ! 適度に甘みと照りが付くから。極東の国の酒なんだけどさ!」
結局、また酒かよ! それにしても極東の国の食材を奨めるのはどうなのか? 入手難易度が高すぎるだろ!
「ワイは20点じゃーい! それよりもみなはん、“アホまぶし!”に“アホたれ♪”をよろしゅう頼んます! いい味してまっせぇ~!」
やっぱ関係ありかよ! 隠しもせずにプロモーションやりやがった! ステマですらない。まさにゲスの極みだな!
「さて残るは後三名となってきました! 現時点でも30点以上は先程のリュウシさんのみです。この後高得点を出すことが出来る方はいるんでしょうか?」
任せろ、俺が出してやんよ! あとは力士と例のハンバーグ仮面が残っている。俺の知る限りでは実力者ばかりだ。むしろこっからが本番と言ってもいいんじゃないかな? ……待てよ? さっきのゲス王の持ち点オーバーの採点が有効扱いになっているのは、どうなんだ? なんかおかしくね?
「では9番のヴォルフさん、お願いします!」
「ドスコイッ!!」
次は力士の出番だ。さあ、どんなハンバーグが出てくるんだ? 俺の最大のライバルの実力は如何に!?
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