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第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】
第72話 世界に広げようハンバーグの、輪!
しおりを挟む「さあ、続いては最後の出場者の登場です! 皆さんもご存じの通り、前年度の大会で圧倒的高得点を叩き出したチャンピオン、ヘル・ヴァン・ブルグさんです!」
名前が読み上げられた瞬間、会場は湧き上がった。これまでにない盛り上がりようだ! しかも、去年の優勝者だったとは! だからこそあえてオオトリにしてあったということか。
「やあ、皆さん、ごきげんよう! 今年も必ず僕が優勝してみせるよ! 期待していてくれ!」
そう言って優雅に歩きながら、審査員の前に向かっていく。たったそれだけのことでも観客の喝采をもらっている。今、気付いたのだが、女性が多い。多分、この人達、ハンバーグ仮面の応援が目的なんだろう。他の連中のときは反応が薄かったので丸わかりだ。
「審査員の皆様方、お待たせしました! 必ずや、皆様に最高の満足感を提供してご覧に入れましょう!」
「うむ、期待しておるぞ。」
「更なる精進の成果見せてもらおう。」
「髪切った?」
四天王からも期待の声をかけられている。ハンバーグ仮面の信頼感が半端ないな。そして、相変わらずの仙人よ。髪なんてどうでもいいだろ! ほっとけよ!
「去年のチャンピオンやて? ワイの手がける“アホまぶし!”、“アホたれ♪”に勝てるとは思えへんなぁ。せいぜい、頑張りぃや!」
ゲス王はやっぱりふてぶてしい。金とか自分の商売で頭の中が一杯なんだろう。そしてついに皿が審査員の前に配膳されていく。その皿の前には……生のままのハンバーグが乗っている。てことは、まさかアレをやるつもりか!
「さあ、お待ちかね! 料理の仕上げを行いますよ!」
包丁を手に持ち、アレの準備をしている。俺に見せたときとは違い、酒を用意している。アレはワインか?
「赫灼の雨!!」
始まった! ハンバーグが宙を舞い、赤熱化した包丁が縦横無尽に駆け回る! 瞬く間にハンバーグが焼き上げられていく!
「さあ、仕上げだ!」
その時、何を思ったのかお手玉の要領でワインのビンを手に取り、中身を振りまく! それに引火したのか、ハンバーグが炎に包まれる。これはフランベとかいう技法か! 前にサヨちゃんから聞いたことがある! 風味や香り付けに効果的であるらしい。
その後も人数分、同じ行程を繰り返し、出来たてのハンバーグを提供していた。審査員たちの表情も期待に満ちている。くそう! 審査も始まっていないのに敗北感を感じる。パフォーマンスの上でもハンバーグ仮面が一歩リードしている!
「さあ、皆様、お召し上がり下さいませ!」
ハンバーグが出来上がり、審査員の実食が始まった。みんな、静かに食べている。まるでじっくり楽しむかのように一口、一口?み締めるかのようだ。他の時とは大きく違う。審査というよりも、個人的な楽しみで食べているように見える。さあ、判定はどうなる?
「これぞ至高のハンバーグだ。味に奥行きがあり、昨年よりも更に磨かれている。文句なしに10点だ。」
「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーぞーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 10点に相応しいクオリティだぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
うるささが限界突破してやがる! オマケに目と口から得体の知れない光線を発している! 至高帝も大皇も満点を付けやがった! そんなバカな!
「ウマイ! 世界に広げようハンバーグの、輪!」
仙人は手で大きく○を作る謎のジェスチャーをした。ナニコレ? このオッサンのやることはまるでワケがわからない!
「はん、なんやこんなモン!」
おっ? ゲス王が否定しようとしている? やっぱ“アホ”シリーズには勝てなかったのだろうか?
「こんなアホみたいなモンがあったんかいぃぃ!!! “アホまぶし!”と“アホたれ♪”の味をこえてきおっったぁぁぁぁ! ワイの商売潰す気なんかい、ワレェ! もう審査なんかどうでもええわぁ!! 1000点ぐらいやるさかい、どっかに行ってまえぇ!!」
口では文句を言いつつもハンバーグにがっついている。皿まで食べてしまいそうな勢いだ。狂ってる! 狂わされてる! そして点数も桁が違うやんけぇ! いいかげんにしろぉ!
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