【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

Bonzaebon

文字の大きさ
78 / 331
第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】

第78話 二刀流って大体、強キャラ。

しおりを挟む

「おっと失礼。まだ、自己紹介してませんでしたね。僕の名前はグランツァ・ロッヒェン・Jr。黒の兵団に所属しています。」


 赤毛の少年は恭しく挨拶をした。言動や立ち振る舞いからして、さっきの予測は間違いなさそうだ。名前の最後にJrとついているので、名前を世襲しているようだな。


「ああ、よろしく。知ってると思うけど、俺は勇者ロア。エドやファルの友人だ。」

「ロア、彼は我ら黒の兵団期待のルーキーだ。歳は若いが実力や実績は六光の騎士に近付きつつある。剣の腕前は最早トップレベルと言ってもいい程だよ。」


 剣技に優れる、か。確かに背中には剣を下げているのが見える。しかも、二本! 二刀流の使い手のようだ。二本の剣を自在に操るのは相当なセンスがないと出来ないことだ。彼は余程の天才なのだろう。


「挨拶代わりに、僕も技を披露させてもらってもいいですか? 先程は素晴らしい物を見せてもらったお礼にね?」

「ウム、構わんが、あまりやり過ぎぬようにな。

「わかっていますよ、師匠《レーラァ》。」


 れぇらぁ? 聞き慣れない単語だ。やりとり的にはエドに敬意をはらっているような感じだ。二人の間には深い信頼関係とか、先輩・後輩としての結びつきがあるんだろう。


「見ていて下さい。我がロッヒェン家に代々伝わる奥義を!」


 背中の二本の剣を優雅に抜き放ち、練習用人形と対峙する。一瞬姿勢を低くして前傾姿勢をとったかと思うと、気付いたときには人形の至近距離まで間合いを詰めていた。速い!


(ザンッ!)


 人形の支柱を根元で切断し、もう片方の剣で人形の胴体を突いた。突き刺したまま人形を振り上げる。その反動で人形は剣から離れ、頭上高く放り上げられた。


赫灼の雨ハイス・ロット・レーゲン!」


 声と共にロッヒェンの剣は赤くなり炎を纏った。炎を纏わせた直後、真上に跳躍し、人形と同じ高度になった。その瞬間、目にも止まらない剣捌きで人形が切り刻まれ、徐々に小さくなっていった。ロッヒェンが地面に着地したときには、炎に包まれた破片が雨のように降り注いだ! ついでに周囲の人々からも拍手の喝采が降り注ぐ。それよりも! こ、この技は……、この技を使えるのは……、


「お、お前、ハンバーグ仮面だな?」

「ご名答。ようやくお気付きになりましたか、勇者殿? 正確にはヘル・ヴァン・ブルグ、こう呼んで欲しいですね。」


 料理には過剰な技術だとは思っていたが、まさか、黒の兵団の所属だったとは! 髪が赤いのが共通しているとはいえ、服装が違っていたのでわからなかった。別れ際に、近いうちに再会するというのは、今日のことを言っていたのか。


「む? 君たちは事前に会っていたのか?」

「ああ、コイツは正体隠してたけどな! お互い、ハンバーグ・コンテストに出場していたんだ。」


 エドも知らない話だったのか。昨日のアレはいわゆる隠し芸的なものだったのかもしれない。


「思わぬ所で邂逅していたとは……。二人とも料理にそこまで関心があるとは思わなかった。いずれは御馳走をお願いしたい所だな?」

「フフ、是非、師匠《レーラァ》にも御馳走しますよ。その時は勇者殿と再び対決するのも一興かと?」

「望むところだぁ!」


 お? やんのか? ハンバーグ対決のリベンジマッチなら喜んで引き受けてやるぞ! ついでに力士も呼んで三つ巴の対決をしてみてもいいだろう。


「料理についてはまたの機会ということで……今日は一つ、剣技での手合わせをお願いしてもいいかな?」

「な! 何ぃ!?」


 予想外の展開だ! まさかここで喧嘩を売られるとは! 急にそんなこと言われてもな、心の準備が出来てないんだが……。


「ロッヒェン!」

「ダメですか? 気になるんですよ、師匠《レーラァ》に勝った腕前が。ここで機会を逃せば今度何時巡り会えるかわからない。勇者に挑戦できる、またとないチャンスなんですよ!」

「気持ちはわからなくもないが、総長との会合の後にするんだ。そのためにロアはここへやってきたのだぞ?」


 ですよねえ? 脱線してしまったので、当初の目的を忘れてしまっている。でも、どうなんだろ? 訓練生達の様子を見ると、こちらに期待の眼差しが送られて来ているのがイヤでもわかった。世紀の対決を見られるのではないかとワクワクしているのだろう。このまま期待を裏切るのもどうか……といったところだ。


「しょうがない。ちょっとだけなら……。」

「僕の希望に応えてくれて、ありがとうございます。」

「おおおーっ!!!」


 訓練生達が喜びの声を上げる。自分たちの所のエースと今話題の勇者が戦うのだ。盛り上がるのも無理はない。ちょっと技だけを披露するつもりが模擬戦をやる羽目になるとは……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...