【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

Bonzaebon

文字の大きさ
95 / 331
第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】

第95話 空気読めねえ奴だなぁ!

しおりを挟む

「オラオラ、どうしたイグレス! 防戦一方だな!」


 私はナビダッドから一方的に押されていた。相手は小柄ながら、腕の長さは自身の身長ほどもある。その腕を存分に生かした猛攻は、私の反撃の隙を許さぬほど、苛烈であった。現状では回避、受け流しまでが精一杯だ。


「いつまでもそうとは限らんよ!」


 あえて敵の懐へ潜り込み、大振りの攻撃を回避しつつ、通り抜けざまに切り抜けた。手応えは感じたが、この程度ではすぐさま傷を再生してしまうだろう。


「痛ってえな! なんだよちゃんと反撃できるんじゃねえか! 騙しやがって!」

「被害妄想か? 私とていつまでも相手の攻勢を見ているわけにはいかない。相手の性質を見極め反撃のチャンスを見極めているのだ。」

「そういうのが一番ムカつくんだよ! こっちが目一杯楽しんでるってのによう!」


 どこまでも根底的に自分本位な奴だ。戦闘行為は彼らにとって娯楽でしかないのだろう。いや戦闘行為ではなく、暴力・殺戮行為と言った方が正しいかな?


「もういいや! てめえがそのつもりなら、反撃できねえ距離から一方的に攻撃してやる。これでもくらいな! フレチャ・エスティラ!」


 先程の攻撃後、間合いは十分に離れている。自分にとっても、奴にとってもそうだったはずだ。にもかかわらず、奴は腕を鞭のようにしならせ、自慢のパンチを繰り出してきた。一見、通常の攻撃に見えるが……私の勘は危険を告げていた。見た目よりも大きめに回避行動を取る!


(ボッ!)


 腕が伸びた。見た目の五割増し程度伸びたのだ。ただでさえ長いリーチを更に伸ばす攻撃をしてきたわけだ。私の勘は正しかった。


「何でよけれるんだよ! おかしいぞ! 心でも読んでんのか!」

「フッ、戯れ事を言うな。貴様らが身体拡張《アクセレイション》を使えるのは承知の上だ。見た目だけに囚われていては、事をし損じる。」

「空気読めねえ奴だなぁ! こういう時は一発だけでも食らっとくもんだろうが!」


 憤りながら、奴は次なる攻撃を仕掛けてきた。同じ技だ。今度は一回だけではない。左右交互に繰り出してくる。


「これならもう反撃出来ねえだろぉ! これがフレチャ・コンセクティボス! 恐れ入ったかぁ!」


 先程よりも間合いが遠い分、私にとっては更に不利な状況になった。とはいえ奴の攻撃パターンは大きく変化していない。ただリーチが伸びただけだとも言える。これをどう見るかが活路を見いだす術となるだろう。


「エヒャヒャ! もう為す術なしって感じだな! そろそろ、止めを刺してやる!」


 腕を引き、その手の平に暗黒の円盤を出現させた。腕をしならせ、その勢いで円盤を飛ばしてきた。どのような技かはわからずとも、素手による攻撃よりも遙かに危険な技であることは察することが出来た。


「コルタル・ディスコーマ!」


 おそらく暗闇の中、馬の首を切断した技だろう。推測できる時点で、技の名を言ったのは明らかなミスだった。死の円盤を躱し、必殺の一撃を叩き込む!


「シャイニング・ガスト!」

(ズンッッ!!!)

「ぐうおぁぁっぁぁっ!?」


 私の剣がナビダッドの胸を貫いた。もちろんこの程度ではデーモンは倒れない。すぐさま剣を引き抜いて、追撃を入れなくてはいけない。


「ぬ、抜けない!」


 剣が奴の体に食い込み、いくら力を込めても抜けなかった。止めにはならなかったとはいえ、光の闘気による攻撃だ。それなりのダメージを与えているはずだが……、


「ハハッ、かかったな! これで避けたと思ったら大間違いだぜ!」


 すぐさま剣から手を離し、相手から離れようとした。しかし、その甲斐なく、背中に鋭い痛みが走った!


「ムウッ!?」

「へへっ、ディスコーマはある程度軌道を変化させることも出来るんだぜ! ある意味ブーメラン的な使い方も出来る! ネグロスさんの得意技の応用だ! 参ったか!」


 私の攻撃をあえて食らった上で、策にはめるとはな。とんだ猿芝居に引っかかってしまった。面白くなってきたじゃないか!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
 ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。  これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

処理中です...