97 / 331
第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】
第97話 鎌イタチごっこ
しおりを挟む「ぐへへへ! 女を相手にするってのはいいもんだなぁ!」
私はヴァランシャという名のデーモンと切り結んでいる。相手の武器は刀。極東の国で使われている切れ味の鋭い刀剣とその技を得意にしているみたい。それよりも私を見る目がいやらしい。気持ち悪い。酷く寒気がする。
「疾風・真一文字!」
刀が真横になぎ払われた。動作が速いくらいで何の変哲も無い攻撃だった。後ろへ少し下がって回避したものの、何か違和感を感じた。
「……!?」
避けたはずなのに衣服が切り裂かれていた。違和感の正体はこれだった。不思議なことに体には傷が付いていない。その様子を見た相手がニヤリと笑っているのに気が付いた。
「ウェヘヘ!! 不思議だろぉ? 避けたはずなのになぁ! どうしてだろうなぁ?」
これはわざとやっている。その気になれば私を傷付けることは出来たはず。わざと寸止めにして私の反応を見て楽しんでいる。許せない。
「東洋にはよぉ、鎌イタチってモンスターがいるらしいなぁ。相手に痛みすら感じさせねぇぐらいに鋭い切れ味の鎌で切り裂いてぶっ殺すようなヤツらしいぜ? これはそれを真似した技だぁ!」
その言葉を合図に相手は猛然と斬りかかってきた。避けたと思っても斬られる可能性があるので、細心の注意をはらって回避をする。
「……くっ!?」
「無駄だぜぇ、これが無影鎌鼬だぁ!」
これだけ回避に気を使っても、どんどん衣服に切れ込みが入っていく。このままでは戦い以外の事を気にしないといけなくなる!
「うぇっへへへ! 女ってのは不便だなあ! 戦いの時でもそんなこと気にしなきゃいけないんだからなぁ!」
なんて下品なの! こんな敵は初めてだ。戦いの中で嫌がらせをしてくるなんて。これもデーモン特有のいやらしさなのかもしれない。
「早くなんとかしないと、服が全部なくなっちまうぜぇ!」
本当にそうかもしれない。そうなる前に手を打たないといけない。ここは思い切って大技を使った方がいいかもしれない。
(……ヒュン!)
「おっ!? なんだ? 避けきれないから大回りに避ける、ってかぁ?」
相手には大きく間合いを取って移動しているように見えると思う。そう思っているのなら、それでいい。そのうち、取り返しのつかない事になっているのに気付くはずだから。
「まあいいや! 要は鬼ごっこみてえなもんだな! 燃える展開じゃねえか! 女を追い回すってのはいいもんだ!」
私が大きく移動し、相手がそれを追いかける。ただ離れるだけでなく、時折すれ違うように交差する。それでも相手は捕らえきれずに私を逃してしまう。相手を巧みに煽りながら移動を続ける。
「そうか! 道理で速えと思ったら、アクセレイションを使ってやがるな! そんなのほとんど魔族じゃねえか! もう俺らの仲間になっちまえよ! 歓迎するぜぇ?」
「お断りよ! あなたのような下品な人がいるなら尚更! それに……そろそろお別れのようね。」
「……は!?」
「絶影百歩!」
相手の言うようにアクセレイションを有効に活用し、先生の技を再現する。五覇奥義は先生に見せてもらっていたので、見様見真似で再現した。もちろんそれだけじゃない!
「戦技一0八計が一つ! 踏宙華葬!!」
すれ違いざまに相手を大鎌で一閃する! もちろんこれは仕上げの一撃で、今までの間、回避に見せかけ、切り刻んでいた。相手に気付かれないように切れ味鋭く。
「おぎゃああああっ!!!!」
相手の全身至る所が切れ込みにそって崩壊を始め、黒い体液を華のように四散させている。この様子が技の名前の由来になっている
「これが本当の鎌鼬かもね。あなたが本気で真似事していれば、こうはならなかったんじゃない?」
もう事後なので返答は帰ってこない。死にながら後悔しているだろう。目の前の女を舐めたことを。
0
あなたにおすすめの小説
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ガチャから始まる錬金ライフ
あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。
手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。
他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。
どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。
自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。
俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~
風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる