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第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】
第118話 魔王と怪文書
「あっ、これってもしかして……。」
クルセイダーズの紋章を見て、ふと気付いた事がある。総長が持っていた十字剣に似ていると感じた。最初紋章を見たときは十字と呼んではいるが、二本の剣ではなく、三本交わっていることを不思議に感じていたのだ。
「この紋章が元ネタになってんのかな? わざわざ紋章の形をした剣をつくるなんてな。」
「良くある話じゃないでヤンスか。あっしもそれにあやかって、瓶型フレイル作ったでヤンスよ! ゴッツン・ゴーの脅威を知らしめるためヤンス!」
団の権威を知らしめるためにか? ある意味旗印みたいな役割? それを戦いの度にブンブンする。俺だったらイヤだなぁ。
「扱いにくそうな形にするなんて、使う側にしてみりゃ、たまったもんじゃないだろ。」
「……違いますよ。剣の方が先に存在していたんです。クルセイダー設立に携わった人物が十字剣の使い手でした。」
旅立つ準備を終えてやってきたロッヒェンが由来を説明する。真実と俺らが考えていたことは真逆だったようだ。剣の方が先だったとは。ということはわざわざあんな形で作った物好きがいたということだ。どうしてこうなった?
「元々、強力な精神波の使い手だったそうで、それを最大限に生かす武器として、あの剣が作られたのだそうです。この逸話はクルセイダーズの人間なら必ず入団時に聞かされる話なんですよ。」
精神波ねえ……。チート能力だよなあ、実際。魔法の力を剣術に応用して、一人で三人分の戦力を使いこなすって時点でヤバいよな。その攻撃から生還しているバケモノも存在してるんだから、世界ってのは広いよな。あの羊の執事。
「そういや、カーニバル・ポリスだっけ? いや違うか? ハイボール・トリス?」
「違いますよ。ハンニバル・ハリスです。」
「ああ! ハンニャバル・コリスね!」
「あっしの空耳芸がパクられてるでヤンス!」
ああもう、メンドクサイから羊の執事でいいや! アイツらの名前なんていちいち憶えてられるか! 猿のサナ以外はみんな忘れちまったよ。大体、妙に格好付けたような名前ばっかりだから憶えにくい名前になってるような気がする。それとタニシ! 空耳芸をパクったとか言ってるけど、確信犯的に行っていたのか?
「羊の魔王の呼び名については諸説あるんです。文献によってはハンニ・B・ハリスとなっているものもあります。我々はハリスまたは、ハンニバル・ハリスという呼称になっています。」
「なんで表記にブレがあるんだ? 魔王本人はなんて名乗ってるの?」
「それが……わからないんですよ。ハリス本人が人語を話したという記録も残っていないので……。」
話した記録がない……? 確かにこの前は一言もしゃべってなかった。あの聞いてるだけで不快になるような、あの不気味な鳴き声しか聞いていない。おしゃべりな蛇の魔王とは大違いだ。本物の羊と大差ないのではという印象さえあった。でも、それだけなら魔王として恐れられはしないだろう。
「ですから、ハリスという名前も正しいのかどうかさえも不明なんです。」
「別名、“沈黙の支配者”とか“沈黙の魔王”とも呼ばれていますよね。」
「そうです。さすがMrsグランデ。博識でいらっしゃる。」
「まあ、フラウだなんて、照れちゃうなぁ!」
なんだかエルが照れくさそうにしている。どういう意味なんだろう? あとで聞いてみるか。それよりも沈黙の魔王だ。話もしない、名乗りもしない魔王の名前がどうやって分かったんだろう?
「名前が判明した切っ掛けって何? 本人は何も言ってないのになぜ分かるんだ?」
「ちゃんと理由があるんです。あの魔王には、ある都市伝説というか、逸話があるんです。」
都市伝説? 信じるか、信じないかはあなた次第です、とかいう小話のことか? ヤツらの存在からしてオカルトじみているというのにそんな話まであるとはな。
「あの魔王が現れる前後に、周囲で怪文書が出回るんです。不気味で且つ意味不明な内容のメモ書きが発見されることが多いんです。中には犯行予告じみた内容の物もあったそうです。その怪文書に書かれていた署名が……ハンニバル・ハリス。」
ゾワッとした。何故かって、それらしい物をこの前拾ったんだ。戦いの後に。誰かのイタズラだろうと思って気にもとめてなかったんだが……。
「これ、この前拾ったんだ。コレもヤツの仕業か?」
懐から拾ったメモ書きを取り出す。その内容は……、
《お宝は頂いた! ご協力感謝する。いずれまた会おう、近いうちにね! 次会うときは、素晴らしいサプライズを用意しているから、お楽しみに!》
「間違いないでしょうね。おそらくこのメッセージは、勇者であるあなたに対しての挑戦状でしょう。」
挑戦状か。内容からすると、サナとの戦いはヤツの策略だったのだろうか? コアを手に入れるのが目的のようだったし。この前の蛇といい、またまた厄介そうなヤツに目を付けられてしまったな。サプライズとやらは何のことを指しているのかはわからないが、警戒しといた方が良さそうだな。どちらにしても、サナの仇は取ってやらないとな。アイツとは仲良くなれそうだったのに残念だ。
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血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――