【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

Bonzaebon

文字の大きさ
234 / 331
第3章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派【灰と青春と学園モノ!!】

第234話 愛する者のために

しおりを挟む

「お前にしちゃあ、随分と思い切ったことをするな。魔術師なのに体術使うとはよ。」

「俺だってさっきのアンタの技を見て思いついたんだ。アンネのヤツと戦っていつもよりかは消耗してるから、今がチャンスだって思ったんだよ!」


 俺と別れた後、騒ぎが起きたからこっそり様子でも見に来たんだろう。その上で手を出す機会を窺っていたとみえる。俺にすら気配を悟らせないとは大したもんだ。


「だからってよ? お前、ここからどうするつもりなんだ? こんなに密着してちゃあ、お得意の雷魔法も使えないんじゃないか?」

「そりゃどうかな? 使えないなんてのはタダの思い込みだって事を思い知らせてやんよ!」


 その宣言と共に月明かりが何かに遮られ、辺りが急激に暗くなっていった。頭上を見上げると星が見えなくなった代わりに雷光のような物が見え始めた。これは雷雲?


「お前、まさか……?」

「そのまさかだ! たっぷりと雷を味わいやがれ! ライトニング・ストライク!!!」

(ガガガァァァァァーーーーーーーン!!!!!!!)


 鼓膜が破れそうなくらいの大凶音と共に全身を痺れと熱さが走る! 落雷をまともに浴びせさせられたのだ! 雷なんて初めて喰らった。いや、喰らったら普通死ぬから、こんな経験を語れる人なんていないはず。意識はあるから、死なずには済んだみたいだな。


「……くっ!? 道連れか。お前にしては泥臭いやり方じゃないか?」

「うるせえよ! お前を倒すための最適解はこれしかないと思ったんだ! これじゃ避けられないし、あの技も使いづらいだろ!」

「確かにそうだが、このままだと共倒れだ。俺が死んでも、お前が生きてなきゃ意味がないだろう?」

「余計なお世話だ! 俺も喰らうとはいえ、自分の得意属性だ。耐性はある。だが、お前は魔術に対しての耐性が低い。魔力スッカラカンなヤツの方が先に死ぬのさ!」

(ガガガァァァァァーーーーーーーン!!!!!!!)


 二回目の落雷。今度も痛いし熱いが、これくらいじゃまだ死なない。俺はとことんトニヤの道連れ攻撃に付き合うことにした。

「まだ生きてるのかよ? しぶといなアンタは。でも、何発目で死ぬのか試してやるさ!」

「お前さ、あの女のためにここまで体を張るのかよ?」

「あぁ!? 当たり前じゃねえか! 愛する女のためなら、いくらでも体を張ってやる! そして、生き残って添い遂げるのさ!」


 コイツは愛する人間から捨てられるのを恐れるあまり、周りのことが見えなくなってしまっている。彼女を愛していない自分は価値がないとでも思っているのだろう。


「お前は俺を殺せば助かると思っているのか?」

「思っているさ! リンがいれば他に誰もいらない! 彼女と他のヤツらを天秤にかけた結果が、コレだ。愛する者と生きるってのはこういうことさ! 何が何でも妥協せずに守り抜くのが正しいんだよ!」

(ガガガァァァァァーーーーーーーン!!!!!!!)


 三発目の落雷を喰らった。さっきまでよりは威力が多少落ちている気がする。トニヤはやせ我慢しているが、ダメージは小さくないようだ。俺との会話で集中力も落ちている可能性はある。


「さっきから守る、守るって言ってるが、本当に守りたいのはお前自身の弱い心なんじゃないのか?」

「何言ってやがる! 俺は弱くねぇ! 弱くねえんだぁ!」

(ガガガァァァァァーーーーーーーン!!!!!!!)


 四発目。今回も弱い。トニヤ自身が怒りに我を忘れているため、集中力が分散してしまっているんだろう。羽交い締めにしている腕の力の方が強くなってしまっている。


「自分の弱さを否定するな! 弱さを認めた上で現実に立ち向かえ! 愛する者が間違っているんなら正してやるのが、愛している者の役目だ。それが勇気、愛を貫くって事だ!」

「うるせぇーーーーっ!!!」

(ガガガァァァァァーーーーーーーン!!!!!!!)

「蛇身濘行!!」


 五発目の落雷が放たれたとき、俺は蛇身濘行で羽交い締めから抜け出した。トニヤの素人同然の拘束からは、俺の未完成な蛇身濘行でも十分な効果を発揮した。


「天破奥義、跋渉歩法!!」

(ズンッ!!!!)

「ぐはっ!?」


 トニヤの腹部に体重を乗せた突きを喰らわせた。瞬時に異空跋渉を何度も繰り返した上で、その慣性を利用して突きを喰らわせる技。黄ジイが多用している奥義だ。異空跋渉が使えるなら誰でも繰り出せる。とはいえ異空跋渉は誰でも出来る技ではないんだが。


「俺にとっては守る対象は家族や仲間だけじゃないんだ。場合によっては敵対している相手だって守る。今のお前やジムもそうだ。アンネ先生や七光り男だってそうさ。俺は勇者になることを決意してから、無闇に人を殺さない事にしたんだ。それが勇者の責務だ!」

「クソッ、きれい事言いやがって……。」


 トニヤは吹き飛ばされた先で気を失い前のめりに倒れ込んだ。これでしばらくは起き上がって来れないだろう。……ん? ここにいるのは俺を含めて三人? 七光りマンの姿がない? アイツはどこへ行った? それにゲイリーのヤツも本当にやられてしまったんだろうか? さて、どちらを優先して探すべきか……?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

処理中です...