273 / 331
第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】
第273話 謎のルポ・ライター
しおりを挟む
タニシとタガメおじさんはミヤコに連行されていった。店の手伝いでもさせるつもりなのだろう。今度は入れ替わりでロッヒェンと力士がやってきた。この前の戦いに責任を感じて、捜索を続けていたのだ。アイツがタルカスに攫われたらしいので、躍起になって探しているの。
「申し訳ありません。彼らの拠点を発見できませんでした。」
「彼らの掌握した施設も探したでゴワスが、新型ゴーレムの姿すらなかったバイ。」
ヤツらの拠点はトープス先生が知っている場所を捜索してももぬけの殻だったようだ。それ以前に新型ゴーレムの情報どころか噂すら完全に隠されていたので、別の場所に侵略拠点を用意していた可能性が高そうだ。
「あんまり落ち込むなよ、二人とも。発見不可能だから、敢えて撤退したんだろうからな。」
「でも、お弟子さんが……、」
「大丈夫だ。アイツはそう簡単に死にはしない。デーモンと戦った時も、いつの間にか復活していたぐらいだ。気にしなくていい。」
戦いが一旦終結し、集合したときから二人はゲイリーのことを気にしていた。共闘していた仲間が死に、その遺体も持ち去れたらしい。
「ヤツを気にするのは師匠の俺だけでいいさ。俺の弟子なんだから、面倒見るのは俺の役目だ。」
「こうしている間にも、彼は解剖などの人体実験をされているかもしれないんですよ!」
「ヤツの何を調べるのかは知らないが、タルカス達も死なせたままにするとは思えない。そう考えるしかない。それよりもお前ら二人も休息を取る必要がある。次の戦いに備えるんだ。」
「わかりました……。」
納得しきれていないようだが、今はとにかく休んでもらうのが一番だ。闇雲に捜索して消耗するくらいなら、向こうから出てくるのを待った方がいい。
「ジュニアどんも腹ごしらえしにいくでごわすよ。その後に考えた方がよかバイ。」
力士は気分を切り替えロッヒェンを炊き出しエリアに連れて行く。ミヤコの店のところだ。ミヤコにイジられた方が余計なことを考えなくて済みそうだしな。
「じゃあよ、俺らも休ましてもらうぜ。また後で会合には参加させてもらうがな。」
ファルも休息のため、俺の元を離れていった。いつの間にやら、侍も姿を消している。それにしても、あのゴリラのどこに気を引かれたのだろうか? 不可解だ。敵だけじゃない、クエレさんも気になることを言ってたし。昔、「似たような人を見た」と言っていたのが気になる。滅んだ民族の末裔だったりとか……。うーん、気になる。
「気になりますか? 勇者ロア殿。」
「……!? 誰?」
後ろから声をかけてきた男。振り向いて見ても誰かわからない。長い金髪で、前髪をオールバックにして、服装も動きやすそうな物を着ている。ローブに似ているが、動きやすい作業用にアレンジしたようなセンスのいい服、しかもハンサム……というより、少しシブさを感じさせる容姿。只者ではないオーラが全身からにじみ出ていた。
「失礼致しました。私の名はサ……いえ、アラム・スミスと申す者です。」
謎の男は恭しく紳士的な態度で、俺に挨拶をしてきた。ついでに小さな紙切れを手渡してきた。名前などが書いてある。ゲンコツのおっちゃんやタニシが持ってたヤツと同じだ。もしかして、この人、商売人?
「ルポ・ライター? 何してる人?」
紙というか札には肩書きが書かれている。おっちゃん達ならダンジョン・コーディネーターと書かれていた。やっぱ、こういう札を用意するのは最近の流行りなんだろうか?
「恥ずかしながら、実話を元にしたドキュメント、実録的な書籍を作っています。あなたのお知り合いのゲンコツさんの本を書かせて頂いた事もあります。」
「え!? あの本!? あの本を書いてたんすか?」
「そうです。様々な業種・業界に突撃・同行取材をして、それを世間に紹介する仕事をしております。時には都市伝説、噂話などをテーマに取り扱う事もあります。こちらはほぼ趣味で行っている様な物ですが。」
「色々、やってるんすね!」
一見大変そうではあるが、楽しそうだな。世界中色んなところを見て回れるだろうし。本が売れれば儲かるだろうし。しかし、俺の元へやってきたのはどういう意図があるんだろう?
「それ故、眉唾物のシークレット情報も知っているのです。例えば、世界の運営を担う組織の事、各種陰謀にまつわる話まで、お話しできますよ。」
「ヤバい噂全部知ってるんすか?」
「はい。例えば、“ホムンクルス”と呼ばれる物をご存じですか?」
「ほむんくるす?」
「現代には伝わっていない、ロストテクノロジーの一種です。違う言葉に置き換えれば、人造生物、生体ゴーレムとも呼ばれる存在です。」
人造生物? 生体ゴーレム? 意味がわからない単語が出てきた。変な呼び方だしロスト・テクノロジーというくらいなのだから、ただのゴーレムではないのだろう。
「それとウチのゴリラにどういう関係が……?」
「あなたのお弟子さんはホムンクルス……の疑いがあります。あくまで仮説なのですが、特徴がある程度合致しているのです。タルカス殿はそこに気が付いてしまったのかもしれませんよ?」
「なんで、そんな事知ってんの?」
「情報を世界各地から集めていると自ずと耳に入ってくるものなのです。」
不思議な男だった。纏っている雰囲気も同じ国、同じ世界の物とはかけ離れているような……? 異質な世界の住人の様でもある。それにこの男……俺の知る誰かに似ているような気がする。見た雰囲気はまるで違うが、奥底に隠している魂がアイツに似ている……。
「申し訳ありません。彼らの拠点を発見できませんでした。」
「彼らの掌握した施設も探したでゴワスが、新型ゴーレムの姿すらなかったバイ。」
ヤツらの拠点はトープス先生が知っている場所を捜索してももぬけの殻だったようだ。それ以前に新型ゴーレムの情報どころか噂すら完全に隠されていたので、別の場所に侵略拠点を用意していた可能性が高そうだ。
「あんまり落ち込むなよ、二人とも。発見不可能だから、敢えて撤退したんだろうからな。」
「でも、お弟子さんが……、」
「大丈夫だ。アイツはそう簡単に死にはしない。デーモンと戦った時も、いつの間にか復活していたぐらいだ。気にしなくていい。」
戦いが一旦終結し、集合したときから二人はゲイリーのことを気にしていた。共闘していた仲間が死に、その遺体も持ち去れたらしい。
「ヤツを気にするのは師匠の俺だけでいいさ。俺の弟子なんだから、面倒見るのは俺の役目だ。」
「こうしている間にも、彼は解剖などの人体実験をされているかもしれないんですよ!」
「ヤツの何を調べるのかは知らないが、タルカス達も死なせたままにするとは思えない。そう考えるしかない。それよりもお前ら二人も休息を取る必要がある。次の戦いに備えるんだ。」
「わかりました……。」
納得しきれていないようだが、今はとにかく休んでもらうのが一番だ。闇雲に捜索して消耗するくらいなら、向こうから出てくるのを待った方がいい。
「ジュニアどんも腹ごしらえしにいくでごわすよ。その後に考えた方がよかバイ。」
力士は気分を切り替えロッヒェンを炊き出しエリアに連れて行く。ミヤコの店のところだ。ミヤコにイジられた方が余計なことを考えなくて済みそうだしな。
「じゃあよ、俺らも休ましてもらうぜ。また後で会合には参加させてもらうがな。」
ファルも休息のため、俺の元を離れていった。いつの間にやら、侍も姿を消している。それにしても、あのゴリラのどこに気を引かれたのだろうか? 不可解だ。敵だけじゃない、クエレさんも気になることを言ってたし。昔、「似たような人を見た」と言っていたのが気になる。滅んだ民族の末裔だったりとか……。うーん、気になる。
「気になりますか? 勇者ロア殿。」
「……!? 誰?」
後ろから声をかけてきた男。振り向いて見ても誰かわからない。長い金髪で、前髪をオールバックにして、服装も動きやすそうな物を着ている。ローブに似ているが、動きやすい作業用にアレンジしたようなセンスのいい服、しかもハンサム……というより、少しシブさを感じさせる容姿。只者ではないオーラが全身からにじみ出ていた。
「失礼致しました。私の名はサ……いえ、アラム・スミスと申す者です。」
謎の男は恭しく紳士的な態度で、俺に挨拶をしてきた。ついでに小さな紙切れを手渡してきた。名前などが書いてある。ゲンコツのおっちゃんやタニシが持ってたヤツと同じだ。もしかして、この人、商売人?
「ルポ・ライター? 何してる人?」
紙というか札には肩書きが書かれている。おっちゃん達ならダンジョン・コーディネーターと書かれていた。やっぱ、こういう札を用意するのは最近の流行りなんだろうか?
「恥ずかしながら、実話を元にしたドキュメント、実録的な書籍を作っています。あなたのお知り合いのゲンコツさんの本を書かせて頂いた事もあります。」
「え!? あの本!? あの本を書いてたんすか?」
「そうです。様々な業種・業界に突撃・同行取材をして、それを世間に紹介する仕事をしております。時には都市伝説、噂話などをテーマに取り扱う事もあります。こちらはほぼ趣味で行っている様な物ですが。」
「色々、やってるんすね!」
一見大変そうではあるが、楽しそうだな。世界中色んなところを見て回れるだろうし。本が売れれば儲かるだろうし。しかし、俺の元へやってきたのはどういう意図があるんだろう?
「それ故、眉唾物のシークレット情報も知っているのです。例えば、世界の運営を担う組織の事、各種陰謀にまつわる話まで、お話しできますよ。」
「ヤバい噂全部知ってるんすか?」
「はい。例えば、“ホムンクルス”と呼ばれる物をご存じですか?」
「ほむんくるす?」
「現代には伝わっていない、ロストテクノロジーの一種です。違う言葉に置き換えれば、人造生物、生体ゴーレムとも呼ばれる存在です。」
人造生物? 生体ゴーレム? 意味がわからない単語が出てきた。変な呼び方だしロスト・テクノロジーというくらいなのだから、ただのゴーレムではないのだろう。
「それとウチのゴリラにどういう関係が……?」
「あなたのお弟子さんはホムンクルス……の疑いがあります。あくまで仮説なのですが、特徴がある程度合致しているのです。タルカス殿はそこに気が付いてしまったのかもしれませんよ?」
「なんで、そんな事知ってんの?」
「情報を世界各地から集めていると自ずと耳に入ってくるものなのです。」
不思議な男だった。纏っている雰囲気も同じ国、同じ世界の物とはかけ離れているような……? 異質な世界の住人の様でもある。それにこの男……俺の知る誰かに似ているような気がする。見た雰囲気はまるで違うが、奥底に隠している魂がアイツに似ている……。
0
あなたにおすすめの小説
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる