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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】
第274話 戦場のジャーナリスト
しおりを挟む「肝心の人造人間の詳細説明を話していませんでしたね。起源は諸説ありますが古代に存在した大魔王だとも言われています。」
「大魔王!? 魔王よりも上の存在がいるの?」
「今はいませんよ? 現在も存在する十二人の魔王の頂点に立つ存在が過去にいたのですよ。これは有名な話で歴史の教科書にも掲載されていますよ。」
「勉強不足でスンマセン!」
実際、この国の歴史については知らないことが多いんだよなあ。サヨちゃんから部分的に聞いたり、エルから聞いた事もある。でも所々、内容に食い違いがあることが多々あったので、正直、こんがらがっている。サヨちゃんの話は裏の歴史、エルの方は表の歴史だったのだと解釈している。
「大魔王についてはこれくらいにしておいて、人造人間の話に戻ります。彼らは人造生命を作る試みを多数行っていたとされています。獣人という種族はその過程で生み出されたと、されていますね。触発された当時の魔術師達も競うように生み出していたようです。」
獣人達のルーツが大魔王にあったとは。昔は迫害されてたっていうし、それが原因だったのだろう。今だって、闇の力に汚染されただけで、魔族扱いされ、迫害されるくらいだからな。今も大して変わってないんだろう。人の心がな。
「そこへ神に対する冒涜であると異議を唱え始めた、当時の神十字教団が取り締まりを始めました。その運動が時を経る毎に激しくなっていき、それを切っ掛けとして聖魔戦争が勃発したのです。それが約二千年前の出来事です。」
ん? 聞いていた話と違う部分があるな? 教団が世界にはびこる邪教と魔族達を一掃し、クルセイダーズの前身とも言える神十字教団を結成したのが約二千年前だったはず? そもそも、この人の話は本当なのか?
「この出来事を切っ掛けに人造人間の技術は封印され、人々の記憶からも忘れ去られていったのです。」
「そのはずなのに誰かが復活させた? それがゲイリーなのか?」
「何者か、と言いましても魔王達は健在です。彼らの内の誰かが技術を復興させたのでしょう。」
「だとしても、おかしくない? 魔王はいるののにホムンクルスの存在自体が忘れられるなんて? 魔王戦役とかにいなかったの?」
「重要なのはそこなんです。聖魔戦争以来、一度も目撃されていないのです。少なくとも近年までは彼らも何らかの事情で封印していたのではないでしょうか?」
最近になって復刻させた? あんな傲慢・貪欲が服を着て歩いているようなヤツらが封印して諦める様なことをするんだろうか? こっそり誰かが研究してたとか? 仲間にも沈黙を保ったままとかね?
「どうです? 面白い都市伝説でしょう? 私はこういった眉唾物の噂話が好きなのですよ。ロマンを感じずにはいられない。」
「は、はあ。」
なんか変わってるな、この人。凄い熱量でペラペラしゃべる。実録物の書物を書き続けるには必要なスキルなんだろうな。
「今はこの学院内の闘争を取材するために滞在しているのですよ。もちろん、あなた方の味方をさせて頂きます。人材的にも物資的にもね。」
「そりゃ助かる。あんまり無理して前に出ないようにね。死んだら元も子もないし。」
「心得ておきます。」
物資的な支援とは何なんだろうか? ミヤコから聞いた話ではサンディーのオッサン以外にも色んなところから支援が届いていると事だった。クルセイダーズからは医療チームが来ているし、学院の出身者からも応援が来ている。あと、匿名希望で“ゴッツン・ゴー”が支援物資として送られてきたそうだが……まさかな? この人だったりするのだろうか?
「あと一つ、よろしいですかな?」
「は、はい?」
「実はこの闘争が収まったら、同行取材を考えている人物がいるのですが……、」
同行取材? 誰だろう? ファルとかラヴァンとかトープス先生とか、侍? メイちゃん? エルもありえるかな? タニシ……はないか。あってもタガメおじさんだろう。すでに有名人なので取材済みの可能性はあるが……、
「勇者ロア殿、あなたを次に取材対象に考えているのです!」
「え!? まっ!? ちょっと!? 俺? 俺なんてまだそんなエラくはないっすよ! 今後、死ぬかもしれないし……。」
「何を言われますか! すでに武勇伝が多く存在するあなたは私の中では大ブームなのですよ! 是非とも!」
「こ、こまるなあ! 照れるっすよ! 一応、考えておきます!」
「ありがとうございます!」
突然の取材依頼。まさか俺が取り上げられるなんて。俺も有名になってきたのか? でもやっぱ、恥ずかしい気もする。アホなとこなんて見せられなくなっちゃうじゃないか……。
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