【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

Bonzaebon

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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】

第294話 やっぱそうだよね?

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「無様な姿か……。タルカス、それは君よりも寧ろ、今の私の方がそうなのかもしれない。」

「……? お前は何を言っているのだ? 戦いもせずに後ろで指をくわえて見ていたお前自身の事を言っているのか?」


 ミミック君の衝撃の事実にもビックリしたが、トープス先生の意気消沈して憔悴した姿にも驚いた。先生には結界内で待機してもらっていたはずだが何かあったんだろうか?


「違う。私は私自身で出来ることを試みていたんだ。しかし、現実は甘くなかった。彼は私の言葉に聞く耳を持たなかった。」

「トープス君、その話はもうやめよう。過ぎた話だ。今はタルカス君との話に専念するんだ。」

「し、失礼。その話はまた後に……。勇者殿との会話はある程度聞かせてもらった。タルカス、君は人類の殲滅よりも……死に場所を求めていたのではないか?」


 やっぱり、トープス先生もそう思っていたのか。人類絶滅を目的に掲げている割には、徹底が足りてないというか……、


「馬鹿なことを言うな! 私は……、」

「あえて、拮抗する状況を作り出して、人間を見極めようとしてたんじゃないか? 人は本当に愚かで醜いだけなのか、って事を。戦ってる内にそんな感じがしてきたんだ。」

「ぐぬっ……!?」

「勇者殿もそう感じていたんですね。」


 トープス先生も俺の考えに同調している。タルカスの企みは人同士の疑心暗鬼を誘発させて、同士討ちを狙うようなやり方だった。そこで人は自分たちよりも劣った存在だということを確認してから、抹殺するつもりだったかもしれない。


「戦ってる内に疑問に思えてきたんだろ? 本当に倒すべき相手なのかどうかって事に? だからこそ俺と正々堂々、一騎打ちを挑むことにしたんだろう。」

「お前一人相手なら、私一人で十分と判断したまで! それに勇者を一人で打ち倒したのならば、お前達人間の士気が下がると考えたまでよ!」

「でも、ある意味アンタは手加減をしたんじゃないか? あと腕が二本あったなら、俺は負けてたと思う。勝つつもりなら、足を増やすんじゃなくて腕を増やすべきだった。」

「その通り、私が見たところあれは腕に変形させて戦うことも出来たはず。そのことを勇者殿にも見抜かれていたようだな。」


 俺としては割と当てずっぽうで言ったんだが、本当にそうだったか。戦いながら背中の背負いモンから妙なプレッシャーがしていたから、そういう風に思っていた。その意に反して、背負い物は足に変形した。


「アンタ、やっぱ戦役時代の英雄だな。下手な人間よりも正々堂々としている。だからこそ人間の汚い部分が許せなくなった、そうなんだろ?」

「くっ、わかったような事を言いおる!」

「もうやめようぜ。アンタとは戦うべきではないんだ。被害者はアンタを許さないかもしれないが、まだやり直せるはずだ!」

「甘いな。お前達はそれだから、永遠に進歩出来んのだ。」


 俺達の話に割って入ってくるヤツがいた。この声は忘れようがない。学長、この騒動の切っ掛けを作った男!


「学長、とうとう姿を現したな!」

「ずっと静観していたかったのだがな? あまりにもぬるい結末になりそうだったので、てこ入れをしに来たのだよ。」


 学長はたった一人でこの場に現れた。部下……アンネ先生とか銀・金仮面もいない。揃って俺らが無力化したから連れてこなかった? それとも自分の強さに自信があるからなのか……?


「全く困ったものだ。わざわざ戦う様に仕向けたというのに、仲良しこよし。これは子供の遊びではないのだぞ? 血で血を争わねば意味がないのだよ。」

「何言ってんだ、アンタ?」

「勇者殿、彼はもう人の心を捨てています。わざと人と人を争わせ、混乱に陥れようとしているのです!」

「無様な試みをした愚かな男がここに一人。しくじったというのにむざむざ私の現れそうな場所にやってくるとは。一人コソコソ隠れてめそめそしていれば良かったものを。」


 トープス先生が学長に罵られている。先生はもしかして、学長を説得しようとしていたのかもしれない。何があったのかは知らないが、先生に対して失礼すぎるだろ! やっぱ、このオッサンは気に食わない!


「オイ、学長さんよ! 他人をバカにするのはいい加減にしろ! 俺達は必死になって、無駄に傷付く人を減らそうとしてるのに、それを侮辱することは許せねえ!」

「必死? 無駄に? そんな物は必死とは言わん。無駄ではない。貴様らの進歩のために行っているのだ。私を非難するとは、おこがましい行為だぞ!」


 学長はゆっくりと片腕を挙げ、手の平を俺の方に向けた。魔法を俺に向けて撃とうとしている! こんなのは俺の峨嶺辿征で……。


(ヴォン!!!!)

(バシュウウウン!!!!!)

「俺の相棒よりも、先に俺の始末をしたいんじゃないのか、クソ親父?」

「フン、馬鹿息子め! わざわざ処断されに来おったか!」


 瞬時にして現れたファルは俺に向けられた魔法を相殺しながら、学長とにらみ合いになった。壮大な親子ゲンカになりそうな予感がする。俺も加勢するけどな!
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