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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】
第303話 ダブル・インパクト
しおりを挟む「デーモン・ファング!!」
牽制代わりにファングを当てつける! さっきは完全に防がれたが、鎧自体が強化された今は違う結果になるはずだ。
「こんなハエみてえなもん……!?」
ヤツは前と同じように手づかみでファングを捕らえようとする。だが、捕まらない。ファングは前よりも機敏に動かせるようになったからだ。
「雑な対処法がいつまでも通用すると思うなよ!」
相手がファングに手間取っているうちに、自分も斬りかかる。攻撃は防がれてしまったが、それでいい。接近する切っ掛けを作れれば十分だった。前はそれすら出来なかったのだから。
「鎧が変わった位で調子に乗るなよ! お前はすでに一回、俺ッチに負けてるんだからな!」
「お前の方こそ、一回勝ちかけた位で調子に乗るな。最終的に勝ったヤツが上なんだよ!」
剛剣同士の激しいぶつかり合いが続く。剣の大きさが同程度なら、使い手の力の差が勝敗を大きく作用するはず。体格では負けているが、鎧がそれを補ってくれている。その条件は前と同じのはずだが、大分楽に応戦できる様になった気がする。
「チクショウ! さっきよりもパワーが上がってやがる! 俺ッチの裏技が通用しなくなったのが影響してるのか?」
裏技……何のことを指しているのかはハッキリしないが、思い当たることがある。前は剣を合わせる度、思った通り押し返せていなかった。そしてコイツは闇属性の力を吸収する体質を持っている。もしかしたらダーク・ソードから力を吸収していたのかもしれない。これは実体のある剣だからこそ、それを防いでくれているのだろう。
「砕貫衝爆!!!」
ヤツは苦し紛れに突きを繰り出し、爆発を巻き起こした。突きは剣で軌道を逸らせて回避し、爆発を踏ん張って耐える。その爆煙がかかっているどさくさに紛れて左拳を相手の顎に向かって突き出す!
「おごぁ!!??」
もろに命中してゴリラ野郎の巨体が大きく吹き飛んだ。防御に使ったため剣で一撃をくれてやれなかったのは悔しいが、思いのほか威力のある一撃をお見舞いできたのは良かった。思い通りに行かなくても少しずつダメージを与えていけばいい。体格で負けていたとしても手数でカバーすればいいんだ。
「ぐぬぅ!? 俺ッチのハンサムフェイスが傷付いてしまったじゃねぇか! 歯が何本か砕けたぜ!」
ゴリラ野郎は起き上がりつつ、砕けた歯を地と共にペッ、ペッと吐き出している。タフなヤツだ。大抵のヤツはこれぐらいで大体、怯むはずなんだが。
「もぉー、怒ったぜ! こっから完全に本気出す! 粉々に吹き飛ばしてやる!」
ヤツは怒りのアピールをした後、ドス黒いオーラを体から噴出し始めた。しかし、闇の闘気の気質がヤツ自身の気質と異なっている。鎧を壊される直前に吸い取られた力かもしれない。
「爆熱……爆刃!!!!」
ドス黒いオーラを剣に纏わせ、俺に斬りかかってきた! これは勇者の技を模した一撃だ。それに爆発の力を加え、闇の力を上乗せした、といったところだろう。
「ダークネス・イレイザー!!」
こちらも技を繰り出し、勢いを相殺する。同じ闇の力なら威力を殺しやすい。ヤツは持てる力を全部上乗せしたつもりなんだろうが、逆効果になっている。何でもかんでも力押しで押し切ろうとするからこんなことになる!
「ば、馬鹿なぁ!? 俺ッチの技が相殺された!?」
やはり考え無しの攻撃だったようだ。相手が馬鹿で良かった。コイツが切れ者だったらオレは勝てなかったかもしれない。
「ダークネス・アヴァランチャー!!」
ヴァル様から直接指南してもらった技、シャイニング・アヴァランチャーの闇属性バージョンだ。相手をねじ伏せ、完全に倒しきるのに最適な技を選んだ。
(バギャアン!!!)
「げえっ!?」
ヤツは剣で防ごうとしたが、剣ごと破壊する。この時点で威力が半減しているので、ダメ押しの力を加える必要がある。
「ダブル・インパクト!!」
(ズドォン!!!!)
「ぎょああああああっ!!!!!!!」
頭から股の下まで一気に斬り抜いた。少し遅れて、頭の先から体が真っ二つになり左右に別れて倒れた。完全に絶命した。これで生きていればそいつは生き物とは言えない存在だ。
「ホムンクルスか。結構厄介なヤツだった。こんなのがゴーレムみたいに大量にいたとしたらゾッとするな。」
人造生命体としてはかなり驚異的な戦闘力だった。魔王の眷属としては当然なのかもしれないが、こちらも魔王に匹敵する力を持っている。そのはずがこの体たらくだ。上位の魔王に対抗するためにはもっと強くなる必要を感じざるをえない。
「……ちょ!? 何アレ!? 何か天候が急に悪くなったんだけど!」
馬鹿女が何か言っている? 確かに雲行きがおかしい。嵐が起きる前兆の様にも見える。あの方向は勇者達が交戦している場所に近いはずだが……。学長が本格的に動き出したのかもしれない。
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