41 / 490
第1章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【それぞれの戦い】 第2幕 学院編D・L・C
第40話 メシア再び!
「全く! まだ若いのに生き急ぐものではありませんよ。」
その女性は私の行動を窘めるように言った。初対面の人物にそんなことを言われてしまうとは……。自分の未熟さが恥ずかしい。とはいえ、この女性は何者なのだろうか? 先程の技はどこかで見たり聞いたりしたことがあったような……。
「敵はいるけど応急処置が優先。ちょっと我慢してね! ……フンッ!!」
「おわっ!!」
体に不思議な衝撃が走った途端、背中の痛みが和らいだ。回復魔術でも使ったのだろうか?止血のみを行ったのだろうが、見たことも体験したこともない感覚だ。
「何者かは存じませんが、ありがとうございます。」
「まだお礼を言うのは早いわ。敵はまだいるんだから。気功術で止血を促進させただけだから動いては駄目ですよ。」
見ると状況を把握して我に返ったロスト・ワードが、槍の女性と対峙しようとしていた。矢女性もそれに呼応するように槍を構えた。
「な、何者だ! しかも魔術を打ち消すなど、何を使ったのだ? ……貴様、まさか、今世代の勇者か? 魔術すら消失させる武術をつかうという……、」
「残念ながら私は勇者ではないわ。言うならば、私は彼の身内、姉よ。」
「何!? 貴様も勇者の一味か!?」
姉だと? この女性が……? 全く似てはいないが、エレオノーラやローレッタからそういう話を聞いたことがある。そして、エレオノーラに武術の手解きをした女性がいると! 確か名はリャオ・レンファだったと思う。
「あの子の後見人、保護者みたいな者よ。あなたはあの子の敵? もし、そうなら容赦しない。」
「私にとって勇者なんてどうでもいい存在よ。私達の協力者の女性は恨みを持っているみたいだけどね。だけどそこの男の始末を邪魔される訳にはいかない!」
ロストワードが敵対を宣言すると共に、彼女は自身の分身を発生させた。得意の幻惑魔術で姿を特定出来ないようにしてきた。高度な幻影な為、魔力による探知が出来ない! どれもこれも遜色ない魔力を有している! 目視はもちろん魔術的にも見破るのは困難と見える。
「これが噂の幻術と呼ばれる分野の魔術ね。大したものだわ。これじゃ、見分けが付かない。」
「うふふ。魔術になじみのない東洋人には見分けが付かないでしょうね? これからじわじわとロング・フォースの恨みを晴らしてやるわ!」
「逆恨みは勘弁してもらいたいのだけれど……?」
魔術師である私でさえ、対処を練るのが困難だというのに、槍の女性は首を傾げ、困った風な仕草をしている。でも、それはあくまで見せかけなのかも知れない。彼女からは魔力に似た異質な力が漂っている。
「じゃあ、私も覚えたての奥義を披露してみようかしら? どっちが凄いか競い合うのも面白いかもしれない。」
「は……!? 競うだと? 我が幻術に対抗する術など……!」
「五覇奥義……離伯月影!!」
槍の女性は自身の姿を朧気に霞ませた後、左右に二人ずつ分身を発生させた。合計五人の姿になった!
「馬鹿な! 魔術師以外の者が幻影を作り出しただと!」
「いつから分身の術は魔術師さんの専売特許になったのかしら? 私達の国では妖術、武術共にこういうのは定番の技術よ。難しいのだけれどね?」
この技は……大武会で見たことがある。エレオノーラのチームの準決勝の対戦相手が使っていた。あの白髪の武術の達人が披露し、仮面の人物…目の前の女性を一方的に痛めつけ敗北させた技だったはず。それを今は彼女自身が使っている。分身の数は少ないが紛れもなくあの技だ。
「そのような紛い物が私の幻術に敵うものかぁ! その化けの皮剥がしてくれる!」
それぞれの幻影から様々な属性の魔術が放たれる。氷結弾、水塊、火炎弾、電撃弾、多彩な属性の魔術だ。一人がこれら全てを扱えるとは思えないので、いくつかはフェイク、もしくはフェイクを装った上で本命の攻撃を仕掛けてくるかもしれない。疑ったキリがないが、相手は幻術師。どんな手段を使うかわからない! このような状況だというのに、女性は真上を向いていた。
「戦技一0八計……鶴刺一閃!!」
(ドスッ!!!)
分身の一体が真上に槍を投げた! 投げた槍は上空で留まり、次第に幻術が解けたロストワードが串刺しになった姿が露わになった。本体は空中に浮遊魔術で滞空しつつ、姿を隠し身を潜めていたのか! 同時に他の幻影も消滅した。
「どう…してだ? どうして……わかった?」
「なんとなくね。屋根の上にいるあなたは全部偽物にしか見えなかったのよ。視界から外れた位置にいるとしたら、真上かな、と思ったのよ。」
「馬鹿な! 勘などに負けてしまうとは……クソッ……、」
ロスト・ワードは力尽き、落下。そして死亡した。頭から落下したため、頭が砕けてしまっている。幻術使いの華やかなイメージとは裏腹に、目を覆いたくなるような最後となってしまった。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神様の手違いで異世界転生した俺の魅了チートが、勇者のハーレムを根こそぎ奪って溺愛ハーレム作りました!
まさき
恋愛
ブラック企業で働き続けた俺、佐藤誠が過労で倒れ、気づけば異界の地。
「手違いで死なせちゃってごめん!」という神様から、お詫びに貰ったのは規格外の【魅了】スキル——。
だが、元社畜の俺にはその自覚が微塵もない!
ただ誠実に、普通に生きようとしているだけなのに、エルフの賢者、獣人の少女、最強の聖女、さらには魔王の娘までもが、俺の「社畜仕込みの優しさ」に絆されて居座り始める。
一方で、10年かけて仲間を集めたはずの「勇者・勝利」は、自身の傲慢さゆえに、誠へとなびく仲間たちを一人、また一人と失っていく。
「俺は勇者だぞ! なぜ手違い転生者に負けるんだあああ!?」
人界から天界、そして宇宙の創造へ——。
無自覚な誠実さで世界を塗り替えてしまう、元社畜の究極溺愛ハーレムファンタジー、ここに開幕!
リスナー1人の最底辺配信者、唯一の視聴者が現代最強の勇者でした
みなかな
ファンタジー
ダンジョンと冒険者配信が日常となった世界。少年カイは、最底辺の冒険者として誰にも見向きもされなかった。
夜のダンジョンで始めた配信の視聴者は、たった1人。だがその正体は——現代最強の勇者リーナ。これまで誰にも理解されなかった勇者の言葉を、なぜかカイだけが理解できる。
スライムにすら勝てなかった少年の成長速度は、やがて世界の注目を集め始める——。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第五章リード王国編
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした
think
ファンタジー
ざっくり紹介
バトル!
いちゃいちゃラブコメ!
ちょっとむふふ!
真面目に紹介
召喚獣を繰り出し闘わせる闘技場が盛んな国。
そして召喚師を育てる学園に入学したカイ・グラン。
ある日念願の召喚の儀式をクラスですることになった。
皆が、高ランクの召喚獣を選択していくなか、カイの召喚から出て来たのは
リビングメイルだった。
薄汚れた女性用の鎧で、ランクもDという微妙なものだったので契約をせずに、聖霊界に戻そうとしたが
マモリタイ、コンドコソ、オネガイ
という言葉が聞こえた。
カイは迷ったが契約をする。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界ギルド受付の俺、病んだ美少女冒険者たちをカウンセリングしたら全員「私だけ見て」とヤンデレ化した(アルファポリス版)
他力本願寺
ファンタジー
「あなたは私の担当でしょう?」
前世は臨床心理士。
静かな事務仕事を望んでいた俺・ナギが転生先で任されたのは、冒険者ギルドの「こころの相談窓口」だった。
回復魔法はあっても、心のケアの概念がない世界。
見捨てられ不安のAランク剣士、100点以外を許せない天才魔法使い、昼と夜で別人のような盗賊、善意で壊しにくる聖女――心に傷を抱えた美少女冒険者たちを、俺は前世の知識で少しずつ立ち直らせていく。
……はずだった。
なぜか全員、
「担当は私だけですよね?」
「論理的に、あなたは私に不可欠です」
と、俺を囲い込み始めたのだ。
だからそれは恋じゃなくて転移感情であって――って、剣を抜くな。魔法陣を展開するな。相談窓口の前で修羅場を始めるな。
しかも、ある日ギルドに届いた匿名相談は、
「人類を滅ぼすべきか迷っています」
最後の相談者、女魔王って本気ですか?
心を救うたび、独占欲だけが悪化していく。
異世界ギルド発、激重感情ヤンデレ修羅場ラブコメ。
※カクヨムでも連載中。73万PV達成。
カクヨムで開催された「異世界“最かわ”ヒロインコンテスト」の週間ランキング1位獲得作品
カクヨム版とは第四章以降の展開を変更しています。
(よりラブコメ色が強いです、壮大なお話、ヒューマンドラマがお好きであればカクヨム版をどうぞ)
https://kakuyomu.jp/works/822139846623644427