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第1章 勇者マストダイ!!【勇者なのに……〇〇されました。】
第12話 タニシの方が良かったなぁ……。
しおりを挟む「俺を利用する? どう利用するって言うんだ? 力が軒並み封じられているっていうのに?」
利用しようにも、今の俺は完全に無防備なんだが、どうしようというのだろう? 何しろ、天使とか魔獣ですらお手上げになる枷をはめれてるのにな。腕の自由を奪うだけでなく勇者の剣および、それに付随する義手の力まで制限されてしまっているし、額冠の力も封じられているから、勇者なんて肩書きに意味がなくなってしまっている。今の俺はただの破門された落ちこぼれに戻ってしまっているのだ。
「あんたが言いたいのはその枷の事だろう? 知ってるぞ。異端審問会が厄介者の力を封じるための切り札として所有しているのはちょいと調べればわかることさ。」
「じゃあ尚更、無理な事はわかってるだろう? 今の俺って利用価値ゼロだぞ?」
「アンタの能力をアテにしてるんじゃない。アンタがココに来たという事実を利用させてもらう。どう利用するかは後のお楽しみにしておくことだな。」
事実を利用? ますます意味がわからんな。何処をどう利用するのかサッパリわからん。力を封じられた俺は盾とか囮くらいにしか使えないと思う。しかも柔らかい盾なのであっという間にダメになるだろう。囮に使おうにもほんの少しの間しか持たなさそうなので、時間稼ぎには使えないと思うが?
「でも、なんでアンタなんだ? タンブルに任せれば良いだろう? 魔王なんだし。」
「魔王なんて捕まえると思っているのか? 奴らからしたら、「悪、即、斬」なんだよ。魔族は見つけ次第排除するのが教団の方針なんだよ。オレら獣人なら捕縛の上で洗浄もしくは殺処分扱いだからな。処分を受けるまでは猶予がある。」
「でも結局死ぬやん!」
「猶予ってのが重要だ。その間に工作出来るからな。前準備も怠ってなければ十分行動に移せる。」
「脱獄の?」
「普通ならな。だが今回はそれだけでは済ますつもりはない。」
「それ以上って何?」
「決まってるだろう?」
イツキはただそれだけ言って、手の平を一旦閉じてから、それが広がるようなジェスチャーをした! もしかして爆破? いやいや、爆破じゃなくてそれが意味するのは壊滅って事でいいんだろうか?
あまり声に出すと見張りに聞こえてしまうので必死にこらえて声に出そうなのを止めた。ここを壊滅とか頭おかしいんじゃないの? やり過ぎなんではないの? 下手すると教団全てから追い回されるかもしれんぞ?
「タンブル以外では俺が適任だと思った。じっとしてられないヤツとか、食い意地の張ったデブとか、隠し事の苦手なドジな魔法使いみたいなのしかいなかったからな。」
「ああそう……。でもタニシは?」
「あんなヘタレは問題外だ! 事あるごとに漏らすヤツは不適格にきまってるだろ。」
「えぇ~? タニシの方が良かったぁ~!」
なんでタニシではないのか! タニシと一緒だったらさみしさも誤魔化せたかもしれないのに! タニシがいれば牢獄ライフも楽しく過ごせたかもしれない。仲良く一緒に拷問受けたりとか、仲良く一緒に死刑……ってダメじゃないか! 結局死ぬヤンス! 思わずタニし口調になってしまった。最近はタニシ成分が足りないもんでつい……。
「仲良くよろしく弱男ズとして生涯を全うできたかもしれないのに!」
「死んでどうするんだよ! バカか、アンタは!」
「俺の大事な親友を奪ったクセに! この泥棒猫めーっ!」
「誰が猫か! 面倒くせぇ、メンヘラ女みたいな事言ってんじゃねぇよ!」
ああ、なんかちゃんと突っ込んでくれるな。協力者としては合格だ。俺のボケに的確に対応出来てるからな! なんかコイツ、タイプ的にファルに似通ってる部分があるんよ。ここみたいな牢屋の限定空間の間だけは”ポスト・ファル”として活躍することを許可しようではないか?
「……ぅううっ。」
「ん? ところでもう一人いるようだが、アンタの仲間か? なんか苦しんでいるようだが?」
「知らん。アイツは俺が来る前からいたみたいだぞ。」
「何者なんだ? ここにいるって事は何かしらやらかしたんだろうけど……。」
「俺の様な獣人でもなく、アンタみたいなやらかし勇者でもない。よっぽどの事がなけりゃこんな所にはぶち込まれないはずだぜ。ここは割と重罪犯が入れられる牢だからよ。」
謎の男……割と年は若そう。見た目は……またまた顔つきがハンサムなようで、しかもガタイがいい。長身だし筋肉も結構付いている。そこまでわかるのは囚人服が肌着みたいな薄っぺらい生地だから判別できるのだが、やけに鍛え抜かれた鋼の肉体といった印象だ。傭兵とか騎士とかでもやっていたんだろうか? その体格だけでもただ者ではないことを窺わせていた。
「名前とかは?」
「わからん。」
「なんで? 話くらいはするだろう? それしかやることないでしょうに?」
「知るかよ! コイツはずっと、ああやって頭を押さえながら呻いているだけなんだ。何者かもわかりゃしねえよ。」
確かにうつろな目をして呻いているだけだった。こちらのことには興味がないのか目線すら合わせてくれない。なんか見てると怖くなるって言うか……仕舞いには鬱病にでもされてしまいそうな雰囲気がある。とにかく得体の知れない男だった。だが……なんだろう? コイツからは何か脅威というか恐れの様な物を感じてしまう。やっぱ、ここにぶち込まれるからには相当な実力者なのかもしれない。
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