【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~

Bonzaebon

文字の大きさ
34 / 59
第1章 勇者マストダイ!!【勇者なのに……〇〇されました。】

第34話 実際、隠し味まで判別できちゃうレベルなんですよ?

しおりを挟む

「おもしれぇな! この旅芸人の娘と今から死刑になる犬っころに同じ匂いを感じるだなんてよ!」

「ハハッ、バカ言ってんじゃねぇ。俺とその娘が同じな訳……、」


 スミスはイツキと着物娘に同じ匂いを感じると言う。ギリーもそれに同意して二人を怪しがり、交互に睨みを利かせて観察するような素振りを見せている。特に何も共通点もない二人が? それはちょっと無理があるんじゃないか?


「ちょっと無理があるんじゃないかい、スミスさん? 見ず知らずの二人が同じ匂いなんてするわけが……、」


 刑務所の囚人と女の子が同じ匂いって事にするなんてあまりにも失礼なんじゃないのか? 気になるのはイツキのリアクションだった。今までふてぶてしかったヤツが焦りを見せているのだ。あの娘を気遣っているだけだと思いたいが……、


「なんでぇ、勇者? お前、スミスの鼻がおかしいとか抜かすのかよ? てめえの頭ほどはおかしかねえよ。スミスの鼻は料理の使った食材の特定どころか本の少ししか入っていない隠し味すら特定できる程なんだぜ?」

「はは……そりゃ、料理人泣かせだね……。」


 犬っていうかコボルトってのはそこまで鼻の感覚の精度が良いのか? そりゃとんでもない。それじゃ人混みのなかに紛れ込んでても容易に発見できるレベルじゃないか! もしかしたら、イツキもその事がわかっているから焦っているのかもしれない。でも、なんで? 焦るような事なんだろうか? 着物娘が言いがかりを付けられて捕まってしまうとでも思ったのだろうか?


「そろそろ種明かしした方がいいんじゃないか、お嬢ちゃん? お前ら、旅芸人一座が仕込んだドッキリの種をな?」

「その娘は関係ないだろ! お前らの狙いは俺たち死刑囚だけだろうが! さっさと刑の執行をしろよ!!」

「まあまあ、焦んなよ? 楽しいショーの前には前座ってのが不可欠なんだ。こいつらの仕込んだ一大ドッキリネタを見てからでも遅くはないだろ?」


 旅芸人たちは何か仕込んでいる物がある? その公演を途中で中断させたお前らが何を言うのか。まだとっておきの芸は残しているだろうから、それは間違いないと思う。でも、イツキと同じ匂いというのがどういう風に関わってくるのかわからない。


「明かすような物はありません! そういうものを見せたら私達の仕事が出来なくなっちゃう!」

「そうかい、そうかい。だったらその気にさせてやんよ!」

(ズンッ!!)

「うぐっ!?」


 ギリーは突然、イツキの肩をナイフで突き刺した。あまりにも唐突な行動に俺は呆気にとられた。こんなことをして何になる……と思っていたら、着物娘の様子がおかしい。イツキが刺されたのを見て明らかに動揺しているのだ。まるで知っている人が傷つけられたかのような反応を見せている。目の前で痛ましい光景を見せつけられたとか、ただそれだけではない感情が入っているのは目に見えて明らかだった。


「おやおや? これから死刑になる囚人をちょっと痛め付けただけなのに、どうしたのかな?」

「犯罪者とか関係ありません! 無益に人を傷付けるのが信じられないと思っただけです! どうしてそんなひどいことを……、」

「ヒドイ? 勘違いしちゃあいけねぇよ? 俺は特別に刑の執行を許された役人だ。だから罪人をどう扱おうが素人に意見される筋合いはないのさ。」

「だからって……、」

「めんどくせえな? いちいち罪人ごときに同情してんじゃねえよ! コイツらは人間の屑だぜ? カミサマに逆らった身の程知らずよ! その罪の重さをしーーっかりと自覚させた上で、あの世へ送り届けるのが俺らの役割なんだぜ!」

(グリッ!)

「ぐぅぁっ!?」

「ああっ!? もう、やめてぇ!!」


 ギリーはイツキの肩に指したままのナイフを抉り込むように捻って見せた。イツキは必死に声を出すまいとするが、堪らず唸り声にも似た嗚咽を漏らしていた。耐えがたい苦痛に違いない。それは見せつけられている着物娘も同様だろう。近くにいる彼女の仲間たちも苦しげな顔をしていたり、顔を背けるようにしている。


「お前らも強情なのな? ここまでやっても白状しやがらねぇ。そんなに苦しけりゃあ、さっさとゲロっちまえばいいのに?」

「何も隠してなんか……、」

「隠して? 俺はお前らが隠してるなんて一言もいってねぇぞ? ちょっとお漏らししちゃったみてえだな? あと少しかな?」

(ポンッ!!)

「なっ!? 花だぁ……!?」


 ギリーがナイフに力を込めようとした瞬間、ナイフが一輪の花へと姿を変えた。これは……耐えかねた着物娘が自らの魔法で花へと変化させたに違いなかった。その証拠に着物娘が凛とした表情で竹箒をギリーに向けている。これはさすがにただでは済まされないぞ……。


「姉ちゃんよぉ、面白いことしてくれんじゃねえか? お前がやったんだろ……ってことは職務執行妨害の罪を働いたことになるねぇ?」

「もう許しません! 悪いことをする人はお仕置きしないといけないんだよ……。」

「はいはい、お仕置き……って俺がお前にヤるんだよぉ!!」


 着物娘が仕出かした事にギリーは激昂し、別のナイフを抜いて今にも飛びかかりそうな姿勢を見せた。だがそれと同時に黒い影が地面に写し出された! 物凄い殺気を感じ上を見上げると、大木の様な物を振り上げた黒い影がそこにいた……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった

夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた

平木明日香
ファンタジー
はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。 それから幾千年。 現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。 そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。 ある日、光の王国ルミナリア近郊で王女ユリアナが大型魔獣に襲われる事件が起きる。死を覚悟した騎士団の前に現れたブラックは、その怪物をわずか数十秒で討ち倒す。彼にとっては雑魚同然だったが、その圧倒的な強さは王国中に知れ渡る。王女は自由に生きる彼の姿に心を奪われるが、ブラックは次の目的地へ向かう計画を練るばかり。 だが彼自身はまだ知らない。 自らが竜族の末裔であり、世界を再び“統合”へ導く鍵となる存在であることを。 竜の封印が揺らぐとき、自由を愛する青年は世界の命運を左右する選択を迫られる。 これは、竜の記憶と人の魂が交錯する壮大なファンタジー叙事譚である。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...