40 / 59
第1章 勇者マストダイ!!【勇者なのに……〇〇されました。】
第40話 私は一向に構いませんよ?
しおりを挟む「これで隊長代理とイツキさんはカップル成立ですな。私は勇者殿と戦うということで……。」
「何がカップルだ! 気持ち悪ィ!」
「だから。代理と呼ぶなと言っただろうがッ!!」
何だかんだで、俺らの首のかかったデスマッチ三連戦の対戦カードが決定した。この組み合わせにはまだ不安を感じるものの、希望を信じて勝ち抜くしかない。俺が先陣を切って味方を鼓舞するしかないのだ。覚悟を決めたところで、一向に拘束が解かれない事に疑問を感じ始めた。その一方でスミスはファイティングポーズを取っているのだ。
「な、なあ? やるんなら処刑台から解放してくれよ。これじゃ、なにも出来んのだが……?」
「私は一向に構いませんが?」
「……は? 何言ってんの? 俺、動けないんだけど?」
「私は一向に構いませんよ? ハンデとして受け入れる覚悟です!」
「いやいや、逆じゃん! これじゃ逆ハンデだよ!」
スミスは俺の拘束を解くこともなく、ファイティングポーズを取りながら、甘んじて受け入れるみたいな事を言い始めた。それどころかシュッシュッと声を出しながら、パンチの素振りをし始める始末……。ハンデって俺だけにハンデ背負わせるつもりか、この男? これじゃ完全に俺はサンドバッグじゃん!
「では敢えて……私も素手で戦いましょう。ハンデにはハンデで対抗するまでです!」
「いやいや、ハンデとして機能してないだろ! 俺は動けないんですけど?」
「”動かざる事、山のごとし”と、どこぞの古の兵法家も申しておりましたな。ただそれだけでも、アナタは戦術的行動を取っているのですよ。これを驚異と呼ばずして何とするのです!」
「それ意味履き違えてるから! 拘束されて動けないって、戦う前から負けてる行動だから!」
素手で戦うのはまだしも、結局サンドバッグ的な状況に変わりがないではないか! しかも素手だから余計にサンドバッグに徹しないといけないじゃないか! おまけに素手程度じゃ、すぐには死ねないし痛みも長引くだろうから実質、拷問と一緒だろうが! こんなの最早戦いとはいえない……。
「手強いですね……。私は先制を取られたにも等しい状況! ならば、私の体術をお見せするしかございませんな!」
「おっ! 出るか久しぶりの”死のコース”が!」
「素手で死のコースってあり得るのかよ?」
「甘いな! スミスの本来の武器は体術! 別名”歩く処刑具”と呼ばれてるのを知らないんだな、お前は?」
なにもしてないのに、先制をとった事にされている俺! おまけにスミスの闘志に火が着いた模様。必殺の”死のコース”とやらが発動してしまったようだ。スミスは摺り足で俺の近くまで移動しながら、殴りかかる……のかと思いきや体に組付いてきた! 死のコースとは打撃ではないのか?
「組技? 関節技、絞め技の類いかよ!」
「忘れたのか? スミスのコードネームをよ? 」
「忘れたよ、そんなこと! ブレンダンが断頭台ってことしか覚えてないよ!」
「そいつのコードネームは絞首台だ! 絞め技に気を付けろ、勇者!」
イツキの一言でようやく思い出した! 確か、ギリーが恥の仮面でカボチャ兜が車輪轢きだったな。まさか得意の攻撃方法もしくは必殺技がコードネームになってるとは思わなかった。てっきりノリで割り振っただけかと思っていた。思い出しているその間にスミスは細長い体を伸ばして俺に巻き付いてきていた!
「ぐっ!? シンプルに巻き付いて絞めてくるとは!」
「出たぜ! スミスの十八番がよ! 絞首刑地獄巡りNo.1、”春のパン祭り”!!」
「パン祭り、ってふざけてんのか、お前らは!」
「決してふざけてるんじゃないぜ? まるでパンを捏ねるようにスミスに体を引き絞られ、まるで春の夢を見るかの如く穏やかにお亡くなりにする技だぜ! 大抵のヤツはこれだけで根を上げてイッちまうのさ!」
「ぎゅ、ぎゅううーっ!!」
く、苦しい! まるで荒縄を巻き付けられてぎゅーっと絞られている様な感覚だ! 処刑台に拘束されているから直接的ではないものの、圧迫感は相当なものに感じる! これで直接体に纏わり付かれていたら、一瞬にして絞め落とされるのは確実だったろう。そう考えただけでもゾッとする! この技だけで終わる相手が多かったと言うギリーの話にも納得がいった。
「クソッ! なんとかしないとやられちまうぞ!」
「そんなこと……言ったって……、」
「むむう! 処刑台のお陰でいつもより絞まり具合が甘くなってますな! これは持久戦の予感……。」
「ハッハ! いいぜ、スミス! 一瞬で終わるよりかは楽しめるぜ! 勇者が絞め落とされるなんて屈辱的な負け方が見れるかもしれないんだからな! その過程をじっくりと拝めるのもまた一興よ!」
ああ……そうか。このままだと絞め落とされるのか。確かにそんな負け方した勇者なんて今までいなかったろうにな。前代未聞の屈辱的な終わり方になってしまうのだろう……。何か手立てはないのか? そう言えば……組技から脱出する技って何かなかったっけ……?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった
夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた
平木明日香
ファンタジー
はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。
それから幾千年。
現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。
そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。
ある日、光の王国ルミナリア近郊で王女ユリアナが大型魔獣に襲われる事件が起きる。死を覚悟した騎士団の前に現れたブラックは、その怪物をわずか数十秒で討ち倒す。彼にとっては雑魚同然だったが、その圧倒的な強さは王国中に知れ渡る。王女は自由に生きる彼の姿に心を奪われるが、ブラックは次の目的地へ向かう計画を練るばかり。
だが彼自身はまだ知らない。
自らが竜族の末裔であり、世界を再び“統合”へ導く鍵となる存在であることを。
竜の封印が揺らぐとき、自由を愛する青年は世界の命運を左右する選択を迫られる。
これは、竜の記憶と人の魂が交錯する壮大なファンタジー叙事譚である。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる