【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~

Bonzaebon

文字の大きさ
42 / 124
第1章 勇者マストダイ!!【勇者なのに……〇〇されました。】

第42話 長い物には巻かれろ!


「そーれ、34日!!」

「ぐぐう!?」


 俺はスミスの超低空タックルを食らい、転倒した拍子に足首を取られ捻り上げられている。スミスは自分の足を軸に回転しながら捻り上げてくるのだが、コレが堪らない! その度に足首へのダメージが来る。こんな技は初めて見た。関節技や組み技で何度も攻撃をするタイプの技は今まで見たことがない。


「生きてるって、なんだろ♪」

「生きてるって、なぁ~に♬ ……35日!!」

「うぐぐ!? なんだその歌みたいなのはっ?」

「これは夏の悲劇の歌だ! 一回転毎にしに近付いていく人生の無常を輪廻転生的な思想と共に垂れ流してやってんのさ! これを聴いたら、ああ夏休み、と叫ばずにはいられない!」


 ギリーがやたら楽しそうにおかしな歌の解説をした。流石に処刑技とはいえ、足首を破壊するのみの行為な為か、軽いノリで脱出出来ない俺を徹底的に煽ってきている! 何が輪廻転生だ! 違う宗教の思想が入ってきてるじゃないか! なんか他の宗教を馬鹿にしているのが腹立たしい。というか、待てよ? 輪廻転生? 回る? そうか! その手があった!


「それ、最後ですぞ! ……36……!?」

(ズリリッ!!)

「なっ!? 勢いでずれたか? スミス、ちゃんとヤツを固定しろ!」

「むむ! 相は言いましても……。」

「どうぞどうぞ! 更にお回りください! 長いものには巻かれる気持ちでいますので!」

「36……!? ぬっ!? 今一度、……36……!? またしても!?」


 そう回転……長いものには巻かれろ、の精神。スミスの回転と共に俺も同じ方向へ回転する! たったそれだけで技を封じることが出来たのだ。これも”蛇身寧行”の精神を生かした防御方法なのだ。ホァンジィから技を教わったときに聞いた心得を生かしている。

 「積極的に技をかけられに行く」精神で技を外しにかかるのが重要なのだと教わった。無理矢理脱出するよりも相手の狙いに沿って動いた方がほころびが生じやすいのだ。かける側からすれば、逃れようとする相手を想定して力の加減をしているのだから、”引こう”としている相手に対して”押せば”どうなるのか、ということだ。スミスの技も回転するのに合わせて自分も動けば回転の意味がなくなってしまうのだ!


「そうらっ!!」

(ドカッ!!)


 俺は地面で更に回転し技の拘束から逃れた。そして起き上がると共にスミスを蹴り倒してやった。相手は俺よりも小柄だったため、容易に転倒させることが出来たのだ。相手の体格がそこにいるカボチャ兜ほどあったなら、俺は確実にあのままやられていただろう。流石に腕力・体格が不利だったら勝ち目はない。


「ちくしょー!? まさか夏の悲劇が返されるとは! スミスの処刑技の中では一番盛り上がるところだっていうのに!」

「盛り上がるなんて余裕をかましてるから、返されるんだよ!」

「こうなったら、季節一個飛ばしで”冬のカマクラ”をお見舞いするしかなさそうですね!」

「とうとう出るか! 冬将軍! ”春のパン祭り”と並ぶ、地獄の処刑技を!!」


 春夏秋冬、季節が順序別に繰り出されるのかと思いきや、秋を飛ばして冬の技を繰り出してくるようだ。絞め技関節技と続いて次は何が来るというのだろうか? しかも冬ということは最後を締めくくる技には違いないので、今度こそ本当に息の根を止めに来るかもしれない。


「行きますぞ! とりゃー!!」

(シュババババッ!!)

「始まったぜ! ”冬のカマクラ”の始動技”冬のソナタ”がっ!」


 またしても、スミスの姿が見えない! さっきと違って、動いている気配は感じる。だがあまりにも動きが速いためか、周囲全体から感じられる! 即ち、スミスが俺の周りを高速で走り回っているのだと考えられる! 腕力に関しては勝つことが出来たが、スピードにおいては全く敵わない。俺ではあんな速く動き回れない。相手の動きを捉えられない以上はこちらから手を出しようがないのだ!


「とうっ!!」

「ぬわっ!?」

「捕らえた! こっからだぜ真の地獄は! 地獄のカマクラ絞りをお見舞いしてやれ、スミス!!」


 突然、俺の視界を遮る物が飛来した! 感触からしてスミスに違いない。と判明した時には既に遅く、ヤツが俺の頭にギュルギュルと巻き付いていく感触が伝わってきたのだ! 飛びかかってくる方向を悟らせないように動き回った上で頭部を狙っての攻撃を仕掛けてくるとは! まさかこの状態で繰り出されるのは……、


「春夏秋冬地獄巡りNo.4! ”冬のカマクラ地獄絞り”!!」

(ギュウウウウウウッ!!)

「うわーっ! うわーっ!!」

「決まった! これで勇者の頭は地面に落ちてグシャグシャに潰れたパーシィモンみたいになるぜぇ!!」


 苦しい! 体を頭部に巻き付けた上での絞め技! 視界も奪われた上に息をするのも困難になり、閉塞感が半端ない! 最初の”春”の技は処刑台ごと巻き付いていたので威力が抑えられていたが、今度は局所的に頭部のみを狙っているので締める力が強まっている。このままでは窒息の恐れもあるし、頭部自体も砕けてしまうかもしれない!
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

リスナー1人の最底辺配信者、唯一の視聴者が現代最強の勇者でした

みなかな
ファンタジー
ダンジョンと冒険者配信が日常となった世界。少年カイは、最底辺の冒険者として誰にも見向きもされなかった。 夜のダンジョンで始めた配信の視聴者は、たった1人。だがその正体は——現代最強の勇者リーナ。これまで誰にも理解されなかった勇者の言葉を、なぜかカイだけが理解できる。 スライムにすら勝てなかった少年の成長速度は、やがて世界の注目を集め始める——。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

【コミカライズ】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】  2026年4月24日より、ピッコマ、コミックポルカにて漫画が連載中!  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

異世界ギルド受付の俺、病んだ美少女冒険者たちをカウンセリングしたら全員「私だけ見て」とヤンデレ化した(アルファポリス版)

他力本願寺
ファンタジー
「あなたは私の担当でしょう?」 前世は臨床心理士。 静かな事務仕事を望んでいた俺・ナギが転生先で任されたのは、冒険者ギルドの「こころの相談窓口」だった。 回復魔法はあっても、心のケアの概念がない世界。 見捨てられ不安のAランク剣士、100点以外を許せない天才魔法使い、昼と夜で別人のような盗賊、善意で壊しにくる聖女――心に傷を抱えた美少女冒険者たちを、俺は前世の知識で少しずつ立ち直らせていく。 ……はずだった。 なぜか全員、 「担当は私だけですよね?」 「論理的に、あなたは私に不可欠です」 と、俺を囲い込み始めたのだ。 だからそれは恋じゃなくて転移感情であって――って、剣を抜くな。魔法陣を展開するな。相談窓口の前で修羅場を始めるな。 しかも、ある日ギルドに届いた匿名相談は、 「人類を滅ぼすべきか迷っています」 最後の相談者、女魔王って本気ですか? 心を救うたび、独占欲だけが悪化していく。 異世界ギルド発、激重感情ヤンデレ修羅場ラブコメ。 ※カクヨムでも連載中。73万PV達成。 カクヨムで開催された「異世界“最かわ”ヒロインコンテスト」の週間ランキング1位獲得作品 カクヨム版とは第四章以降の展開を変更しています。 (よりラブコメ色が強いです、壮大なお話、ヒューマンドラマがお好きであればカクヨム版をどうぞ) https://kakuyomu.jp/works/822139846623644427