46 / 59
第1章 勇者マストダイ!!【勇者なのに……〇〇されました。】
第46話 彼は戦えるのだろうか……?
しおりを挟む「ちゃちゃっとやっておしまいなさい、ジャック。隊長に次ぐ強力を持つアナタの実力を見せておあげなさい。」
「ゴオオゴゴ!!!」
カボチャ兜は鎖をジャリジャリと鳴らしながら、巨体を前に進ませる。なるほどブレンダンに次ぐ腕力の持ち主か。体格だけならヤツ以上だろう。持っている鉄駕籠といい被っている兜にしても相当な重量があるはずだ。それを難なく装備し動けるのだから、手強い相手なはずだ。これは俺やイツキであっても苦戦は免れなかったはずだ。
「動け! 動けってんだよ! このまま黙ってやられるつもりか!!」
「せめて、降参の意思だけでも示してくれ!」
「……。」
俺やイツキの呼び掛けにも彼は答えなかった。拘束を解かれ、膝立ちでへたり込んだまま名無しの男は動こうとしなかった。目の前に驚異が迫っているのに、それを気にしてさえいない! このまま無惨にやられるのを待っているだけだった。
「グオオ!」
「……。」
カボチャ兜は名無し男の目前で止まり鎖を持っていない方、左腕を振り上げて殴りかかる素振りを見せた。そのまま腕を振り容赦なく殴り付けた。ゴウッ、と風切り音が鳴るほどの勢いで殴られ、名無しの男は大きく吹き飛ぶ羽目になった!
(ドシャァァァッ!!!!)
「ぐ……うっ!!」
「ほう? 即死は免れた様ですな。並みの者ならただジャックに殴られただけで頭部を吹き飛ばされる程だというのに。これに耐えたということは見た目どおり、戦いの心得は持っておいでのようですね。」
ただ技術もない普通に腕を振りかぶるだけという行為ではあったが、この前に見た拳王の拳にも匹敵する迫力のパンチだった。並みの一般人なら首がもげるほどの威力というのも納得できる。首がとれなくても骨くらいは折れそうな勢いではあったが状態を起こそうとしている辺り、怪我らしい怪我はしている様子がなかった。スミスが言うようにアイツは並外れたタフさを持っている!
「以外と手強いようですよ、ジャック? アナタが本気を出すのにふさわしい相手なのかもしれませんよ?」
「グオオゴゴ!!!」
カボチャ兜は一向に言葉を発しようとしなかった。名無しの男も不思議ではあるが、この男自身も謎めいた要素を持っている。不気味なのはあのカボチャの形をした兜だ。あの肉厚に作られ、お化けの顔を模した目や口の形に開いた穴の奥から恐ろしい獣の眼光が輝いているような錯覚を覚える。あの下にはどんな顔が存在しているのだろう? 想像するだけでも恐ろしい。
「う……あ…あ……。」
「ムッ!? この構えは……!?」
吹き飛ばされ、起き上がりカボチャ兜に向き合ったヤツは何を思ったのか、両の拳を肩の高さまで上げて拳闘のようなポーズを取った。これは明らかに相手の攻撃に備えるために取った行動に違いなかった! 殴られたショックで少し記憶を取り戻したのか? それとも本能が無意識的にとらせた行動なのか? それを伺い知ることは出来なかった。
「ほうほう! これは面白い。記憶は戻らずとも、本能的に防御体勢を取ったようですね? これは中々出来ることではありませんよ。その姿勢が染み付く程に経験を重ねていなければ出来ないことですからね。彼は間違いなく歴戦の戦士なのでしょう!」
無意識的に防御行動を取ってくれたのはよかったが、それだけで勝てるほど勝負は甘くない。依然として不利な状況は継続している。なすすべなくやられるだけの状態から一歩進んだだけに過ぎない。勝って生き残るには更なる前進が必要なのだ。
「今のうちに倒しておしまいなさい、ジャック! もし、記憶が戻ってしまうと手こずるかもしれないですよ!」
「グオオゴゴ!!!」
カボチャ兜は攻撃を再開した! 今度も同じで技術もないただのパンチを繰り出す。とはいえ次は猛連打だった! 片腕だけの攻撃だが滅多打ちといってもいいレベルで凄まじい威力の雨あられである! 並みの人間ならとっくに粉砕されている程だったが、名無しの男は無事持ち堪えていた! 苦しげな呻き声を上げてはいるが、例の防御姿勢は全く崩れていない!
「う……ぐ……!」
「むうう!? なんというタフさ!? ただ構えを取っただけでジャックの攻撃を物ともしないとは!!」
「グオォゴッ!!」
さすがに処刑隊の二人も焦りを見せている! 隊の2番目だという強力の持ち主でさえ崩せない防御の牙城に驚異を感じ始めたようだ。カボチャ兜は一通り殴り付けた後、一旦後ろに下がり肩に担いでいた鉄の駕籠を地面に下ろした。とうとうアレを使う決心を固めたようだ!
(ズゥン!!!)
「ジャックお得意の処刑具”死の弁当箱! まるでお昼の食事を済ませるかの様に軽~く相手を粉々にするのです!」
「グオオゴゴ!!!!」
(ジャラリッ!!!)
死の弁当箱だと? てことはやっぱり……あの中に相手を閉じ込めて苦しめるような処刑具なのか? しかも鎖がついてるって事は振り回したり地面に叩きつけて使用するのだろう! まずいぞこれは! あんなのに入れられたらガードもへったくれもない! なんとしてでもアレに捕まらない様にしないと……。
0
あなたにおすすめの小説
辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた
平木明日香
ファンタジー
はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。
それから幾千年。
現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。
そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。
ある日、光の王国ルミナリア近郊で王女ユリアナが大型魔獣に襲われる事件が起きる。死を覚悟した騎士団の前に現れたブラックは、その怪物をわずか数十秒で討ち倒す。彼にとっては雑魚同然だったが、その圧倒的な強さは王国中に知れ渡る。王女は自由に生きる彼の姿に心を奪われるが、ブラックは次の目的地へ向かう計画を練るばかり。
だが彼自身はまだ知らない。
自らが竜族の末裔であり、世界を再び“統合”へ導く鍵となる存在であることを。
竜の封印が揺らぐとき、自由を愛する青年は世界の命運を左右する選択を迫られる。
これは、竜の記憶と人の魂が交錯する壮大なファンタジー叙事譚である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった
夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる