男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~

百門一新

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五章 宝を守る大蛇と、砂の亡霊(3)

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 トーリの頼もしい様子を目にしたラビは、ようやく理解が追い付いて「トーリ! ありがとうッ」と、歓喜の声を上げてしまっていた。

「わざわざ探して、鳥達を呼んで来てくれたんだね」
『おいおい、キラキラした目を向けてくんなよ、照れるだろ……別に、そこまで苦労はしてないぜ、近くに偶然渡り鳥がいたんだ。だから俺は、そこまでちょっと久々に『飛んだだけ』さ』

 セドリック達が、唐突に宙に向かって話し始めた彼女を、不思議そうに見やった。ノエルの『なんだ、さっきの妖獣か』という台詞を耳にして、察したように互いの目を合わせると、先程の説明を裏付けるかのように、大蛇が騒然となった現場の中でも身動きする様子もない事を素早く確認する。

 ラビは、ノエルがトーリと見つめ合ったところで、強く向けられている視線に気付いた。肩越しに振り返ると、そこには三人兄弟の盗賊団であるベック達がいた。

「あのさ、宙に向かって話してるけど、まさかオバケと喋っているとかじゃねぇよな……?」

 兄弟を代表して、ベックが怖々と尋ねてくる。

 そういえば、ノエルは聞こえるようにしている状態だけど、トーリの声は自分以外には聞こえていないんだった。ラビはそう思い出して、宙を指してこう教えた。

「声は聞こえないし、姿も見えないだろうけど、あそこに協力してくれている動物がいるんだ」

 すると、三人が目を剥いて、頭に巻いたターバンを揺らして叫んだ。

「『ちょっとした事情で透明になっている動物』って、お前の相棒だけじゃねぇのか!?」
「つか、どういう事情があったら透明になっちまうんだよ!?」
「この蛇も半分透明なんだけど、透明生物ってよくいんのか!?」

 これまで我慢していたらしい困惑を、彼らから続けてぶつけられたラビは、つい口の中で「……透明になってるって、何が?」と疑問をこぼしてしまった。自分が合流するまでに、セドリック達が彼らに一体なんと説明したのか気になった。

 ずっと一緒に過ごしてきた幼馴染であるセドリックの性格からすると、秘密を話すような事はしないだろう。続く騒ぎの中で彼らに質問された誰かが、面倒になって適当にそう説明した可能性が脳裏を過ぎった。

 本当の事を説明するわけにもいかないし、そんな時間もない。そう考えると、これは合わせておいた方がいいのかな、とも思えてきた。

「うん……、あの、まぁ、そんなところかな……? オレ、獣師なんだ」

 ラビは、しばしベック達と見つめ合って、それから下手くそなその場しのぎのような返答を口にした。けれど、なんと言っていいのか分からず、言葉が途切れてしまう。

 ぎこちなく視線を逃がしてトーリの方を見やると、ノエルがニヤリとして、彼に声を掛けるところだった。

『やるな、猫野郎』
『テメェの事は微塵にも心配してねぇ。鼻先に蹴りぶちこまれたくなかったら、口を閉じてろ犬野郎』

 空中で仁王立ちしたトーリが、すかさず器用に親指を立てて下に向け、その手を首の前で横に引っ張った。大きなくりくりとした金緑の瞳は、完全に殺気立って絶対零度で坐っている。

 それをタイミングよくバッチリ目撃してしまったラビは、「うわぁ……」と口許に手をあてた。ノエルの声だけしか聞こえていないセドリックが、一体どうなっているんだろう、という部下を代表して状況を尋ねる。

「地下で話したという妖獣が、上の方にいるんですよね?」
「あ、うん……。えぇと、実はこの鳥達は、昨日ザイードの街で羽を休めていた渡り鳥達で、それを彼が連れてきてくれたみたいなんだ」
「俺達には『彼』の声は聞こえないのですが、ノエルと何か話しているんですか?」
「ちょっと言葉を交わしているんだけど、その、オレもびっくりするくらい、トーリは外見に似合わず、口調が荒っぽい動物というか……」

 今『猫』なんて単語を出したら、トーリが余計に切れて、話がごちゃごちゃになりそうな気がする。ラビは、セドリックとの会話を見守る男達にも聞こえるように話しながら、悩ましげに眉を寄せていた。

 とりあえずこり鳥達は、こちらの事情を知っている味方で、蛇の群れを抑えるのを加勢してくれている状況なのだと説明した。すると、副隊長であるセドリックが、副官のユリシスに目配せして、集まっている部下達をざっと見渡して声を掛けた。

「そういう事らしい。やるなら、今がチャンスだ」
「獣師ってのは、予想外で不思議な戦い方をするんすね……。まぁ、有り難ぇ助っ人だ」

 難しい事を考えている状況でもない。おおまかに理解したと答えたヴァンが、持ったままの剣を下に構えて「強行突破っすか?」と続けて確認する。

 彼らが手短に段取りを話し合う様子に気付いて、ノエルが声だけながらもそこに加わった。まるで策でもあるかのような迷いのなさで、大蛇まで最速で接近したいとする彼の要望を聞いて、セドリックが戦力配置と各役割を指示した。

 鳥達が頑張っているとはいえ、数ではまだまだ押されている状況だ。この人数で達成するには、少しでも戦力が要る。若手のテトとジンのコンビにつくよう、ベック達には協力が要請され、副隊長を中心にざっと手短に話し合われた。

 ラビは、相手にされなかったトーリが、悔しそうにノエルの方を眺めて『あの犬野郎』と呻る声を聞いた。彼らの注意がこちらから外れている気配を背中で感じて、「さっきは、ノエルがごめんね」と、素の柔らかな苦笑を浮かべて謝った。

「渡り鳥のみんなを呼んで来てくれて、本当にありがとう、トーリ」
『ああ、だからもういいって。何度も感謝されると、くすぐったくなるぜ』

 トーリが、ラビを見つめ返して、照れ隠しのように片手を振った。

『こうして人間と話すのも、随分久しぶりで面白かった。それに、こうやってあんたに名前を呼ばれるのも、悪くない』

 名前なんてほとんど呼ばないもんなんだぜ、と、ちょっと照れ臭そうにトーリが笑った。自分の場所を行き来していた人間の何人かが、口にしていたくらいだったな、と思い出すように言う。

 ラビは遅れて「あ」と、声を上げた。自分が自然と、ノエル相手みたいに彼を呼んでしまったと気付いた。

「勝手に呼び捨てにして、ごめん。トーリさんって呼んだ方がいい?」
『いんや、『トーリ』でいいよ。みんな俺のこと、そうやって気軽に呼んでくれていたんだ』

 そう言って、トーリがどこか懐かしむようにそっと目を細める。けれど、自身でもよく分からない様子だった。

『こんな時に、なんで最後の神官の言葉を思い出すんだろうな。アレ、まだ有効だっけか?』

 そんな独り言を呟くと、ふわりと舞い上がって、彼は改めてラビに目を留めた。

『んじゃ、俺は一旦『さよなら』だ。呼び出された術の効力が切れる』
「時間が決められているの?」
『本来、妖獣ってのは、聖獣なんかとは違って人間世界には適していない。その特性で、身体はあるのに【実体化】しないと人間の目には映らねぇし――術で作られた『俺の扉』は、案内の目的を果たしたら閉まるようになってる』

 まぁそんな事を説明しても、あんたには分からないんだろうなぁ。

 トーリが、そうおかしそうに続けた。ラビが小首を傾げると、指を向けて『だって獣師なんだろ?』とニヤリとする。

『というか、あんた動物とも話せるみたいだな。こんなに好かれるってのも珍しいけど、やっぱそれでいて、魔力がないってのが不思議だよなぁ』

 無事に術具がゲット出来るといいな、じゃあな獣師ラビ……そう最後の言葉が告げられると同時に、手を振って踵を返したトーリの姿が、ふっと消えていった。

 まるで魔法みたいだ。帰ってしまったんだろうか?

 ラビは首を捻った。隣にノエルが戻ってくるのを感じて、話し合いが終わったらしいと察して目を向けると、見つめ返してきた彼がこう言った。

『猫野郎は、素直に帰ったみたいだな。随分人間に慣れていたみてぇだから、何かしでかすんじゃねぇかと思ったが、杞憂だったか』

 まぁ知識はあっても、閉じた『門』に引っかからないくらいの小物の魔力じゃ、どうにも出来ねぇか――と、ノエルがよく分からない事を口の中に落とす。すぐに思案を終えるようにして、眼差しに強さを戻して蛇の群れへ目を向けた。

 ラビは、長い付き合いの親友の横顔や雰囲気から、動き出す事が決まったのだと察して尋ねた。

「このまま真っ直ぐ、大蛇まで?」
『おぅ。この騒ぎでバラけている蛇の大群の中を、真っ直ぐ進む』

 ハッキリと答えて、ノエルはラビを見た。

『剣の用意はいいか?』
「バッチリだよ。ノエルは?」
『ははっ、俺は平気に決まってるだろ』

 微塵にも億劫さのないラビの輝く目を見て、ノエルは『相変わらず、怖がらないんだな』と笑った。そして、抜刀して前を向く彼女の隣で、どこか誇らしげに胸を張ると、床で蠢く蛇の群れではなく、同じように大蛇を見据えて言葉を続ける。

『行くぜ、ラビ。左は任せろ』
「右はオレに任せて。……よしっ、行こうノエル!」

 ラビは一呼吸後、剣を構えて迷いなく駆け出していた。

 同時にノエルも動き出し、邪魔な蛇を蹴散らしながら猛進する。直後にセドリックが気付いて「援護しろッ」と手を振り、彼らも一斉に後に続いた。

 ヴァンが上司の前に位置を構え、「あのワンコと、じゃじゃ馬獣師めッ」と、強がった笑みを浮かべて言った。

「話し合いでは、俺が突破口を開くって、ワンコには言い聞かせていたってのによ!」
「ノエルは『突っ切るから援護しろ』としか言わなかったから、俺としては、その時点でこうなるとは思っていたよ……」
「副隊長っ、諦めるの早すぎますよ!? その時点で、なんでガツンと言わなかったんですか……。そもそも時間ないからって、あのワンコから作戦について碌な説明もされていないんですが!」

 ラビは、言い合うセドリックとヴァンが、それぞれ斜め後ろに追い付くのを感じながら、飛びかかってくる蛇を剣で退かしていた。

 刃に掛かる重さは、実物の蛇のようであるのに、刃先であっさりと弾けてしまうのが不思議だった。あまりにも数が多すぎるせいで、斬るというよりは、手あたり次第叩き返すような剣術戦法にすぐ切り替えた。

 隊列の中央で、サーバルと組んだユリシスが、同じように一度に数匹の蛇を吹き飛ばした。後方で、テトとジンが左右に別れて援護に入り、最後尾についたベック達が、開いた道を後ろから詰めて飛びかかってくる蛇を、狙っても当たらないサーベルを必死に振り回して払っていた。

 ラビはノエルと共に、セドリック達が剣を振るって半ば道を確保する中、大蛇に向けて走った。目標まで残り数メートルという距離で、ノエルが鮮やかな赤色の獣目でロックオンする。

『封印されている術具が見えたッ、奴の腹の中に保護されている空間がある。そのまま口の中に飛び込むぞ!』
「了解! まずは一発目を確実に決めて、少しでもあいつの口を開けさせればいいわけだね!」

 信頼しているラビは、迷う事なく了承して、大蛇の口に飛び込むために走るスピードをぐんっと上げた。近づいた大蛇の表皮が、かなり厚い事を見て、剣の刃は打撃器にしかならないと判断し、直前には鞘に収める事を考える。

 その元気いっぱいの返答を聞いたユリシスが、「は」と呆気に取られた声を上げて、前を行くラビの華奢な背中に目を向けた。ガバリと振り返るヴァンと同じく、セドリックも勢いよく顔を向けて叫んだ。

「ちょッ、ノエル。それで本当に大丈夫なんですか!? 大蛇の口に飛び込むって、ラビが食べられてしまうなんて事はないですよね!?」
『んな可能性が微塵にでもあったら、させるわけねーだろヘタレ野郎』

 前方を見据えたまま、ノエルが間髪入れずそう言った。

 容赦がない返しを受けて、セドリックが「ヘタ……」と、単語の全部を言えないまま絶句した。改めてラビ以上の、恐らくは彼女の悪い見本になったであろう喋る狼の口の悪さを痛感して、ジンが「ひでぇ言われようだ」と喉仏を上下させる。

 一度攻撃を受けたら、反撃のスイッチが入って大蛇が動き出す。

 すんなり口の中に突入するのなら、一撃目でしっかり開口させるチャンスを作らなければならない。

 ラビは、カチリとそちらに思考を切り替えて、大蛇に視線の的を絞ると、剣を鞘に仕舞った。飛びかかってきた小さな蛇の横腹に蹴りを入れ、続けて反対側の足も振り上げて払いのけ、更に走る速度を上げて、ノエルと共に大蛇を目指す。

 これからの行動を思ったジンが、目を剥いて「マジかよッ」と口にし、慌ててテトを呼び寄せて、彼女に向かう蛇の阻止に取りかかった。ユリシスが露骨に顔を顰めて舌打ちし、一気に踏み込んで、ラビの斜め後ろに付いて蛇の対応に当たる。その空いた位置に、急ぎサーバルが駆け寄って構えた。

 声がよく聞こえていない後方のベック達が、「なんだ何が始まるって!?」と叫び返したが、早急に動き出した事態を前に、答えられる者はいなかった。

 ヴァンが「前を開けます!」と上司に一言告げて、どうにかラビ達より少し前に踊り出て剣を振るった。そばでセドリックが、反対側の先頭へと進み出て、彼女の斜め前方で邪魔な蛇の群れを切り伏せながら、大きな声で確認した。

「ラビッ、口を開けさせると言ったって、一体どうするつもりなんですかッ」
「とりあえず飛ぶ! んで狙うは顎下!」
「大蛇の頭までかなり距離がありますよ!? あまりに計画性が無さすぎますし、考えがざっくりしすぎですッ」
『うるせぇぞ、ヘタレの過保護次男坊め。んじゃお前らが、俺とラビの踏み台になればいいだろが。その方が、確実に距離を稼げる』

 大蛇まで後少し、という距離で、答えたノエルとラビが同時に強く踏み込んだ。

 それを見たセドリックとヴァンが、止める暇もないと察して、悪態を堪える表情で咄嗟に剣をギリギリまで引いた。自分達のその刃の側面部分を向けるように構えて、思い切り振るう。

 ラビは横目にそれを見ていたので、タイミングを計って跳躍した。セドリックの剣の刃の側面に乗ると、そのまま振るわれる剣の遠心力の勢いを借りて、前方に向かって高く飛ぶ。彼女に続いてノエルが、同じようにヴァンの剣を足場にして一気に飛び上がった。


 大蛇へと突っ込むようにして、真っ直ぐ宙を舞うラビの金髪が、こぼれる日差しの下でふわりと揺れて、鮮やかな金色を反射させて目を引いた。

 気付いたベックが「嘘だろ」と口にし、弟達とその姿を目で追い掛けた。ネクタイの年長鳥が、目を丸くして『何してんの』と、一部の仲間達と行方を見守る。


 眼前に迫った大蛇が、まるで射程距離内への侵入を感知したかのように、ピクリと反応した。

 直前まで微塵にも動かなかった、作り物のような真っ黒の蛇目が、命でも吹き返すかのように、ぼんやりと鈍く光るのが見えて、ラビは渾身の蹴り技をぶち込むべく、体勢を整えにかかりながら「ノエル!」と呼んだ。

「あいつ、こっちが攻撃する直前に動くと思う!?」
『それはない! 身体を動かすための魔力は反応してねぇッ、だからそのまま突っ込め!』
「分かった! せーのっ」

 意気込む声と同時に、ラビは身体を捻って勢いを付けて足を振り上げ、大蛇の顎下に強烈な蹴りを放っていた。

 一撃では足りないだろうと、念には念を入れて、その一瞬後に身をもう一回転させて、反対側の足も叩き込む。そんな彼女の隣では、弾丸のように突っ込んだノエルが、強度マックスの石頭で、大蛇の顎の下をしたたかに打っていた。

 どれほどの威力で打ち込まれたのか分かる、ゴッという重々しい衝撃音が響き渡った。大蛇の頭が少し持ち上がり、その重い巨大な頭部が、ぐらりと揺れる。

 ラビの落下が始まる直前、ノエルがそのまま素早く宙を駆けて、大蛇の真上に躍り出た。敵意剥き出しで見開かれた彼の真っ赤な獣目が、煌々と光を放って、漆黒の毛並みがざわりと逆立った。

 その直後、怒号するような吠える声と同時に、噛み合わされた大蛇の口下に向けて、ノエルが砲弾のように空気を震わせて急降下し、第二派の頭突きが見舞っていた。

『たかがひよっこ大妖獣ごときが『この俺』を煩わせてんじゃねぇッ、口を開けやがれってんだこのデカブツヤロー!』

 まるで巨大な獣に一撃をくらったかのような、重量級の威力で激しい打撃音が上がった。顎が外れたのではないか、という様子で、大蛇の口がパカリと開く。

 それを見たノエルが、『よしっ』と言った。宙を浮いてふわりと後退すると、その直後に鳥のように素早く旋回して、その背中に落下するラビを受け止めた。

『そのまま口の中に突っ込むぜ、ラビ!』
「了解!」

 ラビは、親友の背中の優雅な毛並みを握り締めた。ノエルが見えない足場でもあるかのように一気に宙を駆けて、一瞬ほど失神したかのようにぐらついている大蛇の口へ、真っすぐ突っ込んでいった。
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