12 / 44
三章 半妖令嬢と王都と学院
しおりを挟む
第二王子、サイラスと最悪な初対面を果たして一年が経った。
リリアは、彼と会うことがないまま十三歳になった。その間に、サイラスはめきめきと魔法力を磨き、誕生日と同時に最強の魔法使いの名を得ていた。
「……なーにが『最強の魔法使い』よ。まだ魔力酔いを起こさせる未熟者のくせに」
久々にその名を新聞で見た時、リリアは気分が悪くなって愚痴った。学院デビューだというのに、嫌な前触れだと思った。
あれからちょうど一年、令嬢として、王宮の近くにある学院に通うことになった。
高度教育が受けられる三年制の学院に、今期、勉強に集まった令息令嬢は約百五十人。その中でリリアは、サイラスと二回目の対面を果たした。
もちろん、すぐに目をそらして言葉など交わさなかった。
――サイラスの一件で、結婚なぞクソくらえと闘志に火が付いていた。
この一年、リリアは学院に入るためだけに猛烈に勉強に打ち込んだ。領地からはかなり遠い距離だが、空を飛べば一時間もかからない。
「私、どうせなら領主になるわ。この婚約が終わったら、父様の手伝いをがんがんする。後継者として領地経営に励んで、ゆくゆくは伯爵になるの!」
嫁ぐか家を継ぐかと言われれば、数少ない女領主になってやろうではないか。
学院があるのは王都の大都会だ。そんなところへなど通いたくなかったが、将来父の仕事を手伝うには必要だったから、通う決意をしたのである。
それから学院生として、週に数回、希望する科目の授業を受ける日々が始まった。
狐の耳も隠さなかったし、髪だって他の令嬢達みたく飾ったりしなかった。一人だけ存在が浮いていたが、つんっとして平気で過ごした。
それに合わせて、リリアはこれまで断っていた社交デビューも果たした。父ツヴァイツァーの少ない社交に付き合い、パーティーや茶会の出席についていった。
今後は、婚約者として最低限のパートナー出席は求められる。
エスコートされる義務はないし、一緒に待ち合わせての会場入りもしなくていい。ただ、同じ場所へ、招待された婚約者の一人として足を運ぶ。
だが、敵地を知るためには必要なことだった。
――私は、逃げたりなんかしない。
「リリア、本当に大丈夫かい?」
「ええ、平気よ。父様、見ててちょうだい。私は誰にも負けないわ!」
ツヴァイツァーは娘を心配したが、リリアは闘う気満々だった。
十二歳で大泣きしたことはリリアの失態だった。大妖怪の母、そして伯爵の父が誇る娘として、誰にも負けてやらないと改めて強く決意したのだ。
人間界に滅多に来られない母に、いつか胸を張ってこう自慢してやるつもりだった。
『おーっほほほほ! 人間なんて、私の敵じゃなかったわ!』
……みてろよ、あんのクソ王子め。
婚約の期日は、リリアが十六歳を迎えるまでだ。彼女は、誕生日を迎えたら即、サイラスに恥をかかせつつの、婚約破棄を叩き付けてやるつもりでいた。
獣耳付きで、しかも時々空を飛んでいる姿も目撃されているリリアは、滅多に顔を出さない第二王子の婚約者としても注目を集めた。
それでも毅然とし、ツヴァイツァーの娘として立派に振る舞った。
そして何度目かの社交の場で、サイラスと遭遇し、ようやく彼と言葉を交わすことになった。
この婚約は、リリアを守るため、ツヴァイツァーが国王と結んだ〝契約〟である。それと同時にサイラスにとっても、王族としての習慣を守るために必要なものだ。
婚約者として言葉を交わさなければならない状況だった。だから二人は、初対面の頃より一年分の成長を見せて、冷やかな表情ながら対面を守って社交辞令をした。
――のだが、かなり辛辣な言葉のやりとりだった。
「殿下が来ているだなんて、存じ上げませんでしたわ」
「奇遇だな、俺もだ。先に参加者名簿に目を通していてもよさそうだが、無能ならその執事を連れる意味はないと思うがな」
「彼は、わたくしの教育係です。うっかり電撃を放ってしまう前に、失礼致しますわね」
それは、周りで聞いていた者たちを凍り付かせるほどだった。
二人の仲の悪さは、数回の顔合わせを経て知れ渡った。
社交界へ出席する時、彼女のそばには必ずアサギが付いていた。
リリアが一度も婚約者にエスコートされず、常に執事を連れていたのも、社交界で第二王子との不仲説の原因に一役買った。
ずっとそばにいられないツヴァイツァーの代わりに、教育係のアサギが面倒をみる。そして時には、必要になった際の臨時エスコート役も引き受けた。
――レイド伯爵家の執事は、あやかしである。
見合いの一件で知られたことで、獣耳付きのリリアとセットになったその姿を、多くの人がチラ見した。
どうせ、ただいるだけでも見られてしまうのだ。
リリアは、自分の将来のために勉強に励み、売られた喧嘩は全部買って言い負かした。一年も経つ頃には、ツヴァイツァーが心配に思わないほどたくましい令嬢になっていた。
しかしその翌年、十五歳になって事情は変わってくる。
リリアは、婚約者という立場が、どれほど面倒臭いのか悩まされることになった。
「……『あなたは妻に相応しくない』って……わざわざ手紙を入れられてもね」
学院で、いつもの一番後ろの席に座ったら文句の手紙が。外を歩けばひそひそ話をされ、令嬢達が強気で嫌味ったらしく言ってくるようになった。
結婚を強く意識する令嬢が増えたせいで、とばっちりが、かなりウザい。
十五歳をこえても、サイラスとの関係が凍えているのを知っての上だろう。チャンスとばかりに蹴落としに出られている感じがした。
リリアとサイラスの婚約は、宰相のハイゼン達など一部の人間にしか知らされていない仮のものだ。
十六歳になれば、簡単に解消できるよう婚約が交わされている。
もしくは、魔力酔いを起こすために触れさせられず、令嬢をエスコートできないでいるサイラスの症状が落ち着き、妻にする令嬢を決め次第に解消の運びとなる。
でも令嬢達は、政略結婚としてリリアが第二王子サイラスと結婚する、と信じているのだ。
――妖怪国と繋がりを保つために、と。
※※※
「んなことあるわけないじゃん、バカじゃないの?」
十五歳と数ヶ月、リリアの苛々はマックスだった。令嬢達が聞こえるようにこそこそ話していたその内容を思い返すと、腹立たしい。
「妖怪国との繋がりをたもつだの、強化するだの、私一人でそんな変化を与えられるはずがないじゃない。ちっくしょー嫌だけど婚約者なの!」
「姫様、もう少し声を抑えましょうね。令嬢の仮面がはがれちゃってますんで」
今日は、王宮で第一王子の婚約祝いが開催されていた。
その会場で、若葉色の外向けドレスで身を包んだリリアは、壁際でしゃがみ込んで不貞腐れていた。不機嫌な顰め面も、以前より美しさに磨きがかかっている。
父が社交をしている間、自由行動を取っていた。自分からガンガンあしらっていく、というのもすっかり面倒臭くなって不参加だ。
そんな彼女の隣には、同じようにアサギが壁に背をあてて品なくしゃがんでいた。時々、目の前のテーブルの間を通り過ぎていく王宮の使用人に、へらりと笑いかけてフォローを入れる。
「あ、大丈夫です。気にしないでくださーい」
参加者達も、テーブルの向こうに隠れている二人を見掛けるたび、リリアの不穏な空気にも気付いて素早く見なかった振りをしていた。
アサギは、何人目かの給仕に「ドリンクは不要です」と仕草で伝えると、投げ出している腕を少し持ち上げてリリアに言った。
「でも、しょうがないじゃないですか。いちおう姫様は書面上、彼とは婚約者同士ってことになっているんですから」
確かにそうだ。
しかし、リリアには、その事実とは別で思うところがあるのである。
リリアは、彼と会うことがないまま十三歳になった。その間に、サイラスはめきめきと魔法力を磨き、誕生日と同時に最強の魔法使いの名を得ていた。
「……なーにが『最強の魔法使い』よ。まだ魔力酔いを起こさせる未熟者のくせに」
久々にその名を新聞で見た時、リリアは気分が悪くなって愚痴った。学院デビューだというのに、嫌な前触れだと思った。
あれからちょうど一年、令嬢として、王宮の近くにある学院に通うことになった。
高度教育が受けられる三年制の学院に、今期、勉強に集まった令息令嬢は約百五十人。その中でリリアは、サイラスと二回目の対面を果たした。
もちろん、すぐに目をそらして言葉など交わさなかった。
――サイラスの一件で、結婚なぞクソくらえと闘志に火が付いていた。
この一年、リリアは学院に入るためだけに猛烈に勉強に打ち込んだ。領地からはかなり遠い距離だが、空を飛べば一時間もかからない。
「私、どうせなら領主になるわ。この婚約が終わったら、父様の手伝いをがんがんする。後継者として領地経営に励んで、ゆくゆくは伯爵になるの!」
嫁ぐか家を継ぐかと言われれば、数少ない女領主になってやろうではないか。
学院があるのは王都の大都会だ。そんなところへなど通いたくなかったが、将来父の仕事を手伝うには必要だったから、通う決意をしたのである。
それから学院生として、週に数回、希望する科目の授業を受ける日々が始まった。
狐の耳も隠さなかったし、髪だって他の令嬢達みたく飾ったりしなかった。一人だけ存在が浮いていたが、つんっとして平気で過ごした。
それに合わせて、リリアはこれまで断っていた社交デビューも果たした。父ツヴァイツァーの少ない社交に付き合い、パーティーや茶会の出席についていった。
今後は、婚約者として最低限のパートナー出席は求められる。
エスコートされる義務はないし、一緒に待ち合わせての会場入りもしなくていい。ただ、同じ場所へ、招待された婚約者の一人として足を運ぶ。
だが、敵地を知るためには必要なことだった。
――私は、逃げたりなんかしない。
「リリア、本当に大丈夫かい?」
「ええ、平気よ。父様、見ててちょうだい。私は誰にも負けないわ!」
ツヴァイツァーは娘を心配したが、リリアは闘う気満々だった。
十二歳で大泣きしたことはリリアの失態だった。大妖怪の母、そして伯爵の父が誇る娘として、誰にも負けてやらないと改めて強く決意したのだ。
人間界に滅多に来られない母に、いつか胸を張ってこう自慢してやるつもりだった。
『おーっほほほほ! 人間なんて、私の敵じゃなかったわ!』
……みてろよ、あんのクソ王子め。
婚約の期日は、リリアが十六歳を迎えるまでだ。彼女は、誕生日を迎えたら即、サイラスに恥をかかせつつの、婚約破棄を叩き付けてやるつもりでいた。
獣耳付きで、しかも時々空を飛んでいる姿も目撃されているリリアは、滅多に顔を出さない第二王子の婚約者としても注目を集めた。
それでも毅然とし、ツヴァイツァーの娘として立派に振る舞った。
そして何度目かの社交の場で、サイラスと遭遇し、ようやく彼と言葉を交わすことになった。
この婚約は、リリアを守るため、ツヴァイツァーが国王と結んだ〝契約〟である。それと同時にサイラスにとっても、王族としての習慣を守るために必要なものだ。
婚約者として言葉を交わさなければならない状況だった。だから二人は、初対面の頃より一年分の成長を見せて、冷やかな表情ながら対面を守って社交辞令をした。
――のだが、かなり辛辣な言葉のやりとりだった。
「殿下が来ているだなんて、存じ上げませんでしたわ」
「奇遇だな、俺もだ。先に参加者名簿に目を通していてもよさそうだが、無能ならその執事を連れる意味はないと思うがな」
「彼は、わたくしの教育係です。うっかり電撃を放ってしまう前に、失礼致しますわね」
それは、周りで聞いていた者たちを凍り付かせるほどだった。
二人の仲の悪さは、数回の顔合わせを経て知れ渡った。
社交界へ出席する時、彼女のそばには必ずアサギが付いていた。
リリアが一度も婚約者にエスコートされず、常に執事を連れていたのも、社交界で第二王子との不仲説の原因に一役買った。
ずっとそばにいられないツヴァイツァーの代わりに、教育係のアサギが面倒をみる。そして時には、必要になった際の臨時エスコート役も引き受けた。
――レイド伯爵家の執事は、あやかしである。
見合いの一件で知られたことで、獣耳付きのリリアとセットになったその姿を、多くの人がチラ見した。
どうせ、ただいるだけでも見られてしまうのだ。
リリアは、自分の将来のために勉強に励み、売られた喧嘩は全部買って言い負かした。一年も経つ頃には、ツヴァイツァーが心配に思わないほどたくましい令嬢になっていた。
しかしその翌年、十五歳になって事情は変わってくる。
リリアは、婚約者という立場が、どれほど面倒臭いのか悩まされることになった。
「……『あなたは妻に相応しくない』って……わざわざ手紙を入れられてもね」
学院で、いつもの一番後ろの席に座ったら文句の手紙が。外を歩けばひそひそ話をされ、令嬢達が強気で嫌味ったらしく言ってくるようになった。
結婚を強く意識する令嬢が増えたせいで、とばっちりが、かなりウザい。
十五歳をこえても、サイラスとの関係が凍えているのを知っての上だろう。チャンスとばかりに蹴落としに出られている感じがした。
リリアとサイラスの婚約は、宰相のハイゼン達など一部の人間にしか知らされていない仮のものだ。
十六歳になれば、簡単に解消できるよう婚約が交わされている。
もしくは、魔力酔いを起こすために触れさせられず、令嬢をエスコートできないでいるサイラスの症状が落ち着き、妻にする令嬢を決め次第に解消の運びとなる。
でも令嬢達は、政略結婚としてリリアが第二王子サイラスと結婚する、と信じているのだ。
――妖怪国と繋がりを保つために、と。
※※※
「んなことあるわけないじゃん、バカじゃないの?」
十五歳と数ヶ月、リリアの苛々はマックスだった。令嬢達が聞こえるようにこそこそ話していたその内容を思い返すと、腹立たしい。
「妖怪国との繋がりをたもつだの、強化するだの、私一人でそんな変化を与えられるはずがないじゃない。ちっくしょー嫌だけど婚約者なの!」
「姫様、もう少し声を抑えましょうね。令嬢の仮面がはがれちゃってますんで」
今日は、王宮で第一王子の婚約祝いが開催されていた。
その会場で、若葉色の外向けドレスで身を包んだリリアは、壁際でしゃがみ込んで不貞腐れていた。不機嫌な顰め面も、以前より美しさに磨きがかかっている。
父が社交をしている間、自由行動を取っていた。自分からガンガンあしらっていく、というのもすっかり面倒臭くなって不参加だ。
そんな彼女の隣には、同じようにアサギが壁に背をあてて品なくしゃがんでいた。時々、目の前のテーブルの間を通り過ぎていく王宮の使用人に、へらりと笑いかけてフォローを入れる。
「あ、大丈夫です。気にしないでくださーい」
参加者達も、テーブルの向こうに隠れている二人を見掛けるたび、リリアの不穏な空気にも気付いて素早く見なかった振りをしていた。
アサギは、何人目かの給仕に「ドリンクは不要です」と仕草で伝えると、投げ出している腕を少し持ち上げてリリアに言った。
「でも、しょうがないじゃないですか。いちおう姫様は書面上、彼とは婚約者同士ってことになっているんですから」
確かにそうだ。
しかし、リリアには、その事実とは別で思うところがあるのである。
53
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
お掃除侍女ですが、婚約破棄されたので辺境で「浄化」スキルを極めたら、氷の騎士様が「綺麗すぎて目が離せない」と溺愛してきます
咲月ねむと
恋愛
王宮で侍女として働く私、アリシアは、前世の記憶を持つ転生者。清掃員だった前世の知識を活かし、お掃除に情熱を燃やす日々を送っていた。その情熱はいつしか「浄化」というユニークスキルにまで開花!…したことに本人は全く気づいていない。
そんなある日、婚約者である第二王子から「お前の周りだけ綺麗すぎて不気味だ!俺の完璧な美貌が霞む!」という理不尽な理由で婚約破棄され、瘴気が漂うという辺境の地へ追放されてしまう。
しかし、アリシアはへこたれない。「これで思う存分お掃除ができる!」と目を輝かせ、意気揚々と辺境へ。そこで出会ったのは、「氷の騎士」と恐れられるほど冷徹で、実は極度の綺麗好きである辺境伯カイだった。
アリシアがただただ夢中で掃除をすると、瘴気に汚染された土地は浄化され、作物も豊かに実り始める。呪われた森は聖域に変わり、魔物さえも彼女に懐いてしまう。本人はただ掃除をしているだけなのに、周囲からは「伝説の浄化の聖女様」と崇められていく。
一方、カイはアリシアの完璧な仕事ぶり(浄化スキル)に心酔。「君の磨き上げた床は宝石よりも美しい。君こそ私の女神だ」と、猛烈なアタックを開始。アリシアは「お掃除道具をたくさんくれるなんて、なんて良いご主人様!」と、これまた盛大に勘違い。
これは、お掃除大好き侍女が、無自覚な浄化スキルで辺境をピカピカに改革し、綺麗好きなハイスペックヒーローに溺愛される、勘違いから始まる心温まる異世界ラブコメディ。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる