みんなシネばいい 〜転生したら魔王でした〜

大きな鯨

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西の大陸蹂躙

クズの末路 1 純潔の聖女

 パチン! と指を鳴らして僕は映像を指差す。
 真っ暗だった映像は、再び絵を映し出すと、そこには燃え盛る西の大陸が映し出された。
 西の王都は、かのイーゼル王国と同じ末路をたどっていた。

「う……そ……」

 僧侶がかすれ声で呟く。

「は、はは……」

「……」

 魔女は薄気味悪い笑みを浮かべ、シーフは無言だ。

「うーん。魔物を総動員した甲斐があったなー。
 えーと、まだ見る?」

 僕の言葉には誰も反応してくれなかった。
 子供じゃないんだから、テレビを見ていても受け答えくらいはして欲しい。
 悪い子にはテレビを見せない方針なので、僕は映像を消した。

「はいおしまーい。事前調査では、西の大陸には三千万人くらい人間がいるらしいけど、今は……一千万人くらい死んだかなー。なんか数字だと味気無いよねー」

「ふざけないで!」

 僧侶が叫ぶ。
 
「こんなことをして、なんとも思わないの!?」

「いやいや、こりゃ参った。君たちだって魔物を殺して喜んでたよね? あんな幼体殺しちゃうんだもん! こっちが聞きたいくらいだよ!
 幼いガーゴイルを殺した映像を見て、君たちはなんとも思わないのかな?」

「思うわけないじゃない! 悪魔が! 死んで当然よ!」

「あ……あーいいね! うん、そうこなくっちゃ! よーし、決めた! 君みたいな救いようのないクズにふさわしい罰を与えるよ」

 クズは息を吹き返したかのようにこちらを睨みつけていた。

「あーいい目だ! 君は凄くいい! そういえば、君は聖職者だったよね? やっぱり聖職者って処女なのかな?」

 馬鹿なクズでも想像できたらしい。
 睨みつけた目は鋭さを失い、唇が震えている。

「あはははは! あ、言わなくていいよ! その反応でわかるから! まあ、処女じゃなくたってどうでもいいしね!」

「……悪魔」

 クズが絞り出した答えは間違っていた。僕は魔王だ。
 しかし……どうも反応が薄いようだ。

「僕は魔王だよ? なんのつもり? それに、君の相手は僕じゃないよ?
 性欲旺盛なゴブリンがいいかな? ガーゴイルも捨てがたいね! それとも、オーガを当てがって壊しちゃおうか?
 ねえねえ、どの子がいいかな? 君の意見を聞かせてよ!」

 僕がそう言い終わるころには、クズの震えは止まっていた。

「好きなようにしなさい。敗れた者の末路は覚悟の上。肉体は滅びようとも心は神に捧げた身。
 天界にて恥じることのない行いをするまでよ」

 なるほど……くっころ的心境だったのか。
 だいたいエロ本だとそのまま犯すってのがパターンだけど……。なんかやだなぁ。

 だから、僕は一生懸命に考えた。
 クズにふさわしい罰を。
 そして、呆気なく思いつく。
 クズのための最高の舞台。

 僕は魔力が込められた一振りのナイフをクズの前に放った。

「聖職者の自害は神託に背く行為なんだろう? 手に取れ」

「私は神に背く行為はしない!」

「違うよ。おまえを犯そうとするやつを、それで殺せってことだ」

「……なぜこんなことを」

「んーフェアじゃないだろう? ただ救いもなく犯されていたんじゃ、今みたいに死を覚悟しちゃうじゃん。
 だから、精一杯足掻けよ。犯されずに死ねるかもしれないぞ?」

「……」

 クズは僕の言葉に耳を貸したようで、与えられたナイフを左手で掴んだ。

「左手か……」

「……どういう意味?」

「そのナイフは、オーガすら先端の数ミリ刺せば一撃で殺せるほどの魔力が込められた呪いのナイフだ。
 もう君の左手から離れることはないし、自分を刺しても死ねない呪いが刻まれている。
 ついでといってはなんだけど、もし快楽を求めてしまったら、一時間だけだけどちょこっといい気分になるよう細工しといた」

「……無駄な細工ね。魔物に欲情なんてするはずないわ! なぜこんなことを?」

「さあ? どうしてだろうね?」

「……ふん! あなたが戦えと言うなら、最後まで誇り高く戦ってあげるわ!」

 犯されずに済むと思ったのか、威勢を取り戻しつつあるクズ。
 僕が与えたナイフのせいで、クズにとって有利な状況になってしまい、どことなく落ち着きまで見て取れる。
 本当に最後まで戦えるとでも思っているのだろうか?
 今までの僕の行いを見て、能天気にそう思えるなら幸せなことだ。
 ……僕はとても楽しみでしょうがなかった。
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