みんなシネばいい 〜転生したら魔王でした〜

大きな鯨

文字の大きさ
16 / 157
西の大陸蹂躙

クズの末路 8 最後のチャンス

 ——……嘘?

 ——ああ。おまえは嘘つき野郎だ。

 ——……なにを……言っているんだ?

 ——おまえは俺に最後まで任せてくれるって言ったじゃないか。それに、西の大陸だって嘘だった。あのガーゴイルの幼体の話だって、もう本当かどうかもわかんねぇよ。おまえは大嘘つきだ。

 ——……

 僕はどうしようもない怒りがどんどん膨らみ、爆発させたくてパンパンになっていた。

 ——それに、そろそろララを離せよ。

 ——おまえと婚約したすぐ後なのに、僕に抱かれたがっているクズのことか?

 ——ああ、そうだよ。ララは弱くて流されやすいんだ。だから、俺がそばにいてあげないとだめなんだよ。

 ——……なにを言っているのか、なにが言いたいのかサッパリだが……おまえがララに相当惚れ込んでいるのはわかった。

 こいつらの思考回路はどうかしている……まったく理解できない。勇者の言葉はどんなに擁護したとしてもストーカーの言い分だ。
 そもそも勇者なんてやってるぶっ飛んだ野郎なんだ、強い意志とか、折れない心とか……ただのサイコ野郎なんじゃないか?
 おかしいだろ……なんでララのことわかった風に決めつけて自己満足に浸っていられるの?
 まじキモい……。

「うぁああああああ!!! クソどもがぁあああ!!!」

「うわぁ!」

「ひぃぃ!」

 僕は睨みつけるように魔女とシーフへ視線を向けると、急に大声を出した僕に、二人はめちゃくちゃびっくりしていた。

「きゅ……急に大声出さないでよ!」

「あの二人はクソだ!!」

「……」

「ああ、イライラする……おい、魔女」

「……リッカよ」

「名前で呼んでもらえると思うなよ……来い!」

 魔女は「はぁ……」とため息を吐くと、体を隠すことなくこちらに向かって来た。

「あーあ、ついに私も魔王の慰み者になるのね」

 今までの魔女の言動はどこへ行ったのか? まるでなにも気にしてない風な態度に苛立ちを覚える。

「なんだ? 戦士を殺した時の取り乱し様はどうしたんだ?」

 魔女は少し押し黙ると、乾いた笑みを見せて語り出す。

「……もう、私を裁く人間はいないわ。あなたが殺したもの」

「……裁かれないならどうでもいいってことか」

 なんとも合理的な考え方だ。罪の意識とかはどうでもいいのだろうか?

「それに、帰る場所もあなたに壊されたわ。まぁ、もともとそこまで思い入れはないけど」

 悟ったような口ぶりでなにもかもを諦めてしまったようだ。いささか潔すぎる気はするが……。

「どういうことだ?」

「私は孤児で両親も兄弟もいないの。血も生まれも最低の私に求められたのは、魔女としての力だけよ。あなたを倒すためのね」

「……だから、もう、どうでもいいと」

「そっ。築き上げてきた物はなーんにもなくなっちゃった。そりゃ、さっきまでは私も怒ってたわよ? でも、テオもララも魔族になっちゃったし、あなたには裸にされて、汚物をローブで拭くことに抗えなかった……もうどうでもよくなっちゃったわ」

「死のうが構わないと言いたいのか?」

「死ぬのはいやかな。でも……ここから逃げられるとも思えないし、あなたを倒すなんて無理だと思い知った。だから、なにも考えてないってのが一番しっくりくる感じだと思う」

「クックック……はは……」

 魔女に思い知らされてしまった。絶望なんて、諦めた人間には意味のない物なのだと。
 僕がやっていたのはただの低俗な嫌がらせで、そこに絶望なんか生じるわけがなかったんだ。

「どうしたの? 怒ったり、笑ったり、忙しいわね」

 なにも考えてない女が、死ぬのは嫌だと言いながらも、魔王である僕と対等に会話している。
 不思議と嫌な気分ではなかった。

「慰み者は嫌か?」

「どうでもいいわ」

「クックック……面白い……リッカ……おまえはいい女だな」

「あら、今ごろ気がついたの?」

「ああ、すまない。リッカ、おまえを今ここで抱いてやる。シーフは後ろを向かせておくから安心しろ」

「魔王様!」

 僕たちの会話に突然口を挟んだシーフ。
 見ることができなくて悔しいのだろう。

「シーフ、僕はおまえのことを嫌いではない。だが、見せるわけにはいかないな……」

「くっ……」

 悔しそうにシーフは俯いてしまった。
 
「はぁ……そうだな、おまえには損な役回りばかり押し付けてしまっていたな。
 そうだ! 僕はもうあいつらのこと、どうでもよくなってきたから……おまえがララをイかせてやれ。おまえが泣いてやる価値もないクソ共だ、勇者に見せつけるようにララを犯せるなら行っていいぞ」

「いや……それは……」

 シーフはちょっと引いていた。
 ってか、今までのこいつの聞き分けの良さはどういうことなんだろう。
 無性に気になってきた。

「なあ、リッカ、なんでシーフはこんなにも聞き分けがいいんだ? 俺を殺そうとしていたんじゃないのか?」

 リッカは不敵に笑うと、シーフの生い立ちを語ってくれた。

「こいつも私と同じよ。孤児上がりの力だけを求められた存在。神託なんて理解できない異端者なの。誰も力以外は求めてくれないわ。それに……」

 気になる一言を残し、話を終わらそうとするリッカ。
 どこか複雑そうな顔をしていた。
 僕は渋々聞き返す。

「それに?」

「まあ、いいわね。あなたがあのクソたちに憤慨してる様が、とても嬉しかったのよ……きっと」

「は? 仲間じゃなかったのか?」

「仲間よ? でも、対等じゃなかったわ。さらに言えば、シーフが泣いてた理由……あれは嘘。シーフはララが好きだったの。私はただ嬉しくもないから泣けなかっただけよ」

「ふっ……ククッ……ふふふ……そう……か。おまえはそんな嘘を……つくづくいい女だ。シーフもなぜララなんだ。こんなにいい女がそばにいるというのに」

「そんなにいい女って言わないでくれる? 恥ずかしいから」

 全裸でなにを言っているんだろうか? 裸体を晒すより、僕に褒められるのが恥ずかしいなんて……面白い女だ。

「ふふ……すまない。それなら……シーフ!」

「はい!」

「ララをテオから奪え! 奴はクズだ。まあ、ララの方がクズだが……おまえがララのことを好いているなら奪って来い!!
 勇者は僕に暴言を吐き続けたから生かしておかない。おまえがララを奪わないならララも殺す! これは僕からの褒美であり、最後のチャンスだ。
 どうだ? やるか?」

 シーフは俯いていた顔を上げ、迷いの捨てきれない表情をしていたが……

「やらせてください……」

「よく言った!! これでもうあいつらのことをどうしようか考えなく済むな! 見せつけるようにララと済ませたら、二人で部屋から出て来い。
 そしたら、お前たちの前でテオは処刑してやる。僕はリッカと楽しむからあまりすぐに果てるんじゃないぞ!」

「……はい……はい! わかりました!」

 テオの断末魔を聞きながらリッカを抱くのは、想像しただけでも果ててしまいそうだ。
 シーフがうまくやらなければ、三人ともただ殺してやる。
 動けないまま魔物に蹂躙させればいい。
 じっくりとな。
感想 168

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。