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西の大陸蹂躙
フェリアーラの誤算
「一発やらせてくれたらなんとかしてやるよ」
「はい?」
「浮気?」
あの後、外はどうなってるとか、魔王はどうしたとか、勇者パーティはどうとか信じてない感じのくせに根掘り葉掘り聞かれて、それはそれは面倒この上なかった。
それで上空のガーゴイルについて聞かれたので、フェリアーラに解方法を提示していたってわけだ。
結界があるから、あいつらがいてもしょうがないし、引き返させたところで呼べばすぐ来る。
一人変なことを言ってる奴がいるが。
「なにが浮気だ」
「だっていい女って言ってくれたし、何度もエッチしたでしょ?」
ソファーに隣同士で座るリッカがじと目で僕を睨んだ。
もう面倒だしそれでいいか。
「ああ、じゃあ浮気だ」
「むー。開き直ったー」
プイとそっぽを向いてしまったリッカ。
そんな簡単にほだされる女じゃないことは知っているので、相手にするだけ無駄だ。
「で? どうする?」
「いえ、ご遠慮させていただきますわ」
正面に対になって座っているフェリアーラは僕の提案を蹴った。
フェリアーラはリッカの言うとおりめっちゃ美人だった。
ブロンドのロングのをふわっとまとめ、リッカよりも身長は高く、更に胸は大きい。
例えるなら……ロシアの妖精のような美女があどけなさを残して、そのまま変遷することなく大人になった感じだ。
「まあ、そうだな。ガーゴイルがいなくなったとしても、この大陸で生き残っているのはここだけだしな」
「あれ? もう王都やっつけたの?」
拗ねているフリをしていたリッカがなんでもなかったかのように話しかけてくる。
やはり、こいつに気を使うなんて無駄な行為だ。
「ああ。ガーゴイル以外にもちょこっと強い魔物も派遣したしな」
「なにそれ」
「四魔将軍」
「強そう!」
「ああ、強いぞ! おまえなんか一瞬で死んじゃう」
「でも私にはこのドレスがあるもん」
「それは僕があげた……まあいいや」
リッカがちょいちょい口を挟んできて話が進まない。ちょっと黙っていてほしい。
「それは……本当なのですか?」
王都陥落の知らせはまだ届いていないらしく、訝しげに是非を問うフェリアーラ。
「嘘でーす」
だから僕は真顔でそう答えた。
本当のことを話してもなんだか面白くなさそうだし、そもそもなんで僕が証明しなきゃいけないんだ?
そんなこと自分たちで考えて答えを出せよ。
「はぁ!?」
僕のぶっ飛んだ受け答えに、信じられないとでも言いたげに驚くフェリアーラ……名前長いな。
これからはフェラ……じゃかわいそうだから、フェリにしよう。
「んなわけないじゃん今まで適当こいただけだよバーカ」
陳腐な煽りだが……なにか不思議な達成感があるな。
こういった威厳のある人をおちょくる……癖になりそうだ。
「んな……はぁ。それで、あなたたちの目的はなんですか?」
「アインケルンにいる人間を皆殺しにすることかな?」
「またそんな事を……」
フェリは目頭を指でつまみ深く溜息を吐いた。
「信じないのは構わないが、後悔することになるぞ?」
「……それを信じたとして、私はどうすればいいのですか?」
「……それもそうだ。おまえはどのみち後悔して死ぬことになる」
態度も悪く、言っていることは魔王そのもの。
しかし、フェリが思い描いていたような凶悪さは感じられない。
だから、この時はまだこの青年を侮っていた。
「……そろそろ口の利き方に気をつけないと、痛い目を見ることになりますよ?」
フェリは馬鹿にされるのもそろそろ我慢の限界が来ていた。
ただでさえこんな状況で悩みは尽きないのに、この青年の態度はそんなフェリの機嫌を損ねてしまったようだ。
「そう? じゃあ、動いてみ」
「!?」
ニヤニヤと笑う青年がまたよくわからない事をのたまったかと思えば、そのとおりになにもできない自分がいた。
手も足も口も動かせない。
そして、息ができなかった。
心音は聞こえる、どくどくと脈を打つ音だけがけたたましく警鐘を鳴らしていた。
「……よっと」
青年はおもむろにソファーから腰を上げ、私の顔を撫でるように触ると、寒気のするような笑みを浮かべてこちらを覗いている。
「……どうだ? このまま死ぬか?」
自分より強い存在に出会ったことなど幾度となくあるが、こんなにもあっさり死を弄ぶような強さに対峙したことはなかった。
今までの話は全てが真実であり、この青年がしようとしていることはアインケルンに住まう人々を全て殺すこと。
そんな嘘のような絵空事は、必至の現実として鮮明にフェリの脳に刻まれる。
今の今までどこにも存在していなかった絶望が、フェリを骨の髄まで包み込んだ。
「はは! うそうそ!」
そう冗談だと青年がソファーに座り直した時、どす黒い笑顔は消え、同時にフェリの拘束は解かれた。
「っはあ!! はぁ! はぁ!」
喉に手を当て必死に深呼吸を繰り返す。
あと数分で落とすかもしれなかった命。
気まぐれに繋がれたその命には、なんの価値もないと言うかのように何事もなく笑う青年。
フェリは全てを悟ると同時に、脳をフル回転させて打開策を探っていた。
「はい?」
「浮気?」
あの後、外はどうなってるとか、魔王はどうしたとか、勇者パーティはどうとか信じてない感じのくせに根掘り葉掘り聞かれて、それはそれは面倒この上なかった。
それで上空のガーゴイルについて聞かれたので、フェリアーラに解方法を提示していたってわけだ。
結界があるから、あいつらがいてもしょうがないし、引き返させたところで呼べばすぐ来る。
一人変なことを言ってる奴がいるが。
「なにが浮気だ」
「だっていい女って言ってくれたし、何度もエッチしたでしょ?」
ソファーに隣同士で座るリッカがじと目で僕を睨んだ。
もう面倒だしそれでいいか。
「ああ、じゃあ浮気だ」
「むー。開き直ったー」
プイとそっぽを向いてしまったリッカ。
そんな簡単にほだされる女じゃないことは知っているので、相手にするだけ無駄だ。
「で? どうする?」
「いえ、ご遠慮させていただきますわ」
正面に対になって座っているフェリアーラは僕の提案を蹴った。
フェリアーラはリッカの言うとおりめっちゃ美人だった。
ブロンドのロングのをふわっとまとめ、リッカよりも身長は高く、更に胸は大きい。
例えるなら……ロシアの妖精のような美女があどけなさを残して、そのまま変遷することなく大人になった感じだ。
「まあ、そうだな。ガーゴイルがいなくなったとしても、この大陸で生き残っているのはここだけだしな」
「あれ? もう王都やっつけたの?」
拗ねているフリをしていたリッカがなんでもなかったかのように話しかけてくる。
やはり、こいつに気を使うなんて無駄な行為だ。
「ああ。ガーゴイル以外にもちょこっと強い魔物も派遣したしな」
「なにそれ」
「四魔将軍」
「強そう!」
「ああ、強いぞ! おまえなんか一瞬で死んじゃう」
「でも私にはこのドレスがあるもん」
「それは僕があげた……まあいいや」
リッカがちょいちょい口を挟んできて話が進まない。ちょっと黙っていてほしい。
「それは……本当なのですか?」
王都陥落の知らせはまだ届いていないらしく、訝しげに是非を問うフェリアーラ。
「嘘でーす」
だから僕は真顔でそう答えた。
本当のことを話してもなんだか面白くなさそうだし、そもそもなんで僕が証明しなきゃいけないんだ?
そんなこと自分たちで考えて答えを出せよ。
「はぁ!?」
僕のぶっ飛んだ受け答えに、信じられないとでも言いたげに驚くフェリアーラ……名前長いな。
これからはフェラ……じゃかわいそうだから、フェリにしよう。
「んなわけないじゃん今まで適当こいただけだよバーカ」
陳腐な煽りだが……なにか不思議な達成感があるな。
こういった威厳のある人をおちょくる……癖になりそうだ。
「んな……はぁ。それで、あなたたちの目的はなんですか?」
「アインケルンにいる人間を皆殺しにすることかな?」
「またそんな事を……」
フェリは目頭を指でつまみ深く溜息を吐いた。
「信じないのは構わないが、後悔することになるぞ?」
「……それを信じたとして、私はどうすればいいのですか?」
「……それもそうだ。おまえはどのみち後悔して死ぬことになる」
態度も悪く、言っていることは魔王そのもの。
しかし、フェリが思い描いていたような凶悪さは感じられない。
だから、この時はまだこの青年を侮っていた。
「……そろそろ口の利き方に気をつけないと、痛い目を見ることになりますよ?」
フェリは馬鹿にされるのもそろそろ我慢の限界が来ていた。
ただでさえこんな状況で悩みは尽きないのに、この青年の態度はそんなフェリの機嫌を損ねてしまったようだ。
「そう? じゃあ、動いてみ」
「!?」
ニヤニヤと笑う青年がまたよくわからない事をのたまったかと思えば、そのとおりになにもできない自分がいた。
手も足も口も動かせない。
そして、息ができなかった。
心音は聞こえる、どくどくと脈を打つ音だけがけたたましく警鐘を鳴らしていた。
「……よっと」
青年はおもむろにソファーから腰を上げ、私の顔を撫でるように触ると、寒気のするような笑みを浮かべてこちらを覗いている。
「……どうだ? このまま死ぬか?」
自分より強い存在に出会ったことなど幾度となくあるが、こんなにもあっさり死を弄ぶような強さに対峙したことはなかった。
今までの話は全てが真実であり、この青年がしようとしていることはアインケルンに住まう人々を全て殺すこと。
そんな嘘のような絵空事は、必至の現実として鮮明にフェリの脳に刻まれる。
今の今までどこにも存在していなかった絶望が、フェリを骨の髄まで包み込んだ。
「はは! うそうそ!」
そう冗談だと青年がソファーに座り直した時、どす黒い笑顔は消え、同時にフェリの拘束は解かれた。
「っはあ!! はぁ! はぁ!」
喉に手を当て必死に深呼吸を繰り返す。
あと数分で落とすかもしれなかった命。
気まぐれに繋がれたその命には、なんの価値もないと言うかのように何事もなく笑う青年。
フェリは全てを悟ると同時に、脳をフル回転させて打開策を探っていた。
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