みんなシネばいい 〜転生したら魔王でした〜

大きな鯨

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西の大陸蹂躙

西の大陸で語り継がれる伝説は、暮れに訪れた赤髪の女の子から始まった……

「え!? いえ……これは、その……いじめていたわけではありませんよ!?」

 僕の追い込みに、しどろもどろになりながらフェリは弁明を呈した。

「本当か? リッカ」

 僕はリッカに是非を問いかけた。
 すると、わあわあと堰を切ったように泣き出してしまった。

「おい!! フェリ!! テメェ!!」

「ちょっとまってください!」

「あぁ!? なんだよ! 言ってみろよ?」

 僕はリッカを庇護下においてしまったがために、全力でフェリを追い込むことにした。
 半分、庇護下におかれた者はちゃんと守るよってデモンストレーションの意味合いも含んでいる。

「私が……リッカの代わりに慰み者を務められないか交渉するって話をしたのです」

「はぁ? じゃあなんで泣いてんだよ?」

「そ……それは……」

 それは、僕が嫌だったから。
 きっとそう言いたくても言えないのだろう。
 なんだか守るってのは疲れるなと感じてしまった。

 でも、言ってしまったのだからしょうがない。
 エルフのハーレムって未来を想像したが、そう簡単にはいかないようだ。

「……わかったよ。ああ、そうかい! じゃあここで脱げよ……代わりに抱いてやるから。リッカはもう自由にしてやるからよ」

「バカァ!!」

 僕がフェリの提案を受けようとしたところ、リッカから大声で罵られてしまった。
 またわあわあと泣いている。

「なに!? なにがだよ!」

「わかん……ないよぉ!!」

「はぁ!?」

 もうだめだ。話にならない。
 大人気なく泣きわめくリッカを置いて、ここを出ることにした。

「フェリ、だめだ、話にならない……戻るぞ! リッカはここで頭を冷やしてろ!」

「やだぁ!! いかないでよぉ!!」

「うるさい! 少し落ち着くまで泣き喚いていろ!」

「バカァ!!」

 情緒不安定なリッカを置き去りにして、フェリと部屋を出る。
 少々リッカの鳴き声がうるさいが、まあ会話ができないほどでもないので気にしないでおく。
 とりあえずソファーに座り直し、今後の予定でも詰めることにした。

「すまなかったな」

「いえ……」

 まずは勘違いを謝罪。
 これから庇護下に置くかもしれない相手だ。
 いくら捻れば潰れる相手でも敬意は忘れない。

「で? どうするんだ?」

「え!? ここでですか!? ここでは誰かが入って来てしまいますよ!?」

 なんか勘違いをしているが……ここはスルーだ。

「あ、いや、今後の予定を……」

「え!? ああ……すみません……。大森林までは馬車で三日はかかります。ですので、旅の支度を済ませてから——」

「——いい。ガーゴイルで飛んでいく」

 長そうなので、僕は話を切った。
 馬車で三日なら、ガーゴイルで半日くらいだろう。旅支度なんか必要ない。

「そっそうですか……ガーゴイルで向かうとどの程度で着くのですか?」

「半日くらいかな」

「では、もう日も高いので、明日の早朝に出ましょう。今日は宿をとりますので、そこでおやすみください」

 フェリは僕のために宿をを取ってくれたようだ。
 一日、二日寝なくても平気だから、そこまでしてくれなくても良かったのだが。

「ああ、わかった。じゃあフェリは夜に宿へ来い。提案を受けてやる。まあ、来なくても族長には会いに行くから安心しろ」

 もちろん提案とは代わりになることだ。

「……はい」

 フェリもわかったらしい。どうするのか楽しみだ。
 そして、僕はフェリに連れられて宿屋まで案内をしてもらうことにした。

 途中、血相を変えて飛び込んできた赤髪の少女が立ちふさがるというイベントが発生したが、フェリに説得されて渋々元気よく退散した。

 そして、むさ苦しいギルドを出れば、すぐそこにある宿屋に連れて行かれ、部屋まで案内された。
 部屋は小奇麗にされており、ビジネスホテルほどには狭くない。
 そこそこ高そうな部屋だった。

「では……」

 部屋に入ると、短くそう告げてフェリは足早に去っていく。

 一人ポツンと宿屋で寝転がり、ぼーっとしていると、やがて日は沈んでいき、街は暗闇に包み込まれる。

 うとうとと眠りかけようとしていた時、コンコンと部屋をノックする音で目が醒める。
 フェリにしては早いなと思いドアの向かいに立つ人影に集中すると、おそらくあの赤髪だろうことがわかったので、扉を開けてやった。
 開いた瞬間に「とう!」と叫んで飛び込んでくる赤髪。
 こいつはいつでも騒々しいらしい。

「なにしにきた」

 変な構えで僕に対峙する幼子に、訪ねてきた理由を問う。

「フェリアーラさまになんのようだ!」

 さっきもこんな感じで突っかかってきたなと思い返す。フェリのことが大事なのだろう。

「心配なのか?」

「そうだ! おまえつよい! めっちゃつよい! タバサしんぱい!」

 なんかよくわかんないが、こいつは僕の強さがわかるらしい。

「それで……単身乗り込んできたわけか……フェリに言っちゃおうかなー」

 ちょっといたずら心でからかってやることにしたのだが、どうやら違うようだ。

「ちがうもん! タバサはフェリにいわれてきたんだもん!」

 フェリが夜も更けたこんな時間に、タバサみたいな女の子を寄越した理由。
 いったいなんなのだろうか?
 僕は寝ぼけてぼーっとした頭を回転させるも、まったく思いつかなかった。
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