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サタン様からのお願いは代理戦争介入!
南の大陸の大戦 悲劇の姫君
ここはデガンニーク王国城内にある中庭。
ラスフェリカ王国王子の婚約者だったヘレがそこにいた。
今は、優雅にお茶を飲み、デガンニーク王国王子との結婚生活に酔いしれる日々を送っている最中だ。
しかし、そんな安らかな日々は長くは続かず、城内にいれば嫌でも耳に入ってしまう開戦の噂。
デガンニーク王国王子との生活は、今までの人生が嘘のように華やかで、喜びに満ちており、これがずっと続いてくれればと思っていた矢先の出来事だった。
「ラミア……」
「はい。お茶のおかわりでしょうか?」
ラミアと呼ばれたのは、ヘレの世話を任された女官だ。
王子が連れて来てから即日の間に女官としてヘレに付き従うよう命ぜられている。
「違うわ……噂を聞いたの……また、私のせいで争いが起こるのでしょう?」
ヘレが漏らしたその言葉の真意。
それは、ヘレのこれまでの人生を鑑みれば、呪われたように繰り返されてきた忌まわしき争いの過去から導き出される。
ヘレがこの国の王子に求めてしまった安息は、とても大きな代償を背負う罪に他ならなかった。
***
すれ違えば誰もが目で追ってしまうほどの美貌を兼ね備えた彼女の運命は、常に欲にまみれた男共の注目の的であった。
ヘレを求める輩は幅広く、大きく歳の離れた王様であったり、まだ幼い王子であったり、鼻息の荒い青年貴族であったりと、求婚を申し込む手合いが後を絶たなかった。
そうした世を渡っていく上で、ヘレの心は深く閉ざされ、男性不信という病を患うほどになっていた。
止むことのない縁談話のために、醜悪な笑みを浮かべる男たちと常に接しなければいけない立場が恨めしくて仕方がなかった。
しかし、いつかは誰かを選ばなければいけない。育ててくれた親に報いなければいけないことはわかっていた。
そこで、あまりのことにヘレを案じた親たちは、ヘレを奪い合うことのないよう厳正な取り決めのもと婚約者を決めることにした。
そこに集まった数十人の醜い男たちは、ヘレの気持ちなど考えもせず、ただただその美貌を己が物にせんと争った。
そこで、長い戦いの末ヘレを獲得したのがラスフェリカの王子、バラン・ラスフェリカである。
壮絶なその戦いに勝利し、婚約者と、対峙した多くの国を勝ち取り祖国に帰った王子は盛大に祝われた。
凱旋パレード、記念パーティーと、あらゆる贅を尽くして未来の王太子妃の誕生を祝い、その全てにヘレは参加した。
好きでもない相手の享楽に付き合い笑顔を振りまく屈辱は、ますますヘレを男性不信に追いやり、祭り事以外のほとんどの時間を自分の部屋で過ごすことになった。
そして、ラスフェリカ王国では子を成さなければ姫として失格であり、王太子妃として認めらることはない。それゆえ、乱暴で、勝気な性格のバランに毎日のように抱かれる日々を送ることとなる。
夜が来なければいいのに……と、涙する日が毎日のように繰り返されていった。
しかしそこへ、デガンニークの王子、パレス・デガンニークが現れる。
ラスフェリカで開かれた親善記念パーティー。
友好国としての責務を果たすために足を運んだに過ぎないパレスは、賓客のひとりとしてそこに参加していた。
まるで……神に導かれたような……そんな偶然の出会いが、ヘレの運命を大きく変えることになる。
なぜなら、男性不信を患っていたにも関わらず、ヘレはパレス王子に一目惚れをしてしまったからだ。
南大陸の西側を制するデガンニークの王子。
その美丈夫ぶりは、東側を制するラスフェリカにも轟くほどだった。
そして、時を同じくしてパレス王子もまた、ヘレの美貌に一目惚れをしてしまう。
パーティーの最中、ヘレが語った悲痛な運命にパレス王子は酷く心を痛ませた。
また、ヘレはパレス王子の優しさに触れ、許されない思いを、張り裂けそうになるほどに募らせてしまった。
数日間続いた宴会の合間に二人は愛を語り合い、その熱い情熱のままに体をも重ね合わせていった。
その密会の場所は、フローテが従事していた教会の一室。
二人は祭壇に祈りを捧げると、フローテに導かれ、誰にも邪魔をされない密室で愛を語らう。
燃え上がるように熱く……激しく……
そんな日々を重ねる度、その夜バランに抱かれては、明くる日のパレスへの想いは強くなっていく。
そして、残酷にも時は流れ、パレス王子が帰国する日を迎える。
しかし……二人はもう、離れ離れになることなどできはしなかった。
深く……深く二人は求め合い、さらなる罪を犯す決意をする。
出立の朝、パレス王子一行の馬車の積荷に紛れ、ヘレはデガンニークへと向かってしまったのだ。
友好国でありながら、その婚約者を奪い去り、激情のまま動いてしまった罪が許されることはない。
傲慢で欲深いラスフェリカの王子がヘレの不在に気づき、デガンニークの王子に連れさられたと知るや、デガンニークを攻め滅ぼすための決意を固める。
そんな、パレス王子とヘレの恋愛劇は、歴史に名を残す大戦の引き金となってしまったのである……
***
ラスフェリカ王国王子の婚約者だったヘレがそこにいた。
今は、優雅にお茶を飲み、デガンニーク王国王子との結婚生活に酔いしれる日々を送っている最中だ。
しかし、そんな安らかな日々は長くは続かず、城内にいれば嫌でも耳に入ってしまう開戦の噂。
デガンニーク王国王子との生活は、今までの人生が嘘のように華やかで、喜びに満ちており、これがずっと続いてくれればと思っていた矢先の出来事だった。
「ラミア……」
「はい。お茶のおかわりでしょうか?」
ラミアと呼ばれたのは、ヘレの世話を任された女官だ。
王子が連れて来てから即日の間に女官としてヘレに付き従うよう命ぜられている。
「違うわ……噂を聞いたの……また、私のせいで争いが起こるのでしょう?」
ヘレが漏らしたその言葉の真意。
それは、ヘレのこれまでの人生を鑑みれば、呪われたように繰り返されてきた忌まわしき争いの過去から導き出される。
ヘレがこの国の王子に求めてしまった安息は、とても大きな代償を背負う罪に他ならなかった。
***
すれ違えば誰もが目で追ってしまうほどの美貌を兼ね備えた彼女の運命は、常に欲にまみれた男共の注目の的であった。
ヘレを求める輩は幅広く、大きく歳の離れた王様であったり、まだ幼い王子であったり、鼻息の荒い青年貴族であったりと、求婚を申し込む手合いが後を絶たなかった。
そうした世を渡っていく上で、ヘレの心は深く閉ざされ、男性不信という病を患うほどになっていた。
止むことのない縁談話のために、醜悪な笑みを浮かべる男たちと常に接しなければいけない立場が恨めしくて仕方がなかった。
しかし、いつかは誰かを選ばなければいけない。育ててくれた親に報いなければいけないことはわかっていた。
そこで、あまりのことにヘレを案じた親たちは、ヘレを奪い合うことのないよう厳正な取り決めのもと婚約者を決めることにした。
そこに集まった数十人の醜い男たちは、ヘレの気持ちなど考えもせず、ただただその美貌を己が物にせんと争った。
そこで、長い戦いの末ヘレを獲得したのがラスフェリカの王子、バラン・ラスフェリカである。
壮絶なその戦いに勝利し、婚約者と、対峙した多くの国を勝ち取り祖国に帰った王子は盛大に祝われた。
凱旋パレード、記念パーティーと、あらゆる贅を尽くして未来の王太子妃の誕生を祝い、その全てにヘレは参加した。
好きでもない相手の享楽に付き合い笑顔を振りまく屈辱は、ますますヘレを男性不信に追いやり、祭り事以外のほとんどの時間を自分の部屋で過ごすことになった。
そして、ラスフェリカ王国では子を成さなければ姫として失格であり、王太子妃として認めらることはない。それゆえ、乱暴で、勝気な性格のバランに毎日のように抱かれる日々を送ることとなる。
夜が来なければいいのに……と、涙する日が毎日のように繰り返されていった。
しかしそこへ、デガンニークの王子、パレス・デガンニークが現れる。
ラスフェリカで開かれた親善記念パーティー。
友好国としての責務を果たすために足を運んだに過ぎないパレスは、賓客のひとりとしてそこに参加していた。
まるで……神に導かれたような……そんな偶然の出会いが、ヘレの運命を大きく変えることになる。
なぜなら、男性不信を患っていたにも関わらず、ヘレはパレス王子に一目惚れをしてしまったからだ。
南大陸の西側を制するデガンニークの王子。
その美丈夫ぶりは、東側を制するラスフェリカにも轟くほどだった。
そして、時を同じくしてパレス王子もまた、ヘレの美貌に一目惚れをしてしまう。
パーティーの最中、ヘレが語った悲痛な運命にパレス王子は酷く心を痛ませた。
また、ヘレはパレス王子の優しさに触れ、許されない思いを、張り裂けそうになるほどに募らせてしまった。
数日間続いた宴会の合間に二人は愛を語り合い、その熱い情熱のままに体をも重ね合わせていった。
その密会の場所は、フローテが従事していた教会の一室。
二人は祭壇に祈りを捧げると、フローテに導かれ、誰にも邪魔をされない密室で愛を語らう。
燃え上がるように熱く……激しく……
そんな日々を重ねる度、その夜バランに抱かれては、明くる日のパレスへの想いは強くなっていく。
そして、残酷にも時は流れ、パレス王子が帰国する日を迎える。
しかし……二人はもう、離れ離れになることなどできはしなかった。
深く……深く二人は求め合い、さらなる罪を犯す決意をする。
出立の朝、パレス王子一行の馬車の積荷に紛れ、ヘレはデガンニークへと向かってしまったのだ。
友好国でありながら、その婚約者を奪い去り、激情のまま動いてしまった罪が許されることはない。
傲慢で欲深いラスフェリカの王子がヘレの不在に気づき、デガンニークの王子に連れさられたと知るや、デガンニークを攻め滅ぼすための決意を固める。
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