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サタン様からのお願いは代理戦争介入!
南の大陸の大戦 姫の下へ訪れた占い師
「ヘレ様、そのようなことを口に出してはいけません。それに、どんなことがあろうと、毅然とした態度を心がけなければ……ヘレ様は王太子妃なのですよ」
「……でも、でもね……私が婚約者を裏切って、パレス王子とこの国に来てしまったから……」
ラミアは、最近塞ぎ込んでいた理由はこれか……と、連れてこられた時の喜びに満ちた振る舞いから一変して、最近のヘレ様の落ち込んだ姿に悩んでいた。
しかし、この戦争の噂を聞いてしまったからというのであれば納得がいく。
噂も佳境に入り、もう間もなく開戦されるであろうことはラミアの耳にも入っていた。
「いいえ。ヘレ様はなにも心配することはありません。きっとデガンニークは勝利いたしますわ」
「そう……だといいのだけど」
ラミアの励ましは有難いし、ヘレもデガンニークが勝利することを願っている。しかし、そもそもの戦争の発端が自分にあるのだと落ち込んでいたのだ。
これ以上ラミアに思いをぶつけたところで、返ってくる言葉はわかりきっていた。
だから、ラミアに心配をかけないよう仕方なくそう答えるしかない。
「……それはどうかしらね」
突然、ヘレの言葉に答えたラミアではない声に顔を上げた。
声のする方へと目を向ければ、最近話題になっているシスターが立っていた。
ヘレは彼女を知っている。
なぜなら、彼女こそが自分とパレスを引き合わせてくれた修道女だったからだ。
「フローテ様!」
ヘレの顔はパッと明るくなり、突然の嬉しい訪問者を笑顔で迎え入れた。
「久しぶりね」
「はい! フローテ様、会えて嬉しいです! 今日はどうしてこちらに?」
「慰問よ。そこを歩いていたら、あなたを見つけたから寄っただけ……結婚生活は楽しいかしら?」
ヘレはその言葉に少しニヤけると、また先ほどの暗い表情へと戻り俯いてしまった。
「戦争のことが気になるのね」
「……はい」
「なら、この人に相談するといいわ」
「え……」
先ほどのから気にはなっていたが……フローテの隣で従者のように佇む白く美しいローブにその身を包んだ男。
フローテがヘレにローブの男を紹介すれば、単なる従者ではないことが伺える。
少し不安になりつつも、ヘレはフローテを信じ切っており、さらには、悩みを打ち明けてもいいと言われれば、少なからず興味も湧いてきてしまう。
この者に悩みを打ち明ければ、なにか変わるかもしれない。
そんな淡い期待の元、ヘレは男を見つめた。
「はじめまして。……ルーシェと申します……巷では魔王と呼ばれております」
「……まおう?」
淡い期待は大きく疑心へと変わる。
ヘレはよくわからないことを言う男に不安を募らせる結果となってしまった。
深々とフードで顔を隠している身なりでそんなことを言われてしまえば、いくらフローテの知り合いだとしても不安になってしまう。
しかし……
「……なんちゃって……ただの占い師でございます」
「あ……ああ! ふふ、そうだったのですか。なぜ魔王などと?」
切れ長の鋭い目をした男は一変して、お茶目に笑顔を作ると、自分は占い師だと自己紹介をした。
その変貌振りが可笑しく、緊張感に包まれていた場の雰囲気を、パッと明るいものへと変えてしまった。
その瞬間、ヘレが感じていた不安はどこかへと消えてしまい、可笑しな男の言動の行方へと興味を惹かれていく。
「僕の占いは百発百中でございます。いいことも、悪いことも、全てがピタリと当たるので、神ではなく魔王と呼ばれてしまいました」
「そうなんですか……悪いことも……」
「ええ! どうですか? 悩みを占ってはみませんか?」
「ええ……でも……」
「なーに、悪い結果であろうと、わかってしまえば対処できます! 先の見えない未来を悩むのであれば、先の見えている未来に悩んだ方がずっと意義があるとは思いませんか?」
なんとも現金なことを言う占い師だ。
たしかにそうなのだが、未来を知ったところで自分になにかできることはない。
ただここで、戦争の戦利品としての運命が待っているだけなのだ。
「でも……やっぱり怖いわ」
「なぜです?」
「だって……私が未来を知ったところで、なにもできるはずがないもの。それなら、その時までこの国の勝利を願っていたいわ」
「では、悩みは解決ですかね?」
「え? いや……そう……なのかしら……」
男にそう言われて驚いてしまった。
なぜなら、自分が悩んでいることを、自分で解決してしまったから。
しかもそれが、あまりにも傲慢で、他力本願で、現状を嘆いているだけのわがままでしかない願いだったから。
ただ、平穏な日々が欲しいだけなのに、自分の周りではいつも争いが起こっていた。
そんな環境が嫌でも、自分ではなにもできないと嘆いているだけだった人生。
いつまでも変わらない輪廻のように呪われた人生に、一度も抗った試しなど無かったことに気づいてしまったのだ。
「……では。この国が勝利を納めることを僕も願いましょうかね」
男がもう話は終わりだと言うように会話を切ろうとしていた。
このままこの男は去ってしまうのだろう……手を伸ばせば、呪われた人生に一矢報いることができるかもしれないまたとない機会。
未来を知れば、争いしかなかった人生に立ち向かえるかもしれない可能性……それをみすみす手放しているかもしれないという焦燥に、ヘレはいつのまにか囚われてしまっていた。
だからだろうか?
その可能性に縋るように出てしまった言葉。
ヘレは、聞いてはいけなかった問いをしてしまう。
「……あの……勝てるでしょうか?」
「それは無理ですね」
「……でも、でもね……私が婚約者を裏切って、パレス王子とこの国に来てしまったから……」
ラミアは、最近塞ぎ込んでいた理由はこれか……と、連れてこられた時の喜びに満ちた振る舞いから一変して、最近のヘレ様の落ち込んだ姿に悩んでいた。
しかし、この戦争の噂を聞いてしまったからというのであれば納得がいく。
噂も佳境に入り、もう間もなく開戦されるであろうことはラミアの耳にも入っていた。
「いいえ。ヘレ様はなにも心配することはありません。きっとデガンニークは勝利いたしますわ」
「そう……だといいのだけど」
ラミアの励ましは有難いし、ヘレもデガンニークが勝利することを願っている。しかし、そもそもの戦争の発端が自分にあるのだと落ち込んでいたのだ。
これ以上ラミアに思いをぶつけたところで、返ってくる言葉はわかりきっていた。
だから、ラミアに心配をかけないよう仕方なくそう答えるしかない。
「……それはどうかしらね」
突然、ヘレの言葉に答えたラミアではない声に顔を上げた。
声のする方へと目を向ければ、最近話題になっているシスターが立っていた。
ヘレは彼女を知っている。
なぜなら、彼女こそが自分とパレスを引き合わせてくれた修道女だったからだ。
「フローテ様!」
ヘレの顔はパッと明るくなり、突然の嬉しい訪問者を笑顔で迎え入れた。
「久しぶりね」
「はい! フローテ様、会えて嬉しいです! 今日はどうしてこちらに?」
「慰問よ。そこを歩いていたら、あなたを見つけたから寄っただけ……結婚生活は楽しいかしら?」
ヘレはその言葉に少しニヤけると、また先ほどの暗い表情へと戻り俯いてしまった。
「戦争のことが気になるのね」
「……はい」
「なら、この人に相談するといいわ」
「え……」
先ほどのから気にはなっていたが……フローテの隣で従者のように佇む白く美しいローブにその身を包んだ男。
フローテがヘレにローブの男を紹介すれば、単なる従者ではないことが伺える。
少し不安になりつつも、ヘレはフローテを信じ切っており、さらには、悩みを打ち明けてもいいと言われれば、少なからず興味も湧いてきてしまう。
この者に悩みを打ち明ければ、なにか変わるかもしれない。
そんな淡い期待の元、ヘレは男を見つめた。
「はじめまして。……ルーシェと申します……巷では魔王と呼ばれております」
「……まおう?」
淡い期待は大きく疑心へと変わる。
ヘレはよくわからないことを言う男に不安を募らせる結果となってしまった。
深々とフードで顔を隠している身なりでそんなことを言われてしまえば、いくらフローテの知り合いだとしても不安になってしまう。
しかし……
「……なんちゃって……ただの占い師でございます」
「あ……ああ! ふふ、そうだったのですか。なぜ魔王などと?」
切れ長の鋭い目をした男は一変して、お茶目に笑顔を作ると、自分は占い師だと自己紹介をした。
その変貌振りが可笑しく、緊張感に包まれていた場の雰囲気を、パッと明るいものへと変えてしまった。
その瞬間、ヘレが感じていた不安はどこかへと消えてしまい、可笑しな男の言動の行方へと興味を惹かれていく。
「僕の占いは百発百中でございます。いいことも、悪いことも、全てがピタリと当たるので、神ではなく魔王と呼ばれてしまいました」
「そうなんですか……悪いことも……」
「ええ! どうですか? 悩みを占ってはみませんか?」
「ええ……でも……」
「なーに、悪い結果であろうと、わかってしまえば対処できます! 先の見えない未来を悩むのであれば、先の見えている未来に悩んだ方がずっと意義があるとは思いませんか?」
なんとも現金なことを言う占い師だ。
たしかにそうなのだが、未来を知ったところで自分になにかできることはない。
ただここで、戦争の戦利品としての運命が待っているだけなのだ。
「でも……やっぱり怖いわ」
「なぜです?」
「だって……私が未来を知ったところで、なにもできるはずがないもの。それなら、その時までこの国の勝利を願っていたいわ」
「では、悩みは解決ですかね?」
「え? いや……そう……なのかしら……」
男にそう言われて驚いてしまった。
なぜなら、自分が悩んでいることを、自分で解決してしまったから。
しかもそれが、あまりにも傲慢で、他力本願で、現状を嘆いているだけのわがままでしかない願いだったから。
ただ、平穏な日々が欲しいだけなのに、自分の周りではいつも争いが起こっていた。
そんな環境が嫌でも、自分ではなにもできないと嘆いているだけだった人生。
いつまでも変わらない輪廻のように呪われた人生に、一度も抗った試しなど無かったことに気づいてしまったのだ。
「……では。この国が勝利を納めることを僕も願いましょうかね」
男がもう話は終わりだと言うように会話を切ろうとしていた。
このままこの男は去ってしまうのだろう……手を伸ばせば、呪われた人生に一矢報いることができるかもしれないまたとない機会。
未来を知れば、争いしかなかった人生に立ち向かえるかもしれない可能性……それをみすみす手放しているかもしれないという焦燥に、ヘレはいつのまにか囚われてしまっていた。
だからだろうか?
その可能性に縋るように出てしまった言葉。
ヘレは、聞いてはいけなかった問いをしてしまう。
「……あの……勝てるでしょうか?」
「それは無理ですね」
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