みんなシネばいい 〜転生したら魔王でした〜

大きな鯨

文字の大きさ
64 / 157
サタン様からのお願いは代理戦争介入!

南の大陸の大戦 弱い魔王

 ——汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……

 吸い込まれそうな暗闇の中で気が狂ったように木霊する声。

 時折フラッシュバックのように教会での光景が明滅していた。

 愛おしそうに男たちを迎える二人が映し出されては消え……よがる声、愛を囁く声が聞こえる。

 この映像は……リッカとフェリの目線だろう……覆い被さる男に向けてリッカとフェリが愛を囁く光景は、一気に僕の感情をぐちゃぐちゃにした。

「なんだよここ……」

 僕の脳に響いて鳴り止まないリッカとフェリの重なった倍音が「汚れている」と繰り返す。
 まるで自分が体験しているかのように、教会での出来事が直接脳に刻まれていく。

 こんなところにいたんじゃ帰って来られるわけがない。

 僕は拒絶する脳を必死に押さえ込み、二人に声をかける。

「おい! いるんだろう! リッカ! フェリ!」

 ——……ルーシェだ! ……ルーシェが来てくれた!
 ——……でも、私たちは汚れているの。
 ——だめなの……汚れているの!
 ——汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……

 いた……しかし、感傷に浸っている余裕なんかまったくない……すぐに連れ戻さなければ僕の意識がもたないかもしれない。

「クソ! なにをそんなに汚れているなんて言ってるんだ!」

 ——だって……私たち…… 私たち……自分で犯してってお願いしたのよ?
 ——なんだかとてもあの人たちがかっこよく見えて……お願いって……おねだりしたの……
 ——だから……

 ——汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……

 あの呪いには「惚れ」の効果があった。愛のキューピットなんて生易しいもんじゃない……とても邪悪で下卑た能力であり、誰もがとても幸せに暮らすことができる神の御技なんだろう。

「そりゃそうだろ! 二人は呪いをかけられていたんだ! 当たり前だ!」

 ——そうだとしても……ルーシェを裏切ったの……
 ——ルーシェは誰にも見せたくなかったんでしょう? でも、私たちは自分で見せて……触ってって……挿れてって言ったの……
 ——だから……

 ——汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……

「クソ! 頭にガンガン響く……。そんなの全部呪いのせいだ! 気にすることはない!」

 ——気にすることはないだって……助けてくれなかったのに……私たちたち……待ってたんだよ? こんないやらしくて、醜い心になっても、待ってたんだよ?
 ——気にすることはないって……ルーシェにとって、私たちはそんなものなの? こんなに汚くても気にしないんだ?
 ——私たちはもう……

 ——汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……

 脈絡なんかあったもんじゃない……感情のまま喚き散らすように思いついたことを言っているようだ……

「……いやだったんだろう? だからこんなところに閉じこもっているんだろう!」

 ——そうだよ……嫌だったよ……呪いのナイフなんか目じゃないくらいに気持ちよかったもん……ルーシェよりもずっと、ずっとあの人たちの方がいいって思ったもん……私たちはあの人たちのことを、ルーシェよりも好きになったの……とってもとっても好きだったの……でも……死んじゃった。
 ——私たちが愛していた人を、ルーシェが目の前で殺しちゃった……
 ——私たち……ルーシェが憎かったの……すごく、すごく……ルーシェに復讐するんだって思ったの……ルーシェを愛していたはずなのに……こんなにもあっさり呪いに負けちゃったの……
 ——だから……

 ——汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……

 あの……あの……クソ女神が……二人にこんな辛い思いを植え付けやがって……殺してやりたい……不老不死なのが忌々しい……殺したい!!

「だからなんだってんだよ! 今はどうなんだ! あいつらのことを愛しているのか?」

 ——今は……愛してない……死んでくれて……よかったって思った。でも、あの人たちは私たちが誘ったんだよ? 大好きって何度も言って、向こうも愛してるって言ってくれた……とっても嬉しかったのに……今は、死んでくれてよかったって思ってるの……
 ——そんなのって……おかしいよね?
 ——許せないよ……私たちが弱いからこんなことになったんだよ? ルーシェの隣にいる資格なんてないよ……
 ——嫌だよ……もう嫌……なにもかも私たちのせい……私たちが弱いから……あんなにも心が汚いから……ルーシェが褒めてくれたのに……綺麗な心を誇れるように褒めてくれたのに……私たちは汚いの……体も……心もいっぱい、いっぱい汚れているの!!
 ——汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……

 これはエルフの綺麗な心が裏目に出た結果なのだろう。
 自分がそう思ってしまったことが許せないんだろう。
 だから、そんな過去に耐えられなくなって……

「それのどこが汚れているっていうんだ!」

 ——おかしいよ……汚れているじゃない……醜いよ……ルーシェだって、私たちがあの人たちのことを好きになったって聞けば、嫌な気持ちになったでしょ? 本当に……本当にルーシェより愛していたんだから! それを殺しちゃったルーシェを憎んでさえいたんだから!!
 ——嫌だよ……もうこんなこと……もう汚れたくない……自分の醜い姿を見たくないよ……
 ——汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れている……汚れて——

 なにもかもに怯えて、耐えられなくて、悔しくて、許せなくて……でも、それでもまだ、守りたい思いがあるらしい……汚れてるなんて自戒の言葉を口にするやつが壊れてなんかいるわけがない……閉じこもっているだけだ。

「——汚れてなんかいねぇよ!! ふざけんな!!」

 ——……なんで……なんでそんな嘘をつくの? 汚れているじゃない……とっても気持ちよくて……子供が欲しいとまで思ったのに……なんでルーシェはそんなこと言うの? 嘘つき! いつも私たちにはいいことばっかり! 人間のことはあんなに意地汚いと罵るくせに!!
 ——私たちだって人間と変わらないもん!
 ——種族が違うだけで……なにも変わらないもん!
 ——ルーシェが嫌いな人間とおなじだもん!!!

 やっぱりそうだ……感情と心の乖離に耐えられなかっただけなんだ。
 なら……仕方ないか……僕はやらなければいけない……なぜなら、一番乖離させている原因は僕なのだから……

「……そうだよ。人間も、エルフも、大して変わらない。僕の庇護下に入らなかったら皆殺しだって脅したもんな……嫌だったか? 僕に守られるのは?」

 ——そんなこと……ない。私たちを救ってくれたルーシェはとっても、とってもかっこよくて、眩しくて……とても好きになった。

「だったら……最後まで守らせてくれよ……頑張るから……僕の力の限り……頑張るから!」

 ——嫌……嫌なの……もう守られたくないの……

「……なんでだよ!!」

 ——だって……だって……私たちは、ルーシェを泣かせたの……大好きだったのに……ルーシェ、私たちを見て……弱くてどうしようもない私たちを見て……泣いちゃったんだもん! 嫌なの! もう守られたくないの!

「……なんでだよ」

 ——だって……こんな……こんなにも……ルーシェが好きなのに……あっさりとほだされてしまう……こんなにも好きなのに……迷惑をかけてばかり……こんなにも好きなのに……なんの役にもたたない……こんなにも好きなのに……

 やっぱりそうだ……心を蝕んでいる原因。

「……僕が怖いんだろう?」

 ——そんなことない!! そんなこと……

「そうか? 僕が二人の立場だったら怖いと思うけどな……」

 ——なによそれ……怖くなんかない! ルーシェのこと……大好きだもん!! なんで……なんで……なんでそんなこと言うの!!

 ……そんなに強く否定されると……やっぱりそうだったかと思ってしまう……ちょっとショックだけど……まあ、仕方ない。

「リッカ……フェリ……僕は二人の心の叫びを聞いても……汚れていると聞いても……二人を愛している気持ちはこれっぽっちも変わらない……逆に、僕が汚れているんだと感じたよ……」

 ——ルーシェが汚れている……?

 これだ……これなんだ……彼女たちに巣食う一番の根本原因……あれだけ弄ばれても懸命に生きて来れたエルフが、たった一回の過ちで心を閉ざしてしまった理由。

「ああ、僕は人間を殺し、絶望させることが楽しいんだ。人間が嫌いだ。大っ嫌いだ。リッカやフェリみたいに、人間を好きになったり、愛してあげることなんてできない。
 僕はリッカやフェリが思っているようなやつじゃない。二人からしてみれば……僕はどうだ? 汚れていないか? 真っ黒で見えないだけじゃないか? 僕に救ってもらったから、見て見ぬ振りをしているんじゃないか?」

 ——そんなこと……

「僕だって……もともと人間だった……大して変わらないさ……僕がしていることを肯定なんかできない……だけど、二人はなんで僕に優しくしてくれるんだ?」

 ——だって……ルーシェは私たちに優しくしてくれたから……救ってくれたから……

「……辛いんだろ? なんの罪もない人間を殺すことが」

 ——……

「いいんだ……これは僕の片思いに過ぎない。好きな娘が辛いなら、僕は無理強いはしない。だから……エルフの里に帰ろう……こんな思いはもうたくさんだ……
 二人が笑って過ごせないなら……僕は都合のいい恋人だって構わない……
 二人の重荷になるのなら……僕は身を引いたって構わない……
 二人を独占して泣かせたいわけじゃない……愛しているんだ……だから……帰ろう? エルフの里で、新しい未来を築くこともできるはずさ……だから……泣かないでくれ……笑っていて欲しい……お願いだ……」

 僕もおかしくなってきている……たかが外れたみたいに言葉が止まらない……駄目なのに……こんなことじゃ……救えないじゃないか……

 ——ルーシェ……嫌……嫌……嫌! 嫌!!
 ——ルーシェがいないと嫌!!
 ——愛してくれるって言ったじゃない!!
 ——愛してくれなきゃ死んでやるって!!
 ——そんなの愛してるって言わないもん!!
 ——そんなの……

 せっかく僕が身を引こうとしたのに……なんでそんなことを言うんだよ……なんなんだよ……こんなところに閉じこもるほどに苦しかったくせに! なんでまだ僕を求めるんだ……なんで僕が二人を愛してないなんて言うんだ!! ふざけるなよ……

「愛してる……心の底から愛してる!! どうしようもなく二人が欲しい!!! 手放したいわけがないじゃないか!! 僕はわがままなんだ!! 二人がいないと嫌だし、二人が笑っていないと嫌なんだ!! 他の男を好きになったなら、その男を殺したいくらいに嫉妬するさ!! 二人を泣かすようなやつは八つ裂きにして絶望させてやりたいんだ!!
 でも……それは二人を泣かせていい理由になんかならない!! 笑っていて欲しいって思うのは愛じゃないのか!? 僕が二人を愛していないだと……ふざけるなぁああ!!!
 もう、どうしようもなく好きで好きで好きで、愛おしくてたまらないんだ!!!」

 叫んでる最中ずっと……ぎゅーっと……胸が張り裂けそうなほどに締め付けられているみたいだった……痛くて……苦しくて……

 ——……

「助けてくれ……僕を……どうにかなってしまいそうなんだ……おかしいんだ……どんなに汚れていると言われたって……どんなに他の男が好きだと言われたって……どんなに怖がられていたって……二人のことが好きなんだ……胸が張り裂けそうに痛いんだ……もう……どうしようもないんだ……」

 ——……

「また……前みたいに……笑って僕を見てくれないか? ……リッカ……フェリ……お願いだから……僕を……」

***

 ……その一言を最後に、深い精神世界にいた記憶は途切れてしまった……

 そして、目を覚ませば……
感想 168

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。