みんなシネばいい 〜転生したら魔王でした〜

大きな鯨

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サタン様からのお願いは代理戦争介入!

南の大陸の大戦 死に方の選択

 そこは白い世界だった。
 誰もいない……白い世界。
 あれは……サタン様?
 笑って……いる?

 ——記憶に反映させますか?

 もう終わりだというように、精神の詰責が最後の選択を迫った。

「……はい」

***

 ——早く!! お願い!! ルーシェ!!

 精神の詰責から戻ると、クソ女神がうるさく僕に懇願していた。
 気にすることはない。後回しだ。

「リッカ、フェリ! おい! 起きろ!」

 二人はゆっくりと目線を動かし僕を見た。
 そして、触れた手を握り返してくれた。
 そして、待ち望んでいた反応が返ってくる。

「……ルーシェ。ごめんね……」

 リッカが謝る。

「……私も……ごめんなさい」

 フェリも力なく僕に謝る。

 「ああ……大丈夫だ。服を着ろ」

 二人はゆっくりと起き上がり、脱ぎ捨ててあった服に着替えると力なく座り込む。
 そして、僕は二人の前でしゃがみ込み、また手を握った。

「よく帰ってきたな」

「うん……」

「フェリも」

「はい……」

「覚えているか?」

「はい……」

「どこからだ?」

「私たちは真っ暗なところにいて……ルーシェが来てくれました」

「それで?」

「ルーシェが泣いてた」

「そこでは泣いてない」

「あれ? 嘘……でも……あれ?」

「一つ前の世界の話だ」

「愛してるって……何度も……何度も何度も聞きました」

「ああ、言ったな」

「信じてもいいの?」

「魔王をか?」

「……」

「嘘だ。そんな悲しい顔をするな。信じていいぞ」

「……うん……私たちのこと……許してくれたんだよね……」

「許してない。そもそも怒ってもいない」

「……そっか」

「ああ」

「それから……」

「ん?」

「……ルーシェに助けてくれって言われました」

「ああ、言ったな……僕はあの世界で精神がおかしくなっていてね……あそこまで意識を保てたのが不思議なくらいだったんだ」

「そう……なんですか」

「ああ、今後一生言わないだろう本音だったのかもしれない……僕はもともと人間だった……弱い部分もあるさ」

「そっか……」

「僕を助けてくれるか?」

「うん……どうすればいいの?」

「笑ってくれ」

「……ふふ……わかりました」

 二人はそう言うと、僕に笑いかけてくれた……僕も笑顔で答える……「愛している」と。

 ああ、そうだ。これでいい。愛してるなんて言葉は……こう使うものだ。
 独占欲を満たすための表現じゃない。
 もったいぶったところで、綺麗でかっこいいだけ……。
 もっと、もっと……普遍的なものであればいい。

 常に叫べばいいんだ……どうせすぐ不安になる。

 そして、僕はようやく怒りの矛先を見据えることができた……。
 庇護下に置いた者を助け出した喜びと、これから罰を与えることのできる喜びに震えていた。

 僕は二人から手を離し、醜く犯され続けている女神を見据える。

「クックック……哀れだな、女神様……」

 ——なに? なんで? なんでなのよ! なんとかするって言ったじゃない!

 ——ああ、言ったな。言ったけど、やる気が起きない……面倒だ。

 ——ふざけないでよ! 早くこいつらを退けなさいよ!!

 ——そういえば、女神様は不老不死だったよなぁ。

 ——なにが言いたいのよ……。

 ——僕が生きている限り、おまえはそのままだ。未来永劫、この教会の地下で醜い男たちに抱かれればいい。魔物も派遣しよう! はは! 女神様を獣姦とか……クックック。

 ——ふざけないでよ……神に逆らって、ただで済むと思っているの?

 ——ヒヒヒヒ……パパに相談でちゅか?

 ——は?

 ——なんだよ……反応もクソだな。マジ使えねぇ……おまえつまんねぇよ。美人でスタイルが良くて不老不死とか、マジ最高のおもちゃだよね! 人間にとってさ!

 ——なんなの? なんなの? あなただって私を抱いたくせに……

 ——え? どこで? まさかあれがそうだっていうの? 精神世界での出来事を抱かれたなんて表現するとかどこの乙女だよ。僕を天界のルールで見ないでいただけます?

 ——いいわよ……それならその子たちを殺してあげるわ……ここにいる神は私だけじゃないもの……ふふふ……恐怖に震えなさい。もう後悔しても遅いわ……。

 この神さまは僕ではなくリッカとフェリを狙うみたいだ……クソ女神らしい。ご丁寧に他の神の存在も教えてくれた。

 ——へぇ……まだいるんだ……それはとても楽しみだ。

 僕はリッカとフェリに顔を近づけて囁く。

「リッカ、フェリ。これから僕は神に狙われるらしい。そして、二人を殺すって言われてしまった……それでもまだ僕と一緒にいたい? それとも——」

 その先を言う前に、二人から抱きしめられてしまった。

「私は離れたくありません。神に殺されるのも構いません……でも、ルーシェが守ってくれるんでしょ?」

「私も……ルーシェと一緒じゃなきゃ嫌。ルーシェの好きにして……それに……なんでも言って……頑張るから」

 ……僕はわがままだ。
 迷いのあるやつとは一緒にいたくない。
 たとえそれが、どんなに愛している者だとしても。
 どうせいつかは死ぬことになるんだ。
 自分で死に方を決められないやつがたどる末路なんて虚しいし……面白くない。
 二人は僕に愛される道を選んだ。
 そういう死に方を選んだ。

 なら、僕も迷うことはない。

 僕のために死ねとは言わない……僕のそばで死ね。

「ああ、僕が力の限りを尽くして守るよ。頑張りたいなら力を借りよう。僕は必ず人間を皆殺しにする……だから、僕のそばで死なせてやるが……つまらない死に方はするなよ」

 二人は頷く。
 離れたくないと。

 そうだ、自分の思うとおりに生きて……死ねばいい。

 誰に殺されようが、自害しようが、天寿を全うしようが、生きたいように生きたのならば……それで十分だろう?

 二人が生き方を決めたら、それを待っていたかのようにドアが開いた。
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