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サタン様からのお願いは代理戦争介入!
南の大陸の大戦 果たされなかった奇襲
そして、僕らは教会で一夜を過ごし、来たる決戦に向けて特等席でその時を待っていた。
「ちょっと! もう少しそっち行ってよ!」
「おいおい、もうこれ以上は落ちちまうよ!」
二人で座っていた時は感じなかったが、四人で座ると城壁櫓も手狭に感じる。
「クザン……戦争で汗でも流してこいよ」
「そうしてぇところだが……昨日のやつと対峙したら俺でもかなわねぇぞ?」
「ん? なんでそんな弱気なんだよ」
「そりゃ、未来視で見てたからな。俺が見えたのはあいつが誰もいねぇところを突いている姿だった。気づいたら王の間にいたからさらにビビったぜ」
そういえば、クザンは未来視なるチートスキルを持っていたっけ。
そんな体験をすれば怖気付くのも頷ける。
「魔王様はどんだけとんでもねぇ能力を持ってるんだよ……」
「だから言っただろう? おまえとは次元が違うんだって」
「もう疑わねぇよ!」
ようやくクザンもわかってくれたようで嬉しい限りだ。
「あ、始まるみたいだよ?」
リッカが遠くに見える波の存在に気づいた。
ようやくお出ましだ。
しかし、日中の進軍はブラフで本番は夜だ。
デガンニーク軍を疲弊させるためにどんなことをするのか楽しみだ。
ラスフェリカ軍の波は矢の届かないところで止まり、小隊を分散させて攻めてくるようだ。
全身黒い装備に身を包んだ異色の小隊が突っ込んで来る。
「あれ? 昨日はあんなのいなかったような……」
「俺も見てねぇな」
無謀にも突っ込んできた小隊には無数の矢の雨が降り注ぎ、勝負は見えたかに思えた……が、矢は小隊に近づくと、あらぬ方向へと吹き飛ばされていく。
無数の矢を跳ね除け、黒い小隊は勢いを増してデガンニークの防衛部隊の前まで来ると、向かって来る防衛部隊を引き連れて反転。
大部隊が小隊に翻弄されている。
「なんで矢が弾き飛ばされているんだ?」
「たぶんあれ、ウインドシールドだよ。かなり強力な」
リッカの見立てでは、風魔法を使っているらしい。
「あ……」
小隊の一人が倒れ、勢いづいて追いかける防衛部隊に踏み潰されていく。
よく見れば……小隊は魔剣を二人で持っていた。
「うわぁ……えげつない戦法に出たもんだ」
「なるほどな。これなら被害を最小限に抑えて相手の疲弊と、矢の無駄撃ちを狙えるな」
クザンも気づいたようだ。
魔力切れを起こせば死に至ることから、二人で魔剣を持ち、絶命すれば他の者が変わりを果たす。
ウインドシールドなるものを常に張り続けるための捨て身の戦法だ。
そして、小隊は逃げ切り、矢の届かないところへと戻る。防衛隊の方はいささか出過ぎてしまった格好だ。
しかし、敵に背を向けて戻るわけにもいかず、両者睨み合いの状況が続くかに思えたその時……
防衛隊の前方部隊の胴体が切り離され、あたり一面を血飛沫が舞う。
驚いた防衛部隊が呆気に取られていると、大きな波がそれを合図だと言うかのごとく押し寄せてきた。
矢の効果が薄い場所での合戦。
疲弊目的だったはずが、防衛部隊を駆逐せん勢いだ。
「おー、凄いじゃないか! 昨日とはまるで違うぞ!」
「そうだな。あの黒い部隊が入ったからじゃないか?」
「確かに……今はどこに……あ! あそこだ! 中央あたり一直線に血飛沫が上がってる! 黒いやつらだ!」
なんだかだんだん楽しくなってきた。
僕は日中の戦闘はつまらないものだと思っていたが、もう防衛部隊を半数近くまで切り崩しているんじゃないだろうか?
3万はくだらないデガンニーク側の死体が地に転がり、対するラスフェリカは万に届くかどうかだ……立地的に優位だったはずなのに、黒い小隊がその優位性を弱体化してみせた。
その小隊には、一人目覚ましい動きを見せる人間がいる……もしかしたら、あの動きは神かもしれないが、魔剣を自在に操って防衛部隊を分断してみせた。
防衛部隊は堪らず引き返すのだが、黒い小隊が先に防衛部隊を抜けると……城門まで駆け抜けていく。
そして、その猛将振りはめざましく、馬にも乗らず小隊までもを飛び出し単騎駆けだ。
魔剣を手に持ち、ようやく城門までたどり着くと、なにやらブツブツ呪文を唱え始める。
そして、魔剣を交差させるようにふた振りすれば、城門がバッテンを刻んで決壊し始めてしまった……
城門を壊した勇敢な男は雄叫びを上げてさらに城内に駆けていった。
「……夜襲」
「まあいいじゃねぇか! 結果オーライだよ」
「ルーシェ……大丈夫ですか?」
「なになに? どうしたの?」
まったく……僕が落ち込んだらこんなにも優しく手を差し伸べてくれるなんて……いい仲間を持ったものだ。
しかし、そんなに心配されるほどのことでもない。単に僕が提案した作戦が却下されて落ち込んでただけだ。クザンの言うとおり結果オーライだ。
「大丈夫、心配ない。それより城門を壊したあの魔法はなんだかわかるか?」
「あれはウインドカッターだと思う」
「風で切断したってことか?」
「そう。ただ……あの門を斬るなんてちょっと反則的なウインドカッターだよね」
「そうか」
魔法に詳しいわけではないので、こんな使い方があるなんて……と、少し驚いた。
なにはともあれ、ラスフェリカ軍は城門をついに破って見せた。
デガンニーク軍の負けだ。もうすぐ大波が押し寄せ、矢の雨を逃れた者共が城内に大挙することだろう。
屋台の店主も殺されてしまうだろうか?
仕方がない……死んで当然だ。
あとは……ヘレを適当に連れ出し、教会にでも籠りますかね。
そしたらようやくサタン様の願いごとも終わる……うずうずと我慢していたこの気持ちを思い切りぶちまけることができるのだ。
デガンニークもラスフェリカも皆殺しだ……断罪内容は……いや、いい……そんなものは要らない……やつらは魔物も魔女も分別なく殺してしまうのだから……これは言わば戦争だ、人間対魔王軍……せいぜい勝利の余韻を楽しむがいい……デガンニークを落とした時、ラスフェリカの運命も終わるのだ。
「ちょっと! もう少しそっち行ってよ!」
「おいおい、もうこれ以上は落ちちまうよ!」
二人で座っていた時は感じなかったが、四人で座ると城壁櫓も手狭に感じる。
「クザン……戦争で汗でも流してこいよ」
「そうしてぇところだが……昨日のやつと対峙したら俺でもかなわねぇぞ?」
「ん? なんでそんな弱気なんだよ」
「そりゃ、未来視で見てたからな。俺が見えたのはあいつが誰もいねぇところを突いている姿だった。気づいたら王の間にいたからさらにビビったぜ」
そういえば、クザンは未来視なるチートスキルを持っていたっけ。
そんな体験をすれば怖気付くのも頷ける。
「魔王様はどんだけとんでもねぇ能力を持ってるんだよ……」
「だから言っただろう? おまえとは次元が違うんだって」
「もう疑わねぇよ!」
ようやくクザンもわかってくれたようで嬉しい限りだ。
「あ、始まるみたいだよ?」
リッカが遠くに見える波の存在に気づいた。
ようやくお出ましだ。
しかし、日中の進軍はブラフで本番は夜だ。
デガンニーク軍を疲弊させるためにどんなことをするのか楽しみだ。
ラスフェリカ軍の波は矢の届かないところで止まり、小隊を分散させて攻めてくるようだ。
全身黒い装備に身を包んだ異色の小隊が突っ込んで来る。
「あれ? 昨日はあんなのいなかったような……」
「俺も見てねぇな」
無謀にも突っ込んできた小隊には無数の矢の雨が降り注ぎ、勝負は見えたかに思えた……が、矢は小隊に近づくと、あらぬ方向へと吹き飛ばされていく。
無数の矢を跳ね除け、黒い小隊は勢いを増してデガンニークの防衛部隊の前まで来ると、向かって来る防衛部隊を引き連れて反転。
大部隊が小隊に翻弄されている。
「なんで矢が弾き飛ばされているんだ?」
「たぶんあれ、ウインドシールドだよ。かなり強力な」
リッカの見立てでは、風魔法を使っているらしい。
「あ……」
小隊の一人が倒れ、勢いづいて追いかける防衛部隊に踏み潰されていく。
よく見れば……小隊は魔剣を二人で持っていた。
「うわぁ……えげつない戦法に出たもんだ」
「なるほどな。これなら被害を最小限に抑えて相手の疲弊と、矢の無駄撃ちを狙えるな」
クザンも気づいたようだ。
魔力切れを起こせば死に至ることから、二人で魔剣を持ち、絶命すれば他の者が変わりを果たす。
ウインドシールドなるものを常に張り続けるための捨て身の戦法だ。
そして、小隊は逃げ切り、矢の届かないところへと戻る。防衛隊の方はいささか出過ぎてしまった格好だ。
しかし、敵に背を向けて戻るわけにもいかず、両者睨み合いの状況が続くかに思えたその時……
防衛隊の前方部隊の胴体が切り離され、あたり一面を血飛沫が舞う。
驚いた防衛部隊が呆気に取られていると、大きな波がそれを合図だと言うかのごとく押し寄せてきた。
矢の効果が薄い場所での合戦。
疲弊目的だったはずが、防衛部隊を駆逐せん勢いだ。
「おー、凄いじゃないか! 昨日とはまるで違うぞ!」
「そうだな。あの黒い部隊が入ったからじゃないか?」
「確かに……今はどこに……あ! あそこだ! 中央あたり一直線に血飛沫が上がってる! 黒いやつらだ!」
なんだかだんだん楽しくなってきた。
僕は日中の戦闘はつまらないものだと思っていたが、もう防衛部隊を半数近くまで切り崩しているんじゃないだろうか?
3万はくだらないデガンニーク側の死体が地に転がり、対するラスフェリカは万に届くかどうかだ……立地的に優位だったはずなのに、黒い小隊がその優位性を弱体化してみせた。
その小隊には、一人目覚ましい動きを見せる人間がいる……もしかしたら、あの動きは神かもしれないが、魔剣を自在に操って防衛部隊を分断してみせた。
防衛部隊は堪らず引き返すのだが、黒い小隊が先に防衛部隊を抜けると……城門まで駆け抜けていく。
そして、その猛将振りはめざましく、馬にも乗らず小隊までもを飛び出し単騎駆けだ。
魔剣を手に持ち、ようやく城門までたどり着くと、なにやらブツブツ呪文を唱え始める。
そして、魔剣を交差させるようにふた振りすれば、城門がバッテンを刻んで決壊し始めてしまった……
城門を壊した勇敢な男は雄叫びを上げてさらに城内に駆けていった。
「……夜襲」
「まあいいじゃねぇか! 結果オーライだよ」
「ルーシェ……大丈夫ですか?」
「なになに? どうしたの?」
まったく……僕が落ち込んだらこんなにも優しく手を差し伸べてくれるなんて……いい仲間を持ったものだ。
しかし、そんなに心配されるほどのことでもない。単に僕が提案した作戦が却下されて落ち込んでただけだ。クザンの言うとおり結果オーライだ。
「大丈夫、心配ない。それより城門を壊したあの魔法はなんだかわかるか?」
「あれはウインドカッターだと思う」
「風で切断したってことか?」
「そう。ただ……あの門を斬るなんてちょっと反則的なウインドカッターだよね」
「そうか」
魔法に詳しいわけではないので、こんな使い方があるなんて……と、少し驚いた。
なにはともあれ、ラスフェリカ軍は城門をついに破って見せた。
デガンニーク軍の負けだ。もうすぐ大波が押し寄せ、矢の雨を逃れた者共が城内に大挙することだろう。
屋台の店主も殺されてしまうだろうか?
仕方がない……死んで当然だ。
あとは……ヘレを適当に連れ出し、教会にでも籠りますかね。
そしたらようやくサタン様の願いごとも終わる……うずうずと我慢していたこの気持ちを思い切りぶちまけることができるのだ。
デガンニークもラスフェリカも皆殺しだ……断罪内容は……いや、いい……そんなものは要らない……やつらは魔物も魔女も分別なく殺してしまうのだから……これは言わば戦争だ、人間対魔王軍……せいぜい勝利の余韻を楽しむがいい……デガンニークを落とした時、ラスフェリカの運命も終わるのだ。
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