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サタン様からのお願いは代理戦争介入!
南の大陸の大戦 真相
僕は放心状態のヘレの手を取り、備え付けの椅子へと座らせると、事の真相を教えてあげることにした。
「ご気分はいかがですか?」
僕を見上げるヘレの目は、バランと僕とを泳がせている。
「気になるようでしたら、始末しますが?」
「……え?」
「後になるか、先になるかだけの話ですので……なにせ、私はあなたを苦しませる全ての人間を殺すことになるのですから」
「……殺す?」
「ええ……あなたを救いに来たのですから、あなたを泣かせる者共は皆殺しです。
彼を殺せば、きっと、悲しみよりも勝るなにかが宿ることでしょう……今ここで殺しますか? それとも、あなたはこの者と共に生きて行きたいですか?」
「……嫌」
僕の質問に、嫌とだけ返事をしたヘレ。
これではどうしたものかと考えてしまう。
しばらく落ち着くまで待っていようかと思った時、すぐにヘレから提案がなされる。
「誰もいなくなったら……どうすればいいのですか……私に一人で生きて行けと言うのですか……」
たしかに! ヘレを連れて行くとばかり思っていたのでまったく考えていなかった。
これは……流れがまずい方向に行っている……気がする。
「なら……僕が保護いたしましょうか?」
「……保護?」
「ええ、僕が庇護下に置いている里があるのですが……そこで平和に暮らすのもいいでしょう」
「あなたも……私のために民を殺すのでしょうか?」
やっぱり……面倒なことになった……。
もうぶっちゃけるか……。
くだらない猿芝居が通じるお姫様じゃなさそうだしな。
「クックック……やめましょう。僕はあなたのために人間を殺すことはしません。絶対に。
僕は人間が憎くて、憎くて、堪らないのです。
だから殺す。そして、あなたは人間ではない。神の子だ。
神が人間を減らすために生み出した子……それがあなたなのです。
あなたは戦争を意図的に偶発させるために神が人間を抱き生まれました。
その美貌は世の男共をたぶらかし、戦争を起こさせるための起爆剤なのです。
信じられないでしょうが、これが事実。
あなたに定められた使命は、この地から人間を減らすことなのです……戦争を起こしてね」
僕はこの話をフローテから聞いたのだが、その時には絶句したことを思い出す。
ヘレもそうだろうなと思っていたが、呆然と僕の話を聞き終えた後、ヘレが口にした言葉はとても愛おしいものだった。
「なら……私の罪は……生まれて来たこと……だったのですね……」
止まっていた涙が溢れ出し、運命の非情さになにを思っているのだろうか?
なにをもって罪としているのだろうか?
神の使命を果たしているのだから、この世界では正義だというのに。
ヘレが抱いている己の正義感が、自分の出生を断罪していた。
「それが罪だというのなら……私はあなたを連れて行けません。ここで、死を与えるくらいしか、僕にお手伝いできることはないでしょう」
ヘレは呆然と前を見ていた。
考えることに疲れてしまったかのごとく。
少しの間、僕がヘレを待っていると……ゆっくりと言葉を紡ぎだす。
「あなたは……私を救ってくれるのではないのでしょうか?」
「……救われたいのですか?」
「……そう……だと思います……」
「では、見ていてください」
そう言うと、僕はバランの首を跳ねた。
鮮血が吹き出し、周囲に血の雨を降らせる。
そして、ヘレを見れば……なにも表情を変えずに首のないバランを見つめていた。
さらに、僕はもう一人の付き人であった男の首も跳ねた。
二人の顔のない男たちが、道理に逆らい立ち尽くしている。
「これで、あなたを縛る者はもういません。僕の庇護下に入ってもいいですし、この先ご自由に生きてくださっても構いません……どうしますか?」
ヘレは僕に視線を向けると、今度はしっかりとした声で言葉を紡いだ。
「私は……人が死んだというのに悲しくありませんでした……ただただ……解放されたという安堵だけが私の心を埋めてしまいました……私は嫌な女だったようです」
「クックック……あーっはっはっは!」
その健気な言葉を聞いて、僕は堪らず笑ってしまった。
「どう……したのですか?」
「ククク……。いえ……なぜあなたがこんな男のために悲しまなければいけないのか……理由がわかりません。あなたが、なにをそんなに思い詰めているのかも理解できません。
それでご自分を嫌な女などと申すものですから……堪えきれずに笑ってしまいました」
「だって……人を殺すことはいけないことでしょう? それに、必ず誰かが悲しむはずです!」
「まだご自分よりも他者のことを気遣うのですね。見上げた心がけですね……ご自身が救われたいと思ったのではないのですか?」
ヘレは俯いてしまった。
自分がなにをしたいのかもわからないのだろう。
これは、少々時間がかかりそうだ。
そう思ったので、屋根の上で待機していた三人をクザン伝いに呼んだ。
フェリは浮かんで、リッカはクザンに手を借りて、そしてクザンは力任せにぶら下がってこちらに飛び乗って来た。
「よお、終わったみたいだな」
「うわー、今度は綺麗に殺したねぇ」
「ええ、今回は普通でしたね」
なにを勘違いしているのか、これからが始まりだというのに。
「あの……ずっと上にいたんですか?」
ヘレが不思議そうにそう言った。
「そうだよ! ずっとみんなでヘレさんのこと見守ってたんだー」
「お辛かったですね……なにかお手伝いできることがあれば、なんでも言ってください」
「そうだぜ! なんでも言ってくれよな」
みんな、思い思いの言葉を投げかけて、ヘレを元気づけようとしているようだ。
こんな友情じみた演出も悪くはないだろうと思い少々傍観していた。
「皆さんは、えーと……」
「ルーシェ?」
リッカが僕を指差してヘレに助け舟を出す。
「あ……はい、ルーシェ様とご一緒になにをしているのですか?」
「んー、ルーシェが人間を滅ぼす手伝いをしているんだけど……あんまし役に立たないし、助けられてばっかだから……私たちはルーシェについてきた旅行者みたいなものかな!」
言っていることは間違ってはいないが……どうも釈然としない。まあ、楽しんでいるのであればそれでいいか。
「ご気分はいかがですか?」
僕を見上げるヘレの目は、バランと僕とを泳がせている。
「気になるようでしたら、始末しますが?」
「……え?」
「後になるか、先になるかだけの話ですので……なにせ、私はあなたを苦しませる全ての人間を殺すことになるのですから」
「……殺す?」
「ええ……あなたを救いに来たのですから、あなたを泣かせる者共は皆殺しです。
彼を殺せば、きっと、悲しみよりも勝るなにかが宿ることでしょう……今ここで殺しますか? それとも、あなたはこの者と共に生きて行きたいですか?」
「……嫌」
僕の質問に、嫌とだけ返事をしたヘレ。
これではどうしたものかと考えてしまう。
しばらく落ち着くまで待っていようかと思った時、すぐにヘレから提案がなされる。
「誰もいなくなったら……どうすればいいのですか……私に一人で生きて行けと言うのですか……」
たしかに! ヘレを連れて行くとばかり思っていたのでまったく考えていなかった。
これは……流れがまずい方向に行っている……気がする。
「なら……僕が保護いたしましょうか?」
「……保護?」
「ええ、僕が庇護下に置いている里があるのですが……そこで平和に暮らすのもいいでしょう」
「あなたも……私のために民を殺すのでしょうか?」
やっぱり……面倒なことになった……。
もうぶっちゃけるか……。
くだらない猿芝居が通じるお姫様じゃなさそうだしな。
「クックック……やめましょう。僕はあなたのために人間を殺すことはしません。絶対に。
僕は人間が憎くて、憎くて、堪らないのです。
だから殺す。そして、あなたは人間ではない。神の子だ。
神が人間を減らすために生み出した子……それがあなたなのです。
あなたは戦争を意図的に偶発させるために神が人間を抱き生まれました。
その美貌は世の男共をたぶらかし、戦争を起こさせるための起爆剤なのです。
信じられないでしょうが、これが事実。
あなたに定められた使命は、この地から人間を減らすことなのです……戦争を起こしてね」
僕はこの話をフローテから聞いたのだが、その時には絶句したことを思い出す。
ヘレもそうだろうなと思っていたが、呆然と僕の話を聞き終えた後、ヘレが口にした言葉はとても愛おしいものだった。
「なら……私の罪は……生まれて来たこと……だったのですね……」
止まっていた涙が溢れ出し、運命の非情さになにを思っているのだろうか?
なにをもって罪としているのだろうか?
神の使命を果たしているのだから、この世界では正義だというのに。
ヘレが抱いている己の正義感が、自分の出生を断罪していた。
「それが罪だというのなら……私はあなたを連れて行けません。ここで、死を与えるくらいしか、僕にお手伝いできることはないでしょう」
ヘレは呆然と前を見ていた。
考えることに疲れてしまったかのごとく。
少しの間、僕がヘレを待っていると……ゆっくりと言葉を紡ぎだす。
「あなたは……私を救ってくれるのではないのでしょうか?」
「……救われたいのですか?」
「……そう……だと思います……」
「では、見ていてください」
そう言うと、僕はバランの首を跳ねた。
鮮血が吹き出し、周囲に血の雨を降らせる。
そして、ヘレを見れば……なにも表情を変えずに首のないバランを見つめていた。
さらに、僕はもう一人の付き人であった男の首も跳ねた。
二人の顔のない男たちが、道理に逆らい立ち尽くしている。
「これで、あなたを縛る者はもういません。僕の庇護下に入ってもいいですし、この先ご自由に生きてくださっても構いません……どうしますか?」
ヘレは僕に視線を向けると、今度はしっかりとした声で言葉を紡いだ。
「私は……人が死んだというのに悲しくありませんでした……ただただ……解放されたという安堵だけが私の心を埋めてしまいました……私は嫌な女だったようです」
「クックック……あーっはっはっは!」
その健気な言葉を聞いて、僕は堪らず笑ってしまった。
「どう……したのですか?」
「ククク……。いえ……なぜあなたがこんな男のために悲しまなければいけないのか……理由がわかりません。あなたが、なにをそんなに思い詰めているのかも理解できません。
それでご自分を嫌な女などと申すものですから……堪えきれずに笑ってしまいました」
「だって……人を殺すことはいけないことでしょう? それに、必ず誰かが悲しむはずです!」
「まだご自分よりも他者のことを気遣うのですね。見上げた心がけですね……ご自身が救われたいと思ったのではないのですか?」
ヘレは俯いてしまった。
自分がなにをしたいのかもわからないのだろう。
これは、少々時間がかかりそうだ。
そう思ったので、屋根の上で待機していた三人をクザン伝いに呼んだ。
フェリは浮かんで、リッカはクザンに手を借りて、そしてクザンは力任せにぶら下がってこちらに飛び乗って来た。
「よお、終わったみたいだな」
「うわー、今度は綺麗に殺したねぇ」
「ええ、今回は普通でしたね」
なにを勘違いしているのか、これからが始まりだというのに。
「あの……ずっと上にいたんですか?」
ヘレが不思議そうにそう言った。
「そうだよ! ずっとみんなでヘレさんのこと見守ってたんだー」
「お辛かったですね……なにかお手伝いできることがあれば、なんでも言ってください」
「そうだぜ! なんでも言ってくれよな」
みんな、思い思いの言葉を投げかけて、ヘレを元気づけようとしているようだ。
こんな友情じみた演出も悪くはないだろうと思い少々傍観していた。
「皆さんは、えーと……」
「ルーシェ?」
リッカが僕を指差してヘレに助け舟を出す。
「あ……はい、ルーシェ様とご一緒になにをしているのですか?」
「んー、ルーシェが人間を滅ぼす手伝いをしているんだけど……あんまし役に立たないし、助けられてばっかだから……私たちはルーシェについてきた旅行者みたいなものかな!」
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